『スピリッツ・オブ・ジ・エア』

約30年前に公開されて以来ソフト化されず、伝説となっていた(らしい)作品のデジタルリマスター版リバイバル上映
全く知らない映画だったけれど妙に気になり、バレンタインデーの夜初日鑑賞
ちなみにシアター内は6人、全員がお一人様で5列目以前に座っていました
5列目に私ともう一人、あとの4人は最前列から一列に一人ずつ
同志たちよ!(笑)
観終わって、なんとも言えない感情が押し寄せてきて、パンフレットを買わずにはいられなかった
この映画を何らかの形で、この手に留めておきたいと思った
映画を観ればその都度さまざまに思いを巡らせるけれど、こんな風に感じることは滅多にない
この感情は何なのだろう?
「感動」 と呼ぶべきものなのだろうか
「何も言えねぇ」 が正しいような気がする
作品世界が特異すぎる
空を飛ぶことに憧れる車椅子に乗った兄
ハートの女王(ヘレナ・ボナム=カーター)のような妹
逃亡者の男
おびただしい十字架と 「INRI(ユダヤ人の王、ナザレのイエス)」 の文字
鳴り続ける不穏な音楽
終末後の世界のような荒涼とした赤い砂漠と、そこに広がる青すぎる青空
マルボロ・カントリー
姿を見せない追手の影
宮崎駿の世界観と似たものを感じた、と言ったら変かな?
(この映画を観た数ヶ月後に初めて劇場鑑賞した 『風の谷のナウシカ』 で、この作品と同じシーンを観た気がした)
彼がこの映画を観たら、きっと悔し泣きしながら怒るんじゃないかな
「その(飛行体の)設計図はおかしいじゃないか!」 とか言って
主人公の最後の選択に、何とも言えない感情が湧き上がる
それは犠牲なのか? それとも恐れだったのか
「空を飛ぶ」 ただ一つの彼の夢
人生をかけた希望と憧れ
彼はそれを手放せなかったのだ
面白いのかと問われれば、「面白く」はない、と答えるだろう
しかし映画館で映画を観ることに何かしら意義があるとすれば、こういう映画を観ることでしか得られない感情がある、ということに尽きるのではないか
言葉にできない、説明できない感情
ただ湧き上がる感情
この映画を観ずに、何を観るというの?
そしてタイトルが好きすぎる
Spirits of the Air, Gremlins of the Clouds
忘れられない映画体験になりそう
(2020年2月18日、Instagramへの投稿より)
( 『スピリッツ・オブ・ジ・エア』 原題:Spirits of the Air, Gremlins of the Clouds/監督・製作・脚本:アレックス・プロヤス/1987・豪)
- 関連記事
-
- 你保護世界、我保護你~『少年の君』 (2021/08/02)
- 『スピリッツ・オブ・ジ・エア』 (2020/12/28)
- 『アンダーグラウンド』 (2020/12/27)
スポンサーサイト