ホップ、ステップ、ラン!~『ラン・ローラ・ラン』

『パフューム/ある人殺しの物語』の感想で「赤毛のローラ」に言及している方が多かっ
たので、トム・ティクヴァ監督のこの作品を観てみることにした。タイトルは何度も
耳にして知っていたし、公開当時かなり話題にもなっていたと思う。主人公がひたす
ら走る、走る、走る、という映画といえばSABU監督の『弾丸ランナー』(1996・日本)なんか
が思い浮かぶけれど、本作のヒロイン、ローラ(フランカ・ポテンテ)の走りっぷりはまぁ、
凄い!の一言。どんなに走っても顔色ひとつ変えず、腕の振りも逞しく、Dr.マーチン
のエア・クッションソールでベルリンの街を駆け抜ける。疾走感溢れる快作です。
恋人マニ(モーリッツ・ブライブトロイ)からの突然の電話。「ボスの金を失くした。
12時までに10万マルク作らないと、俺は終わりだ」「何とかするわ、待ってて」12時
まであと20分、走り出すローラ、挿入されるアニメーション、軽快な音楽にこちらの
膝も揺れる。し、しかし、映画が始まって30分、ローラがなんと○○でしまう!のだ。
「え~、これって夢オチ?」と思ったのも束の間、物語はリセットボタンを押したかの
如く、20分前に戻る。そしてまたローラが、走る、走る・・。

斬新なタイトルバック、ローラの赤い髪、コマ落としのような映像、いきなりTV
画面から聴こえてくる日本語。90分足らずという尺にピッタリはまるスピーディな
展開。ローラは走るだけでなく、絶叫とともに超音波(?)でグラスや時計を破壊し
(オスカル@ブリキの太鼓か!)ルーレットを操り、瀕死の病人を蘇生させる!なんと
まぁ猟奇的なプリンセスなのだ。しかも彼女を駆り立てているのは「愛する人を救いた
い」ただそれだけ。ただ愛という名のもとにのみ、走る、走る、走る!ローラを演
じるフランカ・ポテンテが、力強く、逞しく、物語をグイグイ引っ張ってゆく。
才能溢れる俊英トム・ティクヴァは、本作でも監督・脚本・音楽を担当している。
20分×3のわかりやすい構成、降りてくるエンドロール、なんて潔い映画なんだ・・
という思いでいっぱいになる。これは面白い!天晴れです、何度でも観たい!
(『ラン・ローラ・ラン』監督・脚本・音楽:トム・ティクヴァ/
主演:フランカ・ポテンテ、モーリッツ・ブライブトロイ/1998・独)
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trackback
ローラ、走る!
2007-03-15 19:56 :
悠雅的生活
私達は、普段、何かのために、息せき切って、死ぬ気で走ることなんて、ほとんどない。自分のために、ということすらなければ、他人のために、恋人のために。これは、思いっきり走って、恋人の運命を変えようとした、ある女の子の物語。
2007-04-13 23:35 :
レザボアCATs
この映画、観ようと思いながら延ばし延ばしにしていた。 まずボーンシリーズでマット・デイモンの相手役をやっていたフランカ・ポテンテが主人公ローラ役だったということ。次にドイツ映画を観ていこうと思った時、かなり高評価だったので。 そして『パフューム』を観て凄
2007-09-12 13:05 :
藍空放浪記
「パフューム ある人殺しの物語」のトム・ティクヴァ監督作品です。 公開時劇場で観
2007-10-20 19:28 :
はらやんの映画徒然草
愛する彼を救うため、ベルリンの町を東奔西走する姿を描いたラブ・ストーリー。監督はトム・ティクヴァ、キャストはフランカ・ポテンテ、モーリッツ・ブライブトロイ、ハーバート・ナップ、ニナ・ペトリ他。
<あらすじ>
ベルリン、夏。ローラの家に恋人マニから突然電
2009-05-27 00:27 :
Yuhiの読書日記+α
★★★★ ドイツで大ヒットになったゲーム感覚のハイテンションなアクション・ラブ・ストーリーといったところか。いずれにせよ、従来観たこともない風変わりな映画である。 またア二メを多用した荒唐無稽なオープニング映像は、なんとなくタランティーノ風味。思わず『キ
2009-10-15 10:10 :
ケントのたそがれ劇場
コメントの投稿
真紅さん、こんばんは。
すっかりお邪魔するのが遅くなりました。
いつものことながら、ごめんなさい。
息子が小さい頃(今もだろうか…)よくやっていた、RPGを思い出すような3つの展開。
陸上選手のような走りの力強さや、赤い髪の印象が強く、
『パフューム』を観た時に、思わず、「赤毛のローラぁ?走るのぉ?」なんて(笑)
なるほど、こういう作り方もあるんですね。
もうこの作風で誰も作れないだろうと思うと、
それだけでもこの作品の存在は面白いです。
すっかりお邪魔するのが遅くなりました。
いつものことながら、ごめんなさい。
息子が小さい頃(今もだろうか…)よくやっていた、RPGを思い出すような3つの展開。
陸上選手のような走りの力強さや、赤い髪の印象が強く、
『パフューム』を観た時に、思わず、「赤毛のローラぁ?走るのぉ?」なんて(笑)
なるほど、こういう作り方もあるんですね。
もうこの作風で誰も作れないだろうと思うと、
それだけでもこの作品の存在は面白いです。
悠雅さま、こんにちは。いえいえこちらこそ、いつもコメント&TB返しをありがとうございます。
トム・ティクヴァ監督もゲーム世代なのでしょうか?音楽も、ゲーム音楽っぽかったですよね。
走りは本当に見事でした・・。私、あんな風に一場面も走れないと思います。
私も『パフューム』より先に観ていたら、絶対に「赤毛」に反応していたと思います。
アイデアの勝利、というだけでなく、本当に面白いですよね。
何度も観たらいろいろと発見もあるような気がします。
またお邪魔しに伺いますね、ではでは~。
トム・ティクヴァ監督もゲーム世代なのでしょうか?音楽も、ゲーム音楽っぽかったですよね。
走りは本当に見事でした・・。私、あんな風に一場面も走れないと思います。
私も『パフューム』より先に観ていたら、絶対に「赤毛」に反応していたと思います。
アイデアの勝利、というだけでなく、本当に面白いですよね。
何度も観たらいろいろと発見もあるような気がします。
またお邪魔しに伺いますね、ではでは~。
走る、赤毛のローラ、いいですよね~
公開時は新しいドイツ映画の登場!って感じでした(今でもそうかな?)
曲もいいし、この映画好きです。
ローラが走ったベルリンと今のベルリンはまた違う顔を見せてくれて、
疾走し続ける、ローラ&ベルリンって感じです。
ローラの絵のある看板は昨年もまだあったし、
ベルリンっ子は、今でもこの映画が好きみたい!
公開時は新しいドイツ映画の登場!って感じでした(今でもそうかな?)
曲もいいし、この映画好きです。
ローラが走ったベルリンと今のベルリンはまた違う顔を見せてくれて、
疾走し続ける、ローラ&ベルリンって感じです。
ローラの絵のある看板は昨年もまだあったし、
ベルリンっ子は、今でもこの映画が好きみたい!
raum18さま、こんにちは!コメントありがとうございます。
私、ベルリンには行ったことがないのですが、さすがによく映画の舞台になりますよね。
まだ看板があるとは・・。愛されている映画なのですね♪
トム・ティクヴァはとっても才能ある監督さんだと思うので、今後も頑張っていい映画撮ってもらいたいですね。
次に美容院に行ったら、赤毛にしようかな?と思ってる私です。
ではでは、また遊びにいらして下さい~。
私、ベルリンには行ったことがないのですが、さすがによく映画の舞台になりますよね。
まだ看板があるとは・・。愛されている映画なのですね♪
トム・ティクヴァはとっても才能ある監督さんだと思うので、今後も頑張っていい映画撮ってもらいたいですね。
次に美容院に行ったら、赤毛にしようかな?と思ってる私です。
ではでは、また遊びにいらして下さい~。
こちらにも~♪
私もこの作品、観ました。
これはこれで、とっても面白い作品でしたよね。
私は、『ヘブン』は劇場鑑賞して、大好きな作品でしたが、これはなんとなくスルーしてしまっていました。
なかなか要注目の監督さんですよね。
私もこの作品、観ました。
これはこれで、とっても面白い作品でしたよね。
私は、『ヘブン』は劇場鑑賞して、大好きな作品でしたが、これはなんとなくスルーしてしまっていました。
なかなか要注目の監督さんですよね。
とらねこさま、こちらにもコメントありがとうございます♪
私もどうしてこの話題作を未見だったのか謎なのですが、とっても楽しめてトム・テクヴァの大ファンになってしまいました。
音楽も担当するってところが凄いですよね。
この映画では電子音楽(テクノ?)だけど、『ヘヴン』ではピアノ弾いてるし。
これからも注目して観ていきたいです。
ではでは、また遊びに来て下さいませ~。
私もどうしてこの話題作を未見だったのか謎なのですが、とっても楽しめてトム・テクヴァの大ファンになってしまいました。
音楽も担当するってところが凄いですよね。
この映画では電子音楽(テクノ?)だけど、『ヘヴン』ではピアノ弾いてるし。
これからも注目して観ていきたいです。
ではでは、また遊びに来て下さいませ~。