物語の海~『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』

沢木耕太郎氏が雑誌『暮しの手帖』で連載していた「映画時評」をまとめた映画評論
集。誰でも知っているハリウッド大作から、アジアの小品まで、様々な国の様々な
ジャンルの映画を論じた32編。「沢木節」全開で面白く読めるけれど、「ネタバレ」も
全開なので少し、注意深く読み進める必要があるかもしれない。
タイトルにもなっている『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』とい
う文章では、成就できなかった愛を描いた何作かの映画が語られている。もちろん、
と言うべきなのか、『ブロークバック・マウンテン』もその語られるうちの一本で
ある。沢木氏が朝日新聞の映画評に書いたという、BBMについての文章を読むこと
は叶わなかったけれど、彼にとってBBMが「傑作というのではないにしても(中略)心
に残る作品のひとつ」であることがわかり、うれしく思った。
「雑誌がなくなるか、自分が映画を観られなくなるまで続けようかと半ば本気で考
えていた」。20年近く続いたという「映画時評」も、2007年4-5月号で打ち切ら
れた。最後の映画評となったのは周防正行監督の『それでもボクはやってない』。
評の最終のページには、「残念」という単語を二度使った読者への挨拶が掲載されて
いた。私自身は『暮しの手帖』の愛読者だったわけではなく、たまたま書店で手に取
って連載終了を知ったのだけれど、一つの名物連載が終わることはやはり「残念」に
思う。
(『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』/沢木耕太郎・著/
幻冬舎・2007)
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trackback
ここ最近読んだ本をまとめて2冊紹介。
ともに面白そう・・・・と図書館からゲットしてきたものです。
まずは、
タイトル作。
★「...
2009-09-29 10:35 :
ちょっとお話
コメントの投稿
こんにちは。
<確かに、これは「愛」という言葉を口にできなかった者たちの物語である。
しかし同時に、その「愛」の記憶だけで生きていける者と、
それだけでは生きていけない者との「別れ」の物語でもあるのだ。>
朝日新聞に載った沢木耕太郎のこの文章を読んで
『ブロークバックマウンテン』を観にいこうと思いました。
印象深い言葉です。
この本、図書館に置いてあるようですので
読んでみたいと思います。
<確かに、これは「愛」という言葉を口にできなかった者たちの物語である。
しかし同時に、その「愛」の記憶だけで生きていける者と、
それだけでは生きていけない者との「別れ」の物語でもあるのだ。>
朝日新聞に載った沢木耕太郎のこの文章を読んで
『ブロークバックマウンテン』を観にいこうと思いました。
印象深い言葉です。
この本、図書館に置いてあるようですので
読んでみたいと思います。
miyucoさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
そういえば、miyucoさまは確かBBMの感想記事で沢木氏の文章に触れていらっしゃったような記憶が・・。
4月から、こちらでも沢木氏の朝日新聞の映画評は読めるようになったのですよ。
あと一年早かったら、BBMの回も読めたのですが・・・。単行本化を期待して待ちますね。
記事中にも書いたのですが、この本「ネタバレ」には配慮していないのでお気をつけ下さいませ!
ラストの主人公の決め(?)セリフまで書いてあったりします。
でも、とてもいい本だと思います。基本的に、「沢木節」好きなのです。
ではでは、私もまたお伺いしますね~。
そういえば、miyucoさまは確かBBMの感想記事で沢木氏の文章に触れていらっしゃったような記憶が・・。
4月から、こちらでも沢木氏の朝日新聞の映画評は読めるようになったのですよ。
あと一年早かったら、BBMの回も読めたのですが・・・。単行本化を期待して待ちますね。
記事中にも書いたのですが、この本「ネタバレ」には配慮していないのでお気をつけ下さいませ!
ラストの主人公の決め(?)セリフまで書いてあったりします。
でも、とてもいい本だと思います。基本的に、「沢木節」好きなのです。
ではでは、私もまたお伺いしますね~。
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2007-05-25 17:37 :
:
編集
管理人宛にコメント下さった方、ありがとうございました。
ご厚意に感謝します。今後ともよろしくお願い致します!
ご厚意に感謝します。今後ともよろしくお願い致します!
こんにちは。
実は最近↑の本読みまして
誰かの感想あるかな・・と検索したら真紅さんのところが出てきてビックリ。やっぱり、繋がっているのね★
で・・・面白かったです。そうよね、ちょっとネタバレ全開で、重要場面も書かれているから
未見な人には微妙だけど。記憶を呼び起こしてくれる感じがして実に楽しかったわ。
そうか・・・もう終ったのね、連載。残念だけど
またこの手の感想読みたいわ。
それより、自分もいっぱい映画見ないとね・・
実は最近↑の本読みまして
誰かの感想あるかな・・と検索したら真紅さんのところが出てきてビックリ。やっぱり、繋がっているのね★
で・・・面白かったです。そうよね、ちょっとネタバレ全開で、重要場面も書かれているから
未見な人には微妙だけど。記憶を呼び起こしてくれる感じがして実に楽しかったわ。
そうか・・・もう終ったのね、連載。残念だけど
またこの手の感想読みたいわ。
それより、自分もいっぱい映画見ないとね・・
2009-09-29 10:32 :
みみこ URL :
編集
みみこさん、こんにちは~。コメントとTBをありがとうございます!
ウフフ、そうそう、映画好きの血がどこかで繋がっているのかしら♪
沢木さんの文体って、独特ですよね。
で、映画評はいつもネタバレ全開で(笑)。
今、A新聞にも月イチで映画評連載されてるのですが、ネタバレが酷いので読んでいません。
でもその代わり、単行本になったら必ず読もうと思っています。
映画関係の本って、いいですよね~。
で、あれも、あれも、、って観たい映画がどんどん増えていく。
でも、それがまた楽しみでもありますよね~。
後ほど伺います~。
ウフフ、そうそう、映画好きの血がどこかで繋がっているのかしら♪
沢木さんの文体って、独特ですよね。
で、映画評はいつもネタバレ全開で(笑)。
今、A新聞にも月イチで映画評連載されてるのですが、ネタバレが酷いので読んでいません。
でもその代わり、単行本になったら必ず読もうと思っています。
映画関係の本って、いいですよね~。
で、あれも、あれも、、って観たい映画がどんどん増えていく。
でも、それがまた楽しみでもありますよね~。
後ほど伺います~。