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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

2057: A SPACE ODYSSEY~『サンシャイン 2057』

20070419095958.jpg

 太陽が衰退し、50年後の地球は滅亡の危機に瀕していた。太陽を再生させるため、
核弾頭を搭載した宇宙船「イカロス2号」が8人の宇宙飛行士を乗せて太陽に向かう。
あと僅かで任務決行というその時、彼らは7年前に消息を絶った「イカロス1号」の救援
信号
を受信する・・。太陽は再生するのか? 彼らの運命は?
監督は『トレインスポッティング』『普通じゃない』ダニー・ボイル国際色豊かな
キャスト
に、日本から真田広之も参加している。ちょっと苦手なSF映画、やっぱり
怖かった。

20070419100036.jpg

 「イカロス2号」
 クルーの皆さん



★以下、ネタバレします★
 
 ダニー・ボイルは、地球上の生命体全ての源である「太陽」と、その太陽に手を加え
ようとする「科学」の傲慢さと素晴らしさを描きたかった、と語っている。 確かに、
太陽の映像はとてもリアルで美しく撮られているし、それに魅せられるクルーたち
の心情もわかるような気がする。オレンジの輝きに惹かれ、崇拝し、命と引き換え
にその姿を留めようとする彼ら。キャプテン・カネダ(真田広之)が帰還しなかったの
も、太陽の本当の姿を見たい!という欲求に逆らえなかったからだろう。展望室で
サングラス越しに太陽を見つめる彼の瞳は、間違いなく何かを求めていた。

 最初に死んでしまうカネダを筆頭に、クルーが一人減り、二人減り・・。そして
いきなり登場する「unknown」:イカロス1号のキャプテン・ピンバッカー(マーク・
ストロング)
。彼の登場でいきなりSFからホラー映画になってしまい、ここからの
展開がわかりにくいのが惜しい。キャパ(キリアン・マーフィー)とピンバッカーの対決
は決着がついたのかつかないのかわからなかったし、キャパはいつの間にか宇宙服
脱いでるし、核弾頭切り離したのにイカロス2号もろとも太陽に突入してるし・・。
おっと、いかんいかん、また考えて観てしまっている。感じなければ。

 本作ではキリアン・マーフィーが正義キャラで、とてもカッコよく、男前に撮ら
れていてうれしかった。冒頭のナレーションの声もよかった。日本期待の真田広之
は正々堂々、キャプテンを演じていたのだけれど、早々に画面から消えてしまって
残念。こんな重要な、人類の存亡がかかっているミッションなのに乗組員が少なす
ぎるとか、男性クルー数名が精神的に不安定過ぎるとかいろいろと突っ込みどころ
はあるが、怖がりつつも映像やキャストで楽しめた一作だった。

20070419100157.jpg

 Cillian Murphy


 そして改めて思ってしまったのだった。『2001年宇宙の旅』はやっぱり、凄い。

『サンシャイン 2057』監督:ダニー・ボイル/脚本:アレックス・ガーランド/
   主演:キリアン・マーフィー、真田広之、クリス・エヴァンス/2007・UK)
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はじめまして^^

私の旅行ブログで
こちらの記事を紹介させて頂きましたので
ご連絡させて頂きました。よかったらご覧下さい。

紹介記事は
http://tetudouryokou.blog97.fc2.com/blog-entry-315.html
です。

これからもよろしくお願いいたします^^
2007-04-19 14:15 : 鉄道で国内旅行 URL : 編集
こんにちは!
TB&コメントありがとうございました^^・
太陽の素晴らしさは表現されていましたね。映像にも迫力がありました。
でも科学の傲慢さですか。。。
分かるような気もしますが、私は思いっきりホラーに感じて泣きたいくらい怖かったです。
もう一人の存在も中途半端に思えたのですが、あまり考えないで、感じた方がいいのかもしれませんね♪
2007-04-19 16:26 : 由香 URL : 編集
真紅さん

記事拝見してて、かなり同感しました!
やっぱり「2001年宇宙の旅」ってすごかったな
と観てしばらくしてから改めて思ってます。
昨年大阪で映画館で観たばかりでしたが、
あれこそもっと娯楽性ゼロで、ラスト近くは
観客おいてかれてしまうんですけど、徹底して
る感じはありましたね~
自分の記事の最後にムダにその時書いた感想へのリンク置いたので
お暇なときあればまた覗いてやってください。^^
2007-04-19 21:15 : kazupon URL : 編集
由香さま、こんにちは。コメント&TBをありがとうございます。
私もめちゃくちゃ怖かったですよ。特にunknownが登場してからというもの・・。
ほとんどホラーでしたよね、SFとかサスペンスというより。
こういう作品はあまり考えて観るとお笑いになってしまいそうなので(突っ込みどころが多くて)、感じるに留めるのがいいかもしれませんね?
ではでは、次のエントリに移ります~。
2007-04-19 21:50 : 真紅 URL : 編集
kazuponさま、こんにちは。コメント&TBありがとうございます。
いや~、kazuponさまに同感していただけるとはうれしいです!
『2001年』って初めて観たとき、すっごく昔の映画だと知って心底驚いた記憶があります。
今観ても、というかこの映画と比較しても、全然古びてないですよね。
音楽もクラシックですけど、そこがまた斬新と言うか・・。
ラストは私も「???」って感じでしたけど、間違いなく映画史上の大傑作だと思います。
リンク、是非拝読させていただきますね♪
ではでは、またお伺いします~。
2007-04-19 22:03 : 真紅 URL : 編集
こんにちは♪
思いがけない展開に驚きましたが、最後まで手に汗握る展開でした。
「エイリアン」の緊迫感には及びもつかないですし、「2001年」の哲学的な感じにも遥か届きませんが、それでも面白かったです(笑)
「何が見える?」というクルー(イカロス1号に残った人)のセリフが印象に残ります。
1号のあの部屋で最後を迎えた彼は「何」をみたのでしょうかねぇ。
2007-04-20 09:43 : ミチ URL : 編集
こんにちは。
せっかく忙しいお時間を割いて観られたのに、
ただ怖い思いとツッコミどころの多さで終わられて、残念でしたね。
「感じる」ことを努力しようとする時点で、作品と合わなかったのでしょう。
わたしは、これはSFでもサスペンスでもホラーでもないと思ったので、
多くの方と違う感想になりました。

『28日後...』はこの作品同様、単に怖がらせることを目的とした作品ではないと、わたしは感じていますが、
真紅さんには合わないかもしれないので、
お薦めしたけど、撤回したほうがいいですね。
ごめんなさいね。
2007-04-20 11:38 : 悠雅 URL : 編集
こんにちは♪
ダニー・ボイル監督・・・と聞いて、『28日後・・・』や『ザ・ビーチ』系のホラーを予感し、
SF映画・・・ときいて『イベント・ホライゾン』系のやっぱりホラーを予感していたので、
なんだか、嬉しくなってしまった私です(笑)

未知なる物への探求心の怖さはとても感じました。
2007-04-20 14:04 : ひらで~ URL : 編集
ミチさま、こんにちは。コメント&TBをありがとうございます。
この映画怖かったのですが、監督に怖がらせる意図はなく、観るものの捉え方なのでしょうね。
「何」が見えるのでしょうね?カネダやキャパも、最後に同じものを見たのでしょうか。
それは神、だったりして・・・。
またお伺いしますね。ではでは~。
2007-04-20 15:52 : 真紅 URL : 編集
悠雅さま、こんにちは。コメント&TBをありがとうございます。
怖い思いと突っ込みどころだけではなく、キャストと映像は楽しめたのですよ。
何よりキリアンがかっこよかった・・。正義キャラで。
悠雅さまの感想は、ひらで~さまの感想に近いな、と思いました。
監督は怖がらせることが目的ではなかったと私も思います。
「unknown」の登場以降、わかりにくくなってしまったのが残念でした。
『28日後・・』のほかにもダニー・ボイルはあまり観てないので、機会を作って観ていきたいと思います。
またお邪魔しに行きますね。ではでは~。
2007-04-20 16:04 : 真紅 URL : 編集
ひらで~さま、こちらにもコメントとTBをありがとうございます。
レオファンなのですが、『サ・ビーチ』未見なのですよ~、あれってホラーなのですか?
環境破壊の問題でかなり槍玉に挙げられた映画だったように記憶しています。
ダニー・ボイルはこれで三作目だったので、監督の思想や方向性が私には理解できてないと思います。
「未知なる物への探究心」それが科学なのでしょうか・・?

多くのコメント&TB、ありがとうございました!またお邪魔しに参りますね。
ではでは~。
2007-04-20 16:20 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、はじめまして。以前マイケル・カニンガムの記事を拝見させていただきました。カニンガム中毒のhorikenと申します。「サンシャイン2057」の脚本を書いているアレックス・ガーランドの小説が大好きなので私も見たのですが、私は「生と死」についての映画だと感じました。全編に渡って「死」を連想するフレーズが台詞で繰り返されてましたし。それに、カニンガムの「星々のうまれるところ」と繋がってるというか……。

長くなりますが、以下映画のネタバレがあります。

映画のクライマックスで宇宙服を着たキリアン・マーフィーがイカロス2号から、本船から切り離した核爆弾のある部屋に飛び移るシーンで、キリアンが寝ている時に見た太陽に落ちていく夢の映像と宇宙を飛ぶキリアンの映像が交互に映し出されました。なので寝ている時に夢で見た光景は、キリアンが爆弾のある部屋に向かって飛んでいく事を予言していた事になりますが、爆弾のある部屋で彼は死んでしまうので、あの夢はキリアンの死を予言していた事になると思います。もしくは、キリアンは「自分の死」を死ぬ前から意識していたという事なのだと思うのです。(もっというと、乗組員は冒頭から皆「自分たちはこの旅で死ぬんだ」と自覚している印象がありました)なのでキリアンがあの夢を見た、そしてその夢は正夢だったという事の意味は「人は潜在的に「自分が死ぬ事」を待ち望んでいる。人の最大の夢、人生の最大の目的は死ぬ事だ。」という事なのだと思うのです。
ラスト、キリアンが核爆弾を操作した事で太陽の炎は復活して、地球に光が戻ります。命の源である太陽が消えてしまうというのは「地球上全ての生命の死」を意味しますが、ならば反対に太陽が復活するという事は「生命の誕生」という意味にとらえられます。
つまりこの映画の世界では太陽は命を与えるもの(地球に光が降り注ぎ、命が生まれる)でもありながら、太陽は人間の命を奪うもの(太陽の光が消えてしまい人類が滅びる。太陽の熱で乗組員が焼き尽くされる)であるのです。監督のダニー・ボイルがこの映画で太陽=神と言っているのはそのためだと思います。ですが、もう一つの意味として死と生はコインの表と裏の様に一つのモノの表と裏でしかなく、実は同じものなのではないのかという意味にもなります。なのでキリアンの死の後に、地球に太陽の日が昇ってくる映画の最後のカットは、火事で燃えてしまった酸素供給用の植物の中から、一本だけ新しい植物の芽を生やし出しているのを女の乗組員が見つけるシーンと同じ意味を持ってくる様に思うのです。死があるから誕生がある、誕生があるから死がある、という。しかも芽を見つけた後に殺された女の乗組員が、その新しい芽を握りしめたまま息絶えているという映像がラスト辺りにありました。まさにコインの表と裏を表しているかの様に。

キリアンが死ぬ時の核爆弾の炸裂する映像がまるで星空の様に奇麗だったり、そのシーンのキリアンの恍惚とした表情などを見ていると、まさにカニンガムの「星々の生まれるところ」で引用されていた「死ぬ事は誰が考えた事とも違って、もっと幸運な事なのだ」というホイットマンの言葉の世界なのではないかな、と私は思いました。死と誕生は同じものの表と裏でしかない。
この映画大傑作だと思ってます。映画というより映像文学なんじゃないかな、と。

長々と申し訳ありませんでした。これからも、ブログのほう拝見させていただきます。この映画と「28日後」の脚本を書いたアレックス・ガーランドはもともと小説家ですが、本の方も面白いですよ。「ザ・ビーチ」の原作を書かれた作家さんです。
2007-04-21 04:49 : horiken URL : 編集
↑のコメント、送信するまでこんなに長々と書いてるのに気づきませんでした。本当に、申し訳ありません。
2007-04-21 04:59 : horiken URL : 編集
horikenさま、初めまして!拙ブログへお越し下さり、コメントありがとうございます。
カニンガム中毒でいらっしゃるのですね。彼が来日した際は講演へ行かれたのでしょうか。
長いコメント大歓迎です、どうぞお気になさらず。

さて。この映画がカニンガムの「星々の生まれるところ」と繋がっている、という考察は凄いですね。
う~ん、鋭いです。
確かに、全編「死」の予感に彩られていますし、クルーたちがそれを望んでいるようにも取れないこともないですね。
(通信士の彼だけは「生」に固執しているように感じられましたが)
生と死が実はコインの裏表のように一体であり、太陽がその象徴であるというのはまさしくその通りだと私も思います。
太陽に魅せられたカネダの行動は、その太陽の一側面「死」に魅せられた結果である、ということになりますね。
そして同時に生と死を司るのが神である、だから太陽が神なのだ、という宗教的な考えにも繋がります。
そういえばこの映画を撮った後、キリアンが「無神論者になった」と語っていたというのをどこかで読みました。
彼もこの映画を通して、生と死や宗教観に考えるところがあったのですね。
キャパの夢が予知夢であるというのも納得です。

ブログをやっていると映画を純粋に楽しむことなく「考えて」観てしまい、そのことの反省からこの映画は敢えて「考えずに」観ていました。
また「unknown」の登場がインパクト大で、この映画のホラー的側面に意識が集中してしまった感があります。
加えて近頃は新作映画を観る機会が多く、映画をただ単に「消費」するように観てしまっていたのかもしれません。
しかし、「映像文学」という言葉にはっとしてしまいました。
この映画は「考える」、少なくとも「感じ取る」べき映画だったのだとhorikenさまのコメントで今更ながら気付かされました。
監督や脚本の意図を汲み取ることを忘れ、流されて観てしまっていたのですね・・。大いに反省させられました。
アレックス・ガーランドの小説は読んだことがありませんので、探してみたいと思います。
『28日後・・』も未見ですので是非観てみたいと思っています。ご紹介ありがとうございます。

いろいろと考えさせられ、気付かされました。ブログタイトルを「thinkingdays」としたことを思い出し、初心に戻って今後続けていきたいと思います。
よろしければまた是非いらして下さいね。ありがとうございました。
2007-04-21 05:52 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、長々としたコメントに返信頂き有り難うございます! 

私がカニンガムにハマった時にはもう講演が終わっていました。一体どんな話をされたのかが気になって仕方がなくて、後悔してます。でもBSのインタビューは観れました(笑 カニンガムの本には、小説のとてつもない可能性や凄さを見せられた気がします。

キリアンの「無神論者になった」発言は初めて知りましたが、興味深いのはこの「神」というものは何なのかという事だと思います。真紅さんのコメントを読ませて頂いて気付いたのですが、キリアンの発言を詳しくは知りませんので推測ですが、キリアンはこの映画によってキリストなどの「人格神」というものへの違和感を感じたのではないかな、と。神と言うと多くの人が人の形をした神を思い浮かべますが、キリアンの発言や真紅さんのコメントを読むと、この映画の「unknown」は人格神に対しての一つの考え方の様にも思えました。私は映画の流れ上、あのシーンでは人の形をした何かしらの神が現れると思っていたので(真田広之に向けて「何が見える?」という感動的な台詞もありましたし、当然太陽の向こうに何が見えるのか期待してしまいました)、「unknown」が人の形をした神や未知の何かではなく全く神々しさの欠片もないあの様なものでしかなかったのは驚きでした。つまりは、人々の多くが信じている人格神の正体が「unknown」なのではないかと。それと対比させるように、太陽の炎や核爆弾の爆発に神々しさや未知の何かを感じさせる映像だったのは、本来の意味でいう神と言うのは人の形をしているわけではなく、もっと途方もないなにかだろうと言われた気がするのです。

「考えて」観るというお話ですが、「考えて観る」と「感じ取る」は全く別のものだと私は思っています。感じ取った感覚が好きだから「意味」を与えたく思い「考える」のだと思うのです。この映画の、宇宙を飛ぶキャパの映像と夢の映像が交互に映し出されたシーンや、核爆弾の爆発シーンに私は何故か涙が出て仕方ありませんでした。きっとそれは「死ぬ事、人生を生きる事」というものが人にとって何を意味しているか、という事を映し出された映像から無意識に感じてしまったからだと思います。人や本や映画を観た時にそこから何かを感じ取り、自分の記憶の中にある「知識」と感じた「感覚」を照らし合わせた時に「考える」という行為が起こって、あの時感じ取った自分の好きな感覚に「意味」が与えられ、感覚が新しい「知識」になり、永遠にそこで覚えた感覚が知識や記憶として頭に残るのだと思うのです。この「考えて観る」のか「感じ取る」のかというのは、私にもかなりの課題だったりします(笑

実は、ブロークバック・マウンテンも、私大好きなのです(笑 これだけの内容のブログを書かれるのは大変だと思いますが、これからも楽しみにしてます。真紅さんがとてもゾクゾクするエキサイティングなお話をされたので、コメント長くなってしまいましたね。では、では。
2007-04-21 19:12 : horiken URL : 編集
horikenさま、こんにちは。再びのコメント、ありがとうございます。
私も講演には行きそびれたのですが、行った方の話によるとカニンガムはとっても素敵な紳士だったそうですよ。
『めぐりあう時間たち』のコメンタリを聴いていないので、再見しなければとずっと気になっています。

 さて、キリアンは、彼にとってこの作品は科学と宗教の闘い、もしくは根本主義に代わる科学との闘いだ、と発言しているようです。
彼の発言の真意はわかりませんが、太陽に核弾頭を打ち込み再生させたことで、科学の勝利を感じたのかもしれないですね?
神が人の形をしているわけではない、更に言えば、人が生み出したものは神には成り得ない、ということかもしれません。
深読みすると、様々な解釈ができる気がします。

 ブロークバック・マウンテンがお好きなのですね!
私にとってあの映画は、まさしく「感じ取り」、そこに意味を与えたくて考え続けた作品でした。
というか、今でも考え続けています。考えることが止められないんですよね。
それだけ深い映画だったと思っています。
私の母がBBMを評して「人が一生を生き抜くということを深く考えさせる映画」と言ったのですが、horikenさまの『サンシャイン』を観た感覚と似ていませんか?
なんだか不思議ですね。生き抜いた先には必ず死があるわけですから。
アン・リーの発言にどうしても考えさせられるものがあり、それについてずっと考えているのですが答えが出ません。
でもいつか必ず記事にまとめたいと思っています。いつか、近々。
今後ともよろしくお願いします。読んで下さっているかたの存在を励みに、なんとか続けて行きたいと思っています。
ではでは!
2007-04-21 23:21 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、こんにちは。ご無沙汰しております。
先日は拙ブログへのコメント、ありがとうございました!
皆様の鋭い考察も拝読させていただきました。
私はというと、観ている間も今も、ただ作品の迫力や凄さに圧倒されるだけで、
感じたものをろくに言葉にもできずに、「とりあえずもう一回映画館で観たい」と
毎日もやもやしております。
宇宙飛行はおそらく体験できないだろうけど、あの映画を観ている間は
太陽に少し近づけたような気がするから…なのかな?
キリアンの演技が素晴らしくて、キャパというキャラクターもすごく好きになってしまいました。
ttp://jp.sunshinedna.com/videos/33
映画では↑(最初のhを抜いています)このシーンが大好きで、このクリップや他のページを見ては
映画を思い出しているこの頃です。冒頭のナレーションも素敵でしたね。
それでは。とりとめのない文で失礼致しました。
2007-04-23 17:17 : sino。 URL : 編集
sino。さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
拙宅では本当にお久しぶりですね。
私は昔から、宇宙とか考えるだけでも怖いんです。
宇宙飛行とか、とんでもない!という感じで・・・。
だからこの映画にあまり乗れなかったのかな?とも思います。DVDで観ていたら違っていたのかも・・・。
そういえば、宇宙関連SF映画を劇場で観たのは初かも?しれません。
キリアン、一番いいキャラ設定でしたよね。真田さんは早々にいなくなるし。
そうそう、冒頭のナレーションもよかったです。ロバート・キャパって名前に何か意味があるのかな?と思ったんですけどなかったですね(笑)
またいつでもいらして下さいね。私も伺います。ではでは~。
2007-04-23 21:55 : 真紅 URL : 編集
感じる考える
こんにちはー。
TB、反映されないようなので、また後で試してみますー。
私の場合、娯楽ハリウッド映画の脚本の粗さにツッコむのは大好きなんですけど、こういった作家性の強い作品に向き合った時はツッコみ姿勢にはならないんですよねー。例外はあるかもしれませんが、まぁとにかく本作に関しては、どっぷり感じるモーで、時に思索にふけりつつ、とても楽しめてしまいました。
horikenさんのコメントも大変興味深く読ませていただきました。
>感じ取った感覚が好きだから「意味」を与えたく思い「考える」のだと思うのです。
というのはなるほどその通りだなーと思いました。
私もあれこれ考えはしましたが、設定や状況の辻褄の合わない部分を探すことより、哲学することに魅せられてしまうカンジでした。
そもそもキリスト教というのは(神が世界を創ったなんて)出だしから科学と相容れないもので、宇宙の旅というのは思い切り科学によって成り立っているものなのに、それでも人間は宇宙空間では神の存在を意識してしまうような感覚がすごくおもしろかったんですよ。神っていうのはもちろんキリスト教の神だとかイスラム教の神だとか限定されたものではないもので。
なんて、、ハマれなかった真紅さんのところで長々とすみませんー。
キリアンは今回もすんごくよかったですねー
2007-04-28 18:07 : かえる URL : 編集
かえるさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
TBはお手数かけてすみません!
「作家性の強い作品」なるほど、そうですね~。
私はダニー・ボイルは初期の2作品しか観ていないので、彼の世界観のとっかかりがつかめなかったのかもしれません。
この映画、「哲学する」とかえるさまもおっしゃっていますが、まさしく観る方によっては深い思索の旅に出られる作品のようですね。
それだけ力のある作品なのだと思います。
そもそも「宇宙の果てってどうなっているんだろう?」っていう問いは哲学ですもんね。
ず~っと考えること、それが哲学だと思います。
「神」についても、これはhorikenさまもおっしゃっていますが、「人格神」を否定している映画だとも取れますよね。
太陽が神であり、そこに近付くものは破滅する、と。これもひとつの矛盾ですね。
なんだか考えれば考えるほど、深い映画だったんだな~と思います。
嵌れなくて返す返すも残念です!
キリアン、よかったですよね~。大好きです。『28日後・・』観なくちゃですね。
またお伺いしますね。かえるさまは映画三昧の連休でしょうか?
楽しんで下さいませ~。ではでは!
2007-04-28 20:12 : 真紅 URL : 編集
真紅さま、TBいただきましたので、コメントさせていただきますね♪

上のコメントの数々を拝読しまして、監督は何らかの瑕があっても「感じさせる力」があり、結果として何か考えずにはいられない映画を作っているような気がいたしました。
宇宙映画苦手なワタシも、監督の映画だから観て、やっぱり
こういう映画だったのね~と妙に納得していたのでした。

真田広之のキャプテンは感受性と責任感が強いキャプテンとして印象に残りました。私は彼の起用の仕方は好きです^^
サムライっぽくて☆
2007-04-30 01:08 : パフィン URL : 編集
パフィンさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
TBのみで失礼いたしました。
ダニー・ボイルって、やはり「鬼才」と言われるだけあって一筋縄ではいかない感じですね。
今後は心して鑑賞しようと思いました。
観た直後より、少し時間がたった今の方がこの映画についていろいろと考えている気がします。

真田さんのキャプテンは、登場時間は短かったのですが印象的でしたね。
サムライですか~まさしくその通りですね!
ではでは、またお伺いします。華麗なる休日をお過ごし下さいませ~。
2007-04-30 01:38 : 真紅 URL : 編集
太陽がいっぱい
真紅さん、オハヨウです。

なんばパークスシネマは大阪市内最大で、
緑と一体となった良いシネコンです。
今だとポプコーン割引やお得な特典もあります。
さて、この映画はナビオで観たのですが、
ブリティッシュなSFでした。
チョッとシニカルで意地悪な感じが、
万人受けしないと思いますが、
何年後かにはカルトSFの傑作、
なんて呼ばれているかも・・・。

哲学的で、奥の深い映画です。
2007-05-05 10:22 : TATSUYA URL : 編集
達也さま、こんにちは。コメントありがとうございます。
なんばパークス、一度も行ったことがないので興味津々です。
新しい劇場っていいですよね、綺麗でシートも座り易く、音響もいいし。
機会を作って是非出かけてみたいと思います。
さて。この映画はわかる人にはわかる、わからない人にはわからない、まさしく観る人を選ぶ作品ですね。
流されるように映画を観ていた自分をすごく反省させてくれた作品です。
それに気付かせてくれたコメントを下さった方々、ブログ仲間の皆様に感謝しています。
もう一度観たかったのですが・・。
貴宅にも伺わせていただきますね。ではでは~。
2007-05-05 20:29 : 真紅 URL : 編集
これもつい最近観たのですよ~。キリアン目当てだったので、結構退屈したけど、あとから考えてみると色々深いとこもありますよね。
2008-11-09 08:15 : chuchu URL : 編集
chuchuさま、こちらにもありがとう。
そうそう、この映画結構深かったりしますよね~。キリアンもよかったと思います。
ではでは、後ほど~。
2008-11-10 09:40 : 真紅 URL : 編集
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 Cor Cordium 
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