![]() BITTER MOON 妻と結婚七年目のクルーズ旅行に出たナイジェル(ヒュー・グラント)は、船上で 車椅子に乗ったオスカー(ピーター・コヨーテ)と知り合う。彼は自分と妻ミミ(エマ ニュエル・セニエ)との関係を語りはじめ、ナイジェルはあからさまな性生活の暴露 に嫌悪感を憶えつつも好奇心に抗えず、次第にミミの虜となってゆく・・。 監督は鬼才ロマン・ポランスキー、製作と脚色(共同)も手がけている。ヴァンゲリスの 音楽も印象的な異色作。 この映画を観たいと思ったきっかけは、先日紹介した沢木耕太郎氏の『「愛」という言葉 を口にできなかった二人のために』で取り上げられていたから。沢木氏も随分賞賛して いたし、調べてみるとヒュー・グラント主演ではないか!ビデオの裏には「『愛人/ラマン』 より叙情的、『氷の微笑』より衝撃的、愛の天国と地獄」という宣伝文。これはちょっと、 よい子は観ちゃダメ!系な映画かも?と思いつつ鑑賞。 彼らがクルーズしているのは地中海(もしくはエーゲ海)なはずなのに、海はオープ ニングからエンドクレジトに至るまで暗く、厳しい。ナイジェル夫婦は念願のクル ーズのはずなのに、全く楽しそうに見えない。後にこの夫婦には子どもを巡る意見 の相違があり、倦怠期を乗り切るための旅行であることがわかる。閉じ込められた 洋上の、退屈な船旅。 オスカーの語る、ねじれた愛憎物語。観るものは聞き入るナイジェルに同化し、 愛と憎しみ、欲望と倦怠、加虐と被虐が交錯し、逆転する流れから目が離せなくな る。乗りかかった船から降りることはできない、本作ではオスカー夫妻に翻弄され る、情けなさ100%のヒュー・グラントの演技が光っている。 ![]() オスカーは祖父から莫大な財産を相続し、作家を夢見てアメリカからパリに移り 住んだ高等遊民。働かずとも水準以上の生活を維持し、酒と女遊びに明け暮れる。 しかし彼の内面は、40歳になっても何も成し遂げていない、本の一冊も世に問うて いない負い目で病んでいた。その歪みが、極端な性生活やミミへの加虐に現れる。 ダンサーを目指しつつウェイトレスとして働くミミもまた、オスカーとの果てし ない愛欲に溺れ、自分を見失ってゆく。中身のない二人の関係に倦怠が訪れ、破綻 してゆくのもただ時間の問題だった。 過激そうに見える性描写も、さほど官能的ではない。あまりにも極端なため、 健全ではないスポーツの一種のように見えてしまう。意外な愛の行方には「それも ありか・・」という感じ。偶然の出会いと再会、後戻りできない場所まであまりに速く、 深みまで堕ちてしまった彼らの最期は、ある意味納得かもしれない。 肉欲を貪り、愛に気付くのが遅すぎたオスカーとミミ。彼らとあまりに対照的に 見えたナイジェルとフィオナ(クリスティン・スコット・トーマス)夫妻も、結局は 同じ船上の囚われ人なのかもしれない。抱き合う二人に幸多かれ。 (『赤い航路』監督・製作・脚本:ロマン・ポランスキー/1992、英・仏/ 主演:ピーター・コヨーテ、エマニュエル・セニエ、ヒュー・グラント) ![]() |
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赤い航路ピーター・コヨーテ (2004/03/21)ジェネオン エンタテインメントこの商品の詳細を見る昨日の記事で取り上げた「オリバー・ツイスト」を手がけたロマン・ポランスキー。この監督作品の僕のベストは「赤い航路」で 遅ればせながら衝動的【2007/07/03 23:34】
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| 真紅のthinkingdays |
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