![]() ポーランドの巨匠、故・クシシュトフ・キェシロフスキの遺した三部作『天国』『地獄』 『煉獄』のうち、『地獄』を映画化した作品。『天国』は『ヘヴン』として、ドイツの 俊英トム・ティクヴァが映画化している。本作の原題は『L' ENFER』、英題は 『HELL』。いづれも『地獄』というストレートなタイトル。父親(夫)の不在という 心の傷を持つ三姉妹とその母親の生き様と、運命に対峙する姿を描いた佳作。監督は 旧ユーゴ出身のダニス・タノヴィッチ。 少女が扉を開くと、裸の少年と男が立っている。光と影が万華鏡のように交錯する タイトルバックに、托卵するカッコウの姿が映し出される。刑務所から出てきた男が、 落とされた雛を巣に戻す。謎めいたオープニング。少女は誰なのか? 男は何処へ向 かうのか。 主人公である三姉妹は、それぞれに美しく、それぞれに独立した生活を送っている。 夫の浮気を疑い、苦しむ長女ソフィ(エマニュエル・ベアール)。車椅子でしか動けず、 しゃべることもできない老いた母(キャロル・ブーケ)の元に、電車に乗って足繁く通う 次女セリーヌ(カリン・ヴィアール)。友人の父親である大学教授と不倫の関係にある 三女アンヌ(マリー・ジラン)。姉妹の感情のもつれやドロドロではなく、それぞれの 人生がそれぞれに描写されてゆく。 ![]() 何故、母親は動くことも、しゃべることもできないのか。三姉妹は何故、互いに行 き来することなく生きているのか。何故、次女は恋愛もせずひたすら母の元に通い、 孤独に生きているのか。三女は何故、父親ほども歳の離れた家庭のある男性に執着す るのか。その謎は、次女の元に現れた男性の告白によって明かされることになる。 ★以下、内容に触れます★ 長女は母と同じように夫を拒絶し、子どもたちを連れて離婚する。破られた写真が、 そのまま彼女の引き裂かれた心を表しているようで痛々しい。女として愛されない悲 しみ、悔しさが、母親譲りの激情となって長女を駆り立てる。父親の秘密を見てしま った負い目から愛に臆病になる次女。父親の愛を知らない空洞を埋めるかのように、 不倫に身をやつす三女。三人の女優がそれぞれに魅力的で美しく、業を背負ったもの の悲哀を体現していて素晴らしい。親によって傷つけられる子どもたち。血と宿命に より、それでも親と同じような生き方しかできない女たち。雨に打たれ、自らの肉体 と運命を浄化しようとするかのようなソフィ。愛した男をも父のように喪い、髪を切 るアンヌ。真実を語る男によって、解放されるセリーヌ。三姉妹が初めて集い、母の 元へ向かうクライマックス。 「それでも私は何も後悔していない」母親の言葉に、三姉妹は何を思ったか。私は戦慄し、 この母親に自らの運命と人生を引き受ける強靭さを感じた。果てしない地獄を生き抜 くために、女は強く、決して壊れない。母親を演じたキャロル・ブーケの、壮絶な凄 みある演技に圧倒される。 重く苦しい運命が語られるなか、次女に恋する車掌や、彼女と母を優しく見守る施設 の老人(ジャン・ロシュフォール!)がオアシスのように救いになっている。「地獄に仏」、 修羅の道にも一筋の光が見える。 (『美しき運命の傷痕』監督・脚色:ダニス・タノヴィッチ/ 原案:クシシュトフ・キェシロフスキ/主演:エマニュエル・ベアール、 カリン・ヴィアール、マリー・ジラン、キャロル・ブーケ/ 2005・仏、伊、ベルギー、日本) ![]() |
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こんにちは。
三部作を別の監督が撮るというのもなかなかおもしろい試みですよね。 そこにおこった出来事の一つ一つはドロドロだったのに後味は悪くなく、見ごたえに満足しました。 キェシロフスキ作品も素晴らしいので、ぜひぜひご覧くださーい。 「デカローグ」シリーズもしびれます。
【2007/04/02 18:59】
URL | かえる #-[ 編集]
かえるさま、こんにちは。コメント&TBありがとうございます。
女優さんたちの演技が本当に見応えありましたね。皆さんスタイルがよくて・・。美しい! 今年の目標として「キェシロフスキ作品を観れるだけ観る!」というのがありますので、少しずつ観ていきたいと思います。 またお伺いしますね。ではでは〜。 お邪魔します〜
見応えのある作品でしたよね。 冒頭の映像もインパクトありましたね。 あの謎めいたオープニングから引き込まれて しまいました。 やはりキャロル・ブーケの言葉には ただならぬものを感じますよね。 母は強し・・だわ。 ジャン・ロシュフォール・・意外なところで出てきてビックリしましたわ。豪華な出演者でしたよね。
【2007/04/03 11:01】
URL | みみこ #mQop/nM.[ 編集]
みみこさま、こんにちは〜。コメント&TBをありがとうございます。
大変見応えのある作品でした! 母は強く、壊れませんね。凄かったです・・。 女優さんが皆綺麗で羨ましかったですわ。 贅肉というものがついてないですよね〜、溜め息・・。 ジャン・ロシュフォール、私はお久しぶりだったのですが随分おじいちゃんになったなぁ、という印象でした(失礼)。 『煉獄』や、キェシロフスキの作品観るのが楽しみです。 ではでは、またお伺いします〜。 真紅さん、こんにちは〜
私もやっとの思いで書き終え、UPしたので、お邪魔しました。 考えすぎると書けなくなりますが、思い巡らさないと書けない時もあるのだと、未熟な私は今回思い知りました(泣) そうでしたね、忘れてました、破られた写真を飾ってありましたね。 そして浮気相手のベッドに忍び込む… やっぱりフランス映画は怖い一面をズバリと描いていて、怖いですね。 あの母も怖かったです。 なのに、『ヘヴン』も観たくなって来てます。天国だから大丈夫かしら? 真紅さんはもうご覧になったのですね。観たらまたお邪魔していいですか? TBさせて頂きました。 fizz♪さま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます!
この映画、考え出すと止まりませんね。『王女メディア』とか『神曲』とか、様々な古典の要素も含まれているようですし。 残念ながら私は古典には全く疎いので、この映画の本質を理解できてないのかもしれません。 そして更に残念なことに、フランス映画にも疎いのです(泣) あのお母さんは・・・、鬼ですよ!(怖) 『ヘヴン』、よくぞ私に聞いて下さいました!あれは・・・、あれは大傑作ですよ!! もう、感動のあまりしばらく動けませんでした。 観て下さいませ〜、是非是非!そしてお話しましょうよ〜。 いつもありがとうございます。後ほど伺いますね。ではでは。 真紅さま、こんばんは♪
ようやくこの作品を見ることができました。 面白かったですねえ♪見応えありました。 真紅さまが教えてくださったカフェオレボール、可愛い色でしたね。 でも、すぐ割れてしまって・・ ああ、片付けないと・・・とか貧乏性な私でした。 雨、ひどくなりませんように・・。 洗濯物が・・^^; 武田さま、こんにちは〜。コメントありがとうございます。
この映画、タイトルバックの万華鏡とか、姉妹それぞれの葛藤とか・・。妙に印象に残っています。 それにあのお母さん・・・。「オカン」とは対極にあるような・・。 どうしてカフェオレボウルってああいう形なんでしょうね? せっかくの三連休なのに、土日はこもってしまいそうですね。 私は明日、ポケ○ンに行くんですけどね・・・・・・・・・・・。たとえ土砂降りでも!(泣) 後ほど、コメントに伺いますね。ではでは〜。 ![]() |
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| 真紅のthinkingdays |
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