fc2ブログ
映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

夢現の迷宮~『ステイ』

20070307084410.jpg

 精神科医のサム(ユアン・マクレガー)は、同僚医師からヘンリー(ライアン・ゴズ
リング)
という青年の診療を引き継ぐ。美術専攻の学生であるヘンリーは未来を予知
し、21歳の誕生日を迎える3日後に自殺すると予告。サムの元患者であり、恋人で
ある美術教師のライラ(ナオミ・ワッツ)は、自らも自殺未遂経験者であることから、
ヘンリーに興味を抱く。サムの日常は、ヘンリーを救おうと奔走するうちに少しず
つ歪み、狂い始める・・。
『チョコレート』『ネバーランド』マーク・フォースター監督が、『25時』の脚本家
デヴィッド・ベニオフと組んだ、NYを舞台とするスリラー。

 マーク・フォースター監督、またまた違った作風の凄い映画を観せてくれた。怖が
りゆえ、スリラー、ホラー、サスペンス全て苦手な私は物凄く怖かったけれど、しっ
かり2回も観てしまった。『ドニー・ダーコ』を観た後のような感覚が残る。これは絶対、
一度観ただけでは消化不良なのでは?

 ジャンプカットを多様した謎めいた映像、鏡、迷路のような窓枠、壁、螺旋階段。
視覚効果を考え尽くした、物凄く凝ったプロダクション・デザイン。これだけでも観
る価値は大いにアリ、と思わせる。ニューヨーカーを演じるユアン・マクレガー、ナ
オミ・ワッツ、ライアン・ゴズリングの豪華な主演陣が、全て非アメリカンというの
も面白い。ライアン・ゴズリングは特に美形でもカッコイイわけでもないが、何故か
気になる俳優さん。ナオミ・ワッツは観るたびに「来世はブロンドがいい」と思わせてく
れる、美しい!

20070307084446.jpg

 ヘンリーの悲しげな瞳、サイコパスな言動、その彼を必死に助けようとするサム。
これはきっと、ヘンリーはサムの別人格なんじゃないか、精神科医であるサム自身が
多重人格者なのでは?と思い始めたとき、ライラがサムを「ヘンリー」と呼ぶ。ここで私
は自分のサム=ヘンリー説に確信を持ったのだけれど、それはラストであっさりと裏
切られる。


--------------------------------------
 初見から、サムのズボンの裾が短いのが気になって仕方なかった。2度観てもわか
らず、公式サイトに行ってみたら「恵比寿ガーデンシネマ限定」って・・。何ソレ?
一体何のために限定するの?他の劇場やDVDで観る人はどうでもいいのか!と思わず
激怒してしまった。わからなかった私が悪いのか?でもわからないものは検証したい
ではないか。幸い心ある方のおかげで「キーワード」を入力することはできた。しかし、
ズボンの裾が短いのは大した理由ではなかった・・。ああ、無駄なエネルギーを使っ
てしまった。
--------------------------------------

 ラストで全ての謎が解き明かされるわけだけれど、ライラと初対面のはずであるサム
が、彼女との未来がフラッシュバック(フラッシュフォワード?)するところには唸った。
ヘンリーの意識(思念)が、サムの心理にも影響を与えたのだろうか?

 好きか嫌いか、面白いと感じるか下らないと感じるかは観る人それぞれだけれど、
私は好きだし、面白いと感じた。魂の見る情景や夢を映像化しようとした製作陣、そ
のセンスには拍手を送りたいと思う。NYという街に詳しい方なら、もっと楽しめたの
ではないだろうか。オチがわかってしまうと初見のドキドキ感、謎解きの面白さはな
くなってしまうけれど、2度目以降はそこに切なさが加味される。何度でも鑑賞に耐
えうる作品だと思う。

『ステイ』監督:マーク・フォースター/脚本:デヴィッド・ベニオフ/
 主演:ユアン・マクレガー、ナオミ・ワッツ、ライアン・ゴズリング/2005・USA)
関連記事
スポンサーサイト



テーマ : 心に残る映画
ジャンル : 映画

2007-03-07 : BD/DVD/WOWOW/Streaming : コメント : 12 : トラックバック : 8
Pagetop
究極の香りを求めて~『パフューム/ある人殺しの物語』 «  ホーム  » 男でも女でも~『君さえいれば/金枝玉葉』
trackback

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
ステイ
『STAY』2005年アメリカ夜のニューヨーク、ブルックリン橋。静かに燃える車 虚ろな眼差しで座り込んでいる男立ち上がった彼が歩き出す・・・目覚めた男の手には婚約指輪
2007-03-07 17:35 : 終日暖気
ステイ
儚い迷宮の果てに待っているもの…
2007-03-08 13:06 : 悠雅的生活
ステイ
ステイ  (2005  アメリカ) STAY 監督: マーク・フォースター 製作: エリック・コペロフ トム・ラサリー アーノン・ミルチャン 製作総指揮: ビル・カラッロ ガイモン・キャサ
2007-03-08 19:17 : ちょっとお話
映画『ステイ』
原題:Stayまさしく、"I don't know what's real anymore"、夢と現実、生と死、幻想に包まれた追憶と希望、いままさに死に行く男の脳内異次元イリュージョンサスペンス・・・ 美しい橋ブルックリン、その橋の上での大事故、そして、ヘンリー(ライアン・ゴズリ
2007-06-30 02:48 : 茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~
ステイ
WOWOWで鑑賞―【story】精神科医のサム(ユアン・マクレガー)は、若い男性患者のヘンリー(ライアン・ゴズリング)から21才の誕生日に自殺すると予告される。彼を気にかけるサムは、思い止まらせようと奔走するが、やがてヘンリーは失踪。一方サムの元患者で恋人のライラ(
2007-07-03 14:08 : ★YUKAの気ままな有閑日記★
ステイ
 『この映画の謎は、頭で考えても決して解けない。』 コチラの「ステイ」は、6/3公開になったイリュージョン・スリラーだそうです。現実と虚構の境界が曖昧で観ていると不安な気持ちになってしまう映画ですね。確かに頭で考えても解けない謎がある映画なんですねぇ~。...
2007-10-30 22:05 : ☆彡映画鑑賞日記☆彡
ステイ
★★★☆  この作品は、オープニングとエンディングが、メビウスの輪のように捻れて繋がってゆく。そしてエンディング直前の5分間がこの映画の全てとも言えるだろう。 ステイ (ベストヒット・セレクション)販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジ
2008-02-17 18:47 : ケントのたそがれ劇場
闇の波間
覚醒と眠りとの間を行ったり来たりし、それを幾度も繰り返し、夢と現実との境目を失くす。寄せては返す波は同じ動きを繰り返すように見えて、しかし二度と同じ形をとらない。すべての命が生まれるところ。すべての命が帰るところ。生と死のスープ、海。「stay」を観た。 ...
2008-10-03 23:05 : MESCALINE DRIVE
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

真紅さん、またまたこんにちは~

サムのズボンの裾が短い訳・・・
あんな理由だったなんて、ビックリで
悲しい事なのにちょっとつっこみを入れたくなりました(笑)

雹の予想や双子の謎など・・・
真剣に考えずに感覚で捉えた方が良いのかな?
双子の演出は、たんなる監督さんの趣味?とか思ってました(爆)
それと、ヘンリー視線で観るってことが大事なのですね
一度観ただけでは、重要なキーワードをほとんどの人が見逃す作品だと思います。
いまだにどれが大事なキーワードか気付いていない私ですが(汗)
「ドニー・ダーコ」の方が私には
分かりやすかったかな???

ライアン・ゴスリングは「君に読む物語」より
この作品のほうが雰囲気に合ってたような気がします

2007-03-07 12:42 : レイラ URL : 編集
レイラさま、またまたこんにちは~。コメントありがとうございます。励みになります♪
そうそう、大激怒しながら公式で理由を読んだのに「え?そんだけ?」って(笑)
私、実はこういうジャンルの映画はちょっと苦手なのですよ・・。
だから『ドニー・ダーコ』も好きとは言い難いのですが、ジェイクがいいから好きですけどね(苦)。
『きみ読む』は、私は原作を先に読んだので、ライアンもレイチェルもイメージじゃなかったかな。
原作のノアのイメージが強烈ですから、ライアンではちょっと弱い気がしたんです。
この作品では、ホントハマッてましたね。
また遊びにいらして下さいね、ではでは~。
2007-03-07 14:40 : 真紅 URL : 編集
真紅さま、この時間だとTB飛びました!!(嬉)
こんにちは。コメントいただき、ありがとうございました。
わたし、ひたすらラブストーリー部分を楽しんで謎解きなんかほったらかしで・・^^;
ライアン君は、これが一番いいかなあと思いました。
キョロちゃん、すごいですね!!
2007-03-07 17:41 : 武田 URL : 編集
武田さま、こんにちは。コメントとTB!ありがとうございます♪
先ほど、こちらからも送ったらOKでしたわ~。続けて送ったのですが1件しかダメでした。
ライアン、『ハーフ・ネルソン』楽しみですね!
でもその前に『16歳の合衆国』観てみたいです。ミシェルも出てるんだよね。
『タイタンズを忘れない』にも出てたらしいのですが、まったく記憶にございません(笑)
キョロちゃんの写真、変えてみました~♪
ではでは、またお話しましょうね!
2007-03-07 20:40 : 真紅 URL : 編集
こちらにも、お邪魔します。
本当に、あちこり失礼してばっかりでごめんなさい。

こういう作品は全てのものに意味があるはず、と思い、
訳がわからないものも、とにかく忘れないように観ていようと、
1回目は頑張って観てた気がします。
なのに、終盤はすっかり翻弄されて、切ない思いでいっぱいになりました。

わたしはこれは、ユアンが観たいと思ってたんだけれど、
ユアンはもちろん彼らしくてとってもよかったけれど、
ライアンくんが思った以上によかったです。
『16歳~』は、感想に賛否両論ありますが、
一見の価値はある作品です。
ご覧になったら、是非、感想が聞きたいです。

2007-03-08 13:15 : 悠雅 URL : 編集
悠雅さま、こちらにもありがとうございます。
いえいえ、コメントとTB、いただけるだけでも感謝です。遅いとか早いとかどうぞお気になさらず!
う~ん、こういう「頑張って五感をフル動員して観るべし!」な映画はちょっと苦手なのですが、私もラストでは唖然としながら切なさにやられました。
ユアン、いいですね~。。彼が出てると最早安心して観られる感すらあります。
おお、『16歳~』ご覧になっていらっしゃるのですね、さすがです~。
是非観ることができましたらお話させていただきたいです!
ではでは、またお伺いしますね。
2007-03-08 15:02 : 真紅 URL : 編集
お邪魔します~
コメント&TBありがとうございました。
サム=ヘンリー説・・・考えますよね。
最初の方はそんな雰囲気も漂っていましたからね。私も真紅さん同じく公式ページで謎を
調べましたよ。パスワード入手して・・笑
↑同じような感想を持ちましたよ。
映画館での鑑賞だとたぶん、気になって気になって・・眠れなくなったかも。でも何度も観ることはできないですよね。お金かかるし・・。
DVDだとその点はいいかな・・。
彼・・16歳の合衆国・・完全犯罪クラブ・・と
共に個性的な役を演じてます。
是非~真紅さん鑑賞してみてくださいな
感想お聞きしたいわ。
2007-03-08 19:15 : みみこ URL : 編集
みみこさま、こんにちは~。コメントとTBをありがとうございます。
そうですよね~、一体何を考えて限定してるんでしょうあのサイト?
私も映画館で観ていたら消化不良で気分が悪くなっていたかも・・(笑)
おお、みみこさまも『16歳の~』ご覧になっているのですね!
それは絶対観なくちゃです~。レンタルにあるかな?
『完全犯罪クラブ』っていうのもかなり心惹かれるタイトルですね(笑)。私『ファイトクラブ』好きなんですよ、以前エド・ノートンにはまっていたので。
楽しみに観たいと思います。
観たら是非お話させて下さいね~、ではでは!
2007-03-09 05:02 : 真紅 URL : 編集
こんにちは!
これは評価が分かれそうな映画だと思いますが、私はなかなか良かったです。
映像なんかも凝っていましたし、青年役の役者さんの演技がとっても良かったです。
真紅さんは2度鑑賞されたんですね。
私ももう一度観たいです。
2007-07-03 14:17 : 由香 URL : 編集
由香さま、こんにちは~。コメント&TBありがとうございます。
結局、嫌う人は物凄く嫌う「夢オチ」なんですけど、私もこの映像には参りました。
プリダクション・デザインもとっても凝っていましたよね。
『主人公は僕だった』を観ながら、似ている点を探すのが楽しかったです。
もう一度観たら、ああ、ここはこういう意味だったのか・・っていうのがわかって、より深く理解できる、そんな作品だと思います。
ではでは、後ほどお伺いしますね~。
2007-07-03 14:58 : 真紅 URL : 編集
こんばんは真紅さん
僕もこの映画好きです。
しかしあの医者が想像の産物だったとは、凄い発想でした。ただあのオチは、反則じゃないかな・・・
2008-02-17 19:52 : ケント URL : 編集
ケントさま、こんにちは。コメント&TBをありがとうございます。
ラストで「ええ!!」と驚かされますが、なかなかいい映画だと私も思います。
ライアン・ゴズリングの魅力かな(笑)。
マーク・フォースター監督の映画はどれも好きです。
ではでは、後ほどお伺いしますね!
2008-02-18 09:16 : 真紅 URL : 編集
Pagetop
« next  ホーム  prev »

What's New?

真紅

Author:真紅
 Cor Cordium 
★劇場鑑賞した映画の感想はインスタにアップしています@ruby_red66

Archives

Search this site

Thank You!