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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

あるいは裏切りという名の記憶~『ゆれる』

20070322085454.jpg

 東京でカメラマンとして成功し、「自分にしかできない仕事をして、いろんな人に
会って、金稼いで」;「素晴らしい人生」を送ると、田舎で家業のガソリンスタンドを
継ぎ、「仕事は単調で、女にはモテない、家に帰れば炊事洗濯親父の講釈、おまけに人
殺しちまった」;「つまらん人生」を送る。田舎の渓谷に架る吊橋から転落した二人の
幼馴染。事故なのか、事件なのか? 逮捕された兄、兄を助けようとする弟。裁判の
過程で記憶はゆらぎ、騙し、裏切り、大切なものを奪い去ってゆく。あぶり出される
人間の本性、兄弟の確執が緊張感溢れるタッチで描かれる心理劇。主演は弟・猛に
オダギリジョー、兄・稔に香川照之。2006年、各方面大絶賛も納得の一作。

 映画はキャスティング次第、とどこかの映画監督が言っていたけれど、この映画の
成功はオダギリジョーと香川照之という二人の、優れた俳優の演技に負うところが大
きい気がした。この二人の真っ向、ガチンコ勝負!には痺れた。特に香川照之。本当
に巧い、稀有なる役者さんだなぁとつくづく思う。微妙な表情の変化、情けない仕草、
背中の演技、ひとつひとつが余りにも巧妙で、嫌味ギリギリのところでリアリティを
保っている
。彼が自らを「つまらん人生」だと自嘲する場面から、一気に物語にのめり込
んでしまった。オダジョーもまさしくハマり役。自由奔放に生きる、身勝手で自己中
な弟がそこに生きている。

20070322085612.jpg

 兄弟のいる人なら誰もが感じているだろう、嫉妬や軋轢や遠慮や共感。それらのひ
とつひとつを丁寧に見せながら、観るものの心の襞に忍び込んでくるような映画だと
思う。私は姉も妹もいるから両方の立場になり得るけれど、どちらかと言えば弟の方
に自己投影して観たかもしれない。弟の方がよりわかり易くキャラクター造形されて
いたように思う。

 そう、この兄・稔は一見いい人そうで何を考えているのかわからない、かなり鬱屈
した、複雑なキャラクター
だ。長男だから、兄ちゃんだから、お母さんが死んだから・・。
そうやって誰に言われたわけでもないのに自分を自分で縛って、無意識のうちに抑圧
されて、いい人の仮面を被っている。いや、彼は本当に「いい人」なのかもしれない、誰
だって心の深層は様々な感情で混濁しているものだから。クライマックス、証言台に
立つ弟を見つめる彼の微妙な表情、諦めたような、笑っているような、見下したよう
な・・。この表情の意図するところは何だったんだろう?

20070322085747.jpg

 そしてこの映画は法廷劇でもある。しかし残念なことにこの法廷場面にリアリティ
がない!検察官がいきなりキム兄(木村祐一)で、かなり引いてしまった・・。裁判の
作劇中、検事や兄弟の伯父でもある弁護士(蟹江敬三)の陳述が、ドラマがかってい
て全く嘘臭いのだ。裁判長(田口トモロヲ)も然り。主演二人の迫真の演技で緊迫感
が最後まで持続する中、この裁判場面だけはいただけなかった。

 家族の中で「家」を誰が守っていくか。それは土地と血縁がある限り代々続いていく
課題で、田舎ならば一層重くのしかかる難題だろう。兄弟の父(伊武雅刀)と伯父の間に
も、残ったもの、出ていったものの確執があり、家族だから許せることは家族だから
許せないことでもある。「あの伯父さん、昔からダメなんだよね」伯父と同じく家を捨て、
出て行った弟。家族だから、許さなければならないこと、なのかもしれない。そして
兄は自ら「許せないけれど許さなければならない」存在になろうとする。
 
 記憶が思い出に変わるとき、そこには無意識の脚色が加わる。記憶は嘘をつく。記憶
はゆらぐ。記憶は不確かだ。
しかしそのやっかいな記憶というものに救われることだ
ってある。「兄ちゃん、うちに帰ろうよ、兄ちゃん!」弟の叫びは、兄に向かって確かに
届いたと信じたい。たとえ彼がバスに乗ったとしても。

『ゆれる』監督・脚本:西川美和/主演:オダギリジョー、香川照之/2006・日本)
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真紅さん、この映画観てるときは女性監督って
知らなくて、あとでびっくりした記憶があります。
先日、日本アカデミーのときTVに映ってましたがなかなかおきれいな方なんですね。
インタビュー読むと、自分の腐れ縁の男性の
事を想定して書いた脚本だそうで(笑)
男性に対してかなり冷めた目線で観てるなぁ
よく観察してるなぁと思いました。それは
オムニバスだった「ユメ十夜」でも感じました。
2007-03-22 22:07 : kazupon URL : 編集
現実味に欠ける後半
コメントとTBありがとうございます♪
この映画は真紅さんと同じく二人の演技が見所だと思います。展開は上手いけれど、事故から裁判そしてラストに至る部分は強引で、現実味が欠けてしまったような気がしました~。
2007-03-22 23:42 : パフィン URL : 編集
真紅さま、こんばんは~♪
コメントいただき、ありがとうございました。
今日は珍しくTBとびましたよ~。
裁判に入るまでは異様に細かくリアルでしたよね。
わ、残酷・・と何回も思いました。
2007-03-23 00:40 : 武田 URL : 編集
真紅さん、こんにちは♪
オダジョーなのと、この監督の前作『蛇いちご』も面白かったので
期待して重い腰を上げて劇場で去年観ましたよ。
超満員でした(汗)
書き下ろしで脚本まで自分で書いたと知り、天才だと思いました(笑)
人間観察力の冷徹さで「家族」に切り込んでいますよね。
いつもキャスティングの上手さに感心してましたが
真紅さんと同じくキム兄でこけました。
香川さんもオダジョーも役者冥利を味わったでしょうね♪
真紅さんの記事の最後の一文に、全く同感です!
2007-03-23 00:52 : fizz♪ URL : 編集
kazuponさま、こんにちは。コメント&TBありがとうございます。
そうなんですよね、西川監督ってオダジョーと同世代で、しかも美人!
是枝監督の弟子(?)なんですよね。
デビュー作の『蛇イチゴ』未見なんですけど観てみたいなと思いました。
『ユメ十夜』にも参加しているんですか!知りませんでした。。
すごく才能ある方ですよね。
でもちょっとダークサイドをえぐり過ぎだと思うので、次回作はもうちょっと希望が持てる映画を希望します。
ではでは、またお伺いします~。
2007-03-23 06:15 : 真紅 URL : 編集
パフィンさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
私も裁判場面に引いてしまいました。なんかあそこで2時間ドラマになってしまった気がしました。
現実的に描くばかりがよいとは限らないのかもしれないんですけど、もうちょっとリアリティが欲しかったですよね。
またお伺いしますね、ではでは~。
2007-03-23 06:28 : 真紅 URL : 編集
武田さま、こんにちは!コメント&TBありがとうございます。
私もさっきリトライしたらTB成功しました♪
いつもこうであって欲しいですね~。。
この映画の肝は、ガラス窓を挟んで兄弟が対峙する場面だと思います。
あの二人の演技合戦、凄かった・・。
智恵子の部屋とか兄弟の実家とか、リアルでしたね~。
裁判でもリアルさがあったらよかったのに。。
ではでは、またお邪魔しに行きますね~。
2007-03-23 06:32 : 真紅 URL : 編集
fizz♪さま、こんにちは~。コメントありがとうございます。
おお、『蛇イチゴ』ご覧になってるのですね!さすが~♪
私も劇場で観たくて仕方なかったのですが・・。涙を呑みましたよ。
満員だったんですか!もっと拡大公開してくれ~(叫)
『蛇イチゴ』には宮迫さんが出てるんですよね。
監督、お笑いの方を起用するのが好きなのでしょうか?
キム兄の演技を褒めてる方が多いので、同意見があるとうれしいです~。
結構映画に出ていて役者としても素晴らしいのかもしれないんですけど、彼のキャラがこの映画のトーンと合ってない気がしました。
どう考えても、あのあと兄はバスに乗ったと思うんですよね・・。
そしてその後の人生で、刑務所に入るまでの自分の人生は「素晴らしい人生」だったんだと感じてくれたらうれしいです。
ではでは、またお伺いしますね~。
2007-03-23 06:42 : 真紅 URL : 編集
真紅さん おはようございます!
さすがです!とっても的を得た、納得のレビューですねぇ。
表現が難しいこの作品を、ここまで分析されておられて驚きました。
真紅さんの仰るとおりでした。
主演のお二人は見事でしたし、その役者の魅力を最大限に引き出された西川監督の力量もかなりなもんですよね!
2007-03-23 08:46 : なぎさ URL : 編集
なぎささま、こんにちは。コメントありがとうございます。
いえいえ、自分では何だか「ありきたり」なことしか書けてない気がして、この感想あんまり納得はしてないんですよ。
心理学とか勉強してたら、もっと兄弟の心理がわかるのかな・・と思いました。
主演のふたり、特に香川照之さんって、ホント凄い役者さんですね。
脇ではよく見かけるのですが、彼の主演映画は未見なので『鬼が来た!』とか観たいなと思いました。
西川監督には今後も頑張って、いい映画撮って欲しいですね!
ではでは、またお伺いします~。
2007-03-23 09:15 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、こんにちは。
わ~、ご覧になれたのですね♪
いつだったかのキネ旬、香川さんがご自分の連載の中で去年後半に亡くなったこの映画の撮影監督のことと『ゆれる』のことについて書かれていました。香川さんにとっても『ゆれる』は特別な映画のようです。

「にいちゃん!」なのがいい。「兄さん」でも「兄貴」でもなく「にいちゃん!」なのが。そしてラストで流れるあの歌が、またいいんですよね。おかげでふたりの間には希望が残っている気がします。
それにしても西川監督はほんとに美人で、お顔を拝見して軽く嫉妬しました。才能もあって美人なんて、不公平だよう。むむう。
2007-03-23 10:51 : かいろ URL : 編集
かいろさま、こんにちは。コメント&TBありがとうございます。
私も香川さんが『ゆれる』を「公開したくない」と言っているのを見たことがあります。
公開して観客のものとなるより、自分(だけ)の映画であって欲しい、そんな思いだったようですね。
香川さんもオダジョーも一人っ子で兄弟はいないようなのですが、複雑な感情がよく出ていましたよね~、凄い演技でした!
「兄ちゃん」もそうですけど、亡くなった母親を「お母さん」と呼んでいるのもよかったです。
西川監督、ほんと綺麗な人ですよね、かわいい。
嫉妬って、かいろさまだって美人じゃないですか!会ったことないけど(笑)
あ、ドラえもんに似てるんだよね、女は愛嬌よ!うんうん。
ではでは、後ほど伺いますね。
2007-03-23 19:11 : 真紅 URL : 編集
こんばんは,TB&コメントありがとうございました。
私はありとあらゆる角度からこの映画にケチをつけているのですが,
まだケチをつけきっていない気がします。
『グエムル-漢江の怪物-』が,私の「好き」をすべて盛り込んだ作品
なのと逆に,これは「嫌い」を余すところなく盛り込んでいました。
よくぞここまで盛り込めたものだと感心するほどです。

とりあえず,キム兄のミスキャストだけでも,いろいろとツッコミが
入れられるでしょうね。でもテアトル梅田ではわずか2週間で公開が
打ち切られてしまった『松ヶ根乱射事件』でのキム兄は,
これしかない!というヤクザな男を演じていましたよ。
キム兄,そして寺島進の2人は,やはりヤクザを演じてこそ,
魅力が最大限に発揮されるように思います。
2007-03-24 00:15 : 丞相 URL : 編集
丞相さま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます。
それは是非、DVDで再見してケチをつけきって下さい!
丞相さまの「論理的罵倒」が読みたいです。
レンタル半額セールでも利用して、是非是非。
キム兄さん、かなり個性的な得難い容貌なので、役を限ればすごくいい味も出ると思います。
『誰も知らない』、印象的でした。
でもあの検事は、登場シーンでもうダメ!でした。
寺島進さん、『フラガール』でもヤクザでしたね(笑)。
またお伺いしますね。ではでは~。
2007-03-24 11:49 : 真紅 URL : 編集
真紅さん 今晩は。コメントありがとうございました。
残念ながら、映画を観てからだいぶ時間がたってしまったので自分のレビューは書けそうもありません。
この映画の魅力はオダギリジョーと香川照之の二人の演技に負うところが大きいという指摘は僕も同感です。特に香川照之は何をやらせてもうまい!ただ、僕としてはドラマの核心部分がいまひとつ明確でないと感じました。その分食い足りない思いが残りました。兄弟二人の過去の関係が充分描きこまれていないために、二人の確執に深みが出ていない、そんな印象を受けるのです。だから香川照之の表情や態度が終始不可解で、オダギリジョーの葛藤に深みがないと感じてしまうのだろうと思いました。曖昧さが残っているために(意図的なものだと思いますが)「ゆらぎ」としてしか表せないのでしょう。人間心理の暗部に深く切り込むというよりは、曖昧さをわざと残して不安定さや不確定さを描くという演出になっていると思いました。主演の二人の演技が素晴らしかっただけに、その点が惜しまれると感じたしだいです。
自分の考えを一方的に書き連ねてしまいました。申し訳ありません。裁判ものとしては「それでも僕はやってない」という強力な作品が今年封切られていますので、比較してみると面白いかもしれませんね。
2007-03-26 23:32 : ゴブリン URL : 編集
ゴブリンさま、こんにちは。『ゆれる』のレビューは書かれないのですね。。
残念ですが、拙記事に丁寧なコメント(ご意見)をありがとうございます。
香川照之さんは、セリフ回しや表情だけでなく、ラジオ体操や土下座、バスへの手の揚げ方など、身体の使い方がとても上手い役者さんだな、と改めて感じました。
(やっぱり歌舞伎役者のDNA?)
オダジョーも受け芝居ながら、頑張っていたと思います。個人的に彼は大好きなのです。
確かにおっしゃる通り、この映画は心理劇というよりは記憶や感情の「ゆらぎ」を描いたに過ぎないかもしれませんね。
裁判劇としては、『それボク』には全然敵わないと思いました。
法廷場面のリアルさが全然違います。リアルだったらいいのかと言われるかもしれませんが、リアリティが無さ過ぎて興醒めでした。
しつこいようですがキム兄が出てきた時点でダメでした。
しかし兄弟の対決場面はとても見応えがあったと思います。
また次のレビュー、楽しみにしておりますね。ではでは!
2007-03-27 13:56 : 真紅 URL : 編集
TB、させてくらさい♪
真紅さん、こんにちわ♪♪♪

この映画のレビュー、思い余って三部作構成になってしまいました(笑)。
非常に面白く、素晴らしい作品だとは思うんですが、
カゴメ的には2.3の事が引っ掛って、
「大傑作」とまでは言いがたいかなぁ、というのが素直な感想でした。
「ゆれる」というタイトルでしたが、
2人の兄弟が2人とも、全然「ゆれてない」のが面白かったであります(笑)。
2007-05-06 16:06 : カゴメ URL : 編集
カゴメさま、こんにちは。コメント&TBありがとうございます!
う~ん、わかりますよ。この映画考え出すと収拾つかなくなるくらい考えてしまいますよね。
特に兄・稔の心情がわかりにくいので、いろんな解釈ができますよね。
私は一度しか観てないのですが、観るたびに新たな視点が生まれそうな作品だと思います。
「大傑作」とは言えませんね。絶賛したい方の気持ちもわかるし、大嫌いだと切り捨てる方の気持ちもわかる、そんな映画だと思いました。
でも私ももし映画館で観ていたら、大絶賛、傑作だって大騒ぎしてたかも(笑)
ではでは、後ほどお伺いします~。
2007-05-06 16:50 : 真紅 URL : 編集
おはようございます。
昨夜遅く、TBを送った直後、何が悪かったのかPCがストを起こし、
以降、どうにも使えない状態で、コメントができずに失礼してしまいました。

さて、この作品。やっと観ることができました。
わたしは「キム兄」という人を全く知らず、誰だこれは…と後で娘に訊いたのでしたが(恥)
いくらでも選べるはずのキャストを、わざわざあんな風にしたこと自体、
物語の重心はここではないと言われた気がしました。
未だに本職は何をしている人か知らない分、まだよかったのかもしれません。

何をしていても、していなくても、ただそこにいるだけで色っぽいオダギリジョー、
生まれてこの方、本心を覆い隠した葛藤だらけの兄をこの上なくリアルに演じた香川さん。
2人の存在なしにこの作品はなかっただろうと思いました。
2007-11-16 09:12 : 悠雅 URL : 編集
悠雅さま、こんにちは~。コメント&TBをありがとうございます。
おお、これはまだご覧になってなかったのですね?
この映画、好き嫌いがものすごく別れる作品なんですけど、力作であることは間違いないと思います。
そうなんです、兄弟を演じた二人がね、これは唯一無二のケミストリーで。
もう、香川兄の演技の巧さと言ったら・・・。脱帽です。

「キム兄」は『誰も知らない』など、結構邦画で見かけることも多いのですが、この映画には個人的には合ってなかったと思います。
でも、彼の登場&演技を絶賛されている方も多いのですよね。。
裁判場面でちょっと笑いを取るっぽい演出があったのがちょっと残念でした。
あそこはもう、リアリズムでグイグイ引っ張って欲しかったです。

先ほどTBだけ送らせていただきましたが、後ほどお伺いしますね。ではでは!
2007-11-16 11:21 : 真紅 URL : 編集
タイトルの独特さも特長ですね。
はじめまして。TB&リンクさせていただきました。「ゆれる」は「蛇イチゴ」ほどの新鮮さは受けませんでしたが、やはり西川監督にしか作れない世界だったように思います。1本映画を撮るのはなかなか大変だとは思いますが、次回作は何を作るのか、また楽しみですね。
2008-01-21 03:38 : もみあげ魔神 URL : 編集
もみあげ魔神さま、初めましてこんにちは。コメント&TBをありがとうございます。
『蛇イチゴ』はとても評判がいい映画ですね。
いつか観たいと思いつつ未見なのです。是非観たいと思います。
西川監督は才能ある方ですね。次回作、とても期待しております。
ではでは、後ほどお邪魔させていただきます。
2008-01-21 09:57 : 真紅 URL : 編集
こんにちは!
わやしは「田舎に残って両親の面倒を見る役になった」妹なんですよ~
二人きりの姉妹の場合,先に結婚して家を出た方が勝ちなんです。
でも,経済的には都会の姉より恵まれてるし
老いた両親に頼りにされるということは,幸せなことでもあるので
この物語の兄のような鬱屈した恨みのようなものは感じませんが・・・・・
稔さんの場合は間に女性が入ってるから
もっともっと複雑ですよね。容姿もあんなに違うし。
法廷劇,という点では,「それでも僕はやってない」なんかと比べると
やはり薄っぺらい気はしましたね。
でもとても完成度の高い作品だと思います。
2008-09-14 17:54 : なな URL : 編集
ななさま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます。
そうなのですか。。しかし実家でご両親と暮らせるというのは、私はとてもうらやましいです。
本作の場合、母親が亡くなったというのが大きいですね。
もし母親が元気だったら、兄もあそこまで鬱屈しなかったと思います。
そうそう、それに女性がらみもあるし・・。
この映画は嫌う方は物凄く感情的に嫌う印象があるんですよ。
きっと、人間の「隠しておきたい」悪を暴いているからなのかな、と思います。
傑作だと私も思います。「好きな映画」とは言いたくないですが。。
ではでは、後ほどお伺いしますね。
2008-09-15 00:12 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、こんにちは!

本作、やっと観ました。
観て、みなさんが絶賛されるのがよくわかりました。
人の中にある鬱屈した気持ちを西川監督は抑えながらも何か伝わってくるような余白のあるすばらしい演出をしていたと思います。
あとやはり香川照之さんは良かった。
最後の笑みの意味というのは、観る方によっていろいろな解釈が持てるでしょうね。
そういうところも本作の魅力だと思います。
2009-08-14 09:52 : はらやん URL : 編集
はらやんさん、こんにちは~。コメントとTBをありがとうございます。
こちらからいつもTBが入らず、残念です。。
で、この作品ですが、もの凄く評価されましたよね~。
私も細かいツッコミどころはあるものの、ガツーーーンと来た作品でした。
香川さん、本当に何をやらせても巧いですよね~。
ホント、憎たらしいくらい、巧いです(笑)。
最後の笑顔、今でも瞼に焼き付いています。。
こういう映画観ると、ホントしみじみうれしくなりますね。。醍醐味というか。
2009-08-16 19:57 : 真紅 URL : 編集
ゆれる
真紅さん、おはようございます。
大みそかから急に寒くなって、寒さの苦手な私は猫のように丸くなってすごしています。
真紅さんはいかがお過ごしですか?

この「ゆれる」にも出演している香川照之さんはとてもたくさんの作品に出演していますねぇ。
昨日も「沈まぬ太陽」見に行ったら出演していて、帰ってきてNHKの「龍馬伝」見ていたらまた出演していたし。。。

この映画はラストシーンが印象的でした。あの笑顔はインパクトありますよねぇ。わすれられません。
2010-01-04 11:50 : Bell Bottom Blues URL : 編集
Bell Bottom Bluesさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
今日は寒さも緩みましたが、明日からまた寒いのだとか・・・。ツライ

香川さんは日本で一番巧い役者さんだと個人的に思っています。
巧過ぎて嫌味なくらい・・・。特に本作では「うまい、うますぎる!!」と何度も唸りました。
キム兄のミスキャストさえなければ、ほぼ完璧な映画だと思います。
2010-01-04 23:19 : 真紅 URL : 編集
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