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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66

『WANDA/ワンダ』

WANDA.jpg

アメリカの炭鉱町で夫に離縁され無一文となったワンダはひとり街を彷徨う

バーバラ・ローデン(エリア・カザンの元妻)が主演・脚本・監督した唯一の映画
ヴェネツィア国際映画祭で外国語映画賞を受賞し、ヨーロッパで高く評価されながらハリウッドでは黙殺された1970年の作品です
近年再評価され、リマスター版が本邦初公開に至りました
そんな曰く付きの作品、観逃すわけにはまいりません
来月末で閉館するテアトル梅田にて鑑賞(涙)
日曜日の昼の回はほぼ満席
これは今年の必見作、最重要作品のひとつかもしれない

作品のテーマカラーなのであろうティファニーブルーが印象的
しかしそんなハイブランドとは無縁の、低予算インディペンド映画の極北のような作品です

私見ですがワンダはいわゆる 「境界知能」 な人だと思う
障がい者としてカテゴライズされることはない、ゆえに福祉に繋がれず生きづらさを抱えてしまう人
仕事が遅く飲み込みが悪い
計画性がなく行き当たりばったり
(カーラーを巻いたまま出廷するような)社会性の欠如
そんな彼女を観ながらイライラした人もいると思う
「何もかもうまくいかない」 「何もないし何もできない」 それはワンダ本人も自覚している
でもどうにもできないのです

50年以上前、バーバラ・ローデンにこの視点があったのか?
それはわかりません
ワンダと男たちとの関係は女優と映画監督の関係だという見方もある(byイザベル・ユペール)
しかし私は、日々報道される信じ難い事件の当事者である女性たちに思いを馳せずにはいられなかった
そういう女性たちが、近年 「境界知能」 なのではないかと問題提起され始めています

50年、いやもっともっと昔から存在していた 「ワンダ」 たち
この映画が黙殺されたのも、そんな彼女たちを 「見えない存在」 に貶めたままにしておきたかった 「誰か」 の力が働いたのではないかと思う
経済的に、性的に彼女たちを搾取し続けるために

幻の作品でありながら多くの映画人に影響を与えたという本作
是非多くの方に観てほしい
ワンダの 「絶望」 を
そして考えてほしい
世界が今よりほんの少し、やさしくなるためにできることを

(2022年8月10日、Instagramへの投稿より)

◆◇◆  ◆◇◆  ◆◇◆  ◆◇◆  ◆◇◆  ◆◇◆  ◆◇◆  ◆◇◆

少し前(今年の4月)に 『ニューヨーク 親切なロシア料理店』 という映画を観た
主人公クララはまだ幼いふたりの息子を連れ、夫のDVから逃れるためにニューヨークへ身一つでやってくる
たどり着いたロシア料理店にはやさしい人々が集い主人公の人生を変えていく、というお話
この主人公の行動がどう見ても無計画で行き当たりばったり過ぎるのだ
いくらDV夫から逃れるためとはいえ 「それはないだろう(子どもたちがかわいそう)」 と思いながら観ていた
自宅鑑賞だったので感想は残さなかったけれど、何故か心に引っ掛かりを感じていた
そしてこの 『WANDA/ワンダ』 を観たとき気づいたのだ
「クララも境界知能な人かもしれない」 と 

クララを演じたのが才媛の代名詞のようなゾーイ・カザンであるため、そこに思いが至らなかったのかもしれない(ミスキャストなんじゃないだろうか、、、眉根を寄せる泣き顔がワンパターン過ぎて 「こんなに演技下手だったっけ?」 と思ったし(スミマセン)。書き手に専念するには彼女美人過ぎるのだろうか?)

原題は 『THE KINDNESS OF STRANGERS』 見知らぬ人々のやさしさ、かな
やさしさや親切心だけじゃなくて、この世界には適材適所な就労や多様性の理解が重要なんじゃないかと思う
明らかに生きづらさを抱えているケイレブ・ランドリー・ジョーンズ演じる青年にドアマンの仕事が任せられたように

すべての人が生きやすい社会であれば、きっとみんながやさしくなれるはず
視点が変われば映画の印象も180度変わる
『WANDA/ワンダ』 はそんな気づきをもたらしてくれた作品でした

( 『WANDA/ワンダ』 監督・脚本・主演:バーバラ・ローデン/1970・USA)
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2022-08-23 : 映画 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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