想像すること、信じること~『ネバーランド』

名作童話『ピーターパン』の誕生にまつわる物語を、実話に基づいて映画化した
作品。著者である劇作家ジェームズ・バリをジョニー・デップが演じている。
20世紀初頭のロンドンを舞台に、未亡人シルヴィア(ケイト・ウィンスレット)と
その4人の子どもたちとの交流の中で、子どもの心を持った劇作家が後世に残る
傑作を生み出すまでが感動的に描かれる。
監督があの重々しくシリアスな『チョコレート』のマーク・フォースターだと知
って驚いた。作風が全く違う・・。本作はファンタジックな描写が多く、観ている
間ずっと、ティム・バートンの『ビッグ・フィッシュ』を思い出していた。20世紀
初頭のロンドン、上流階級の暮らしぶりや衣装、公園の緑がまぶしく美しい。
この辺りは『モーリス』に描かれていた情景。
ズラリ並んだキャストも皆素晴らしい。すっかりメインストリームな俳優とな
った感のあるジョニデは、余裕の演技。童心を忘れず、子どもたちと戯れる彼は
やさしさに溢れている。『パイレーツ・オブ・カリビアン』のセルフ・パロディのよ
うな場面には笑ったが。

お前の名前はウィル・
ターナーでどうだ?
海賊つながり(?)でマッケンジー・クルックが出てくるのも見逃せない。いつ
片目が落ちるかと気が気でない(笑)。

一度観たら忘れられない
この個性的なルック!
若き未亡人を演じるケイト・ウィンスレット。この女優さんはやはり、こうい
う「上流婦人」的役柄がピッタリ。意外な役どころだった『エターナル・サンシャイン』
も熱演だったけれど、やはりハマリ役とまでは言えなかったというのが正直なと
ころ。お嬢さんだった『いつか晴れた日に』や『タイタニック』から随分大人に
なって、母性に悲しみを滲ませる演技が秀逸だ。
しかし、ジョニデにしろケイトにしろ、実生活でもいい父親であり、母親なの
だと思うと感慨無量。若い頃から見守ってますから(笑)。
本作の演技によって『チャーリーとチョコレート工場』に大抜擢されたピーター役
のフレディ・ハイモア。父の死によって心に傷を受け、冷めた瞳の少年を痛々し
くも好演している。信じれば必ず叶う、バリの言葉に母を見つける彼の眼差し、
悲しみを静かに受け止めるバリ。

祖母役のジュリー・クリスティも、美しく気高い上流婦人がドンピシャはまっ
ている。一見悪役だけれど、娘を思う余りに孫たちを厳しく律しようとする姿に
は共感できる。「信じる人は拍手を!」の声に誰よりも強く手を叩く彼女もまた、誰
よりも強い母性を持っているのだ。
美しい映像に、熟練の役者が堅実に仕事をした、手堅くまとまった秀作。マーク
・フォースターの作品、既にDVD化されている『ステイ』や、これから公開される
『主人公は僕だった』など、観るのがとても楽しみになった。
(『ネバーランド』監督:マーク・フォースター/主演:ジョニー・デップ、
ケイト・ウィンスレット、フレディ・ハイモア/2004・英、米)
- 関連記事
-
- 男でも女でも~『君さえいれば/金枝玉葉』 (2007/03/05)
- 想像すること、信じること~『ネバーランド』 (2007/03/04)
- この愛、観るべし!~『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』 (2007/02/25)
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ピーターパン誕生のおはなし。
2007-03-05 09:02 :
悠雅的生活
「ネバーランド」(2004) 米・英 FINDING NEVERLAND監督:マーク・フォースター製作:ネリー・ベルフラワーリチャード・N・グラッドスタイン製作総指揮:ゲイリー・ビンコウニール・イズラエル原作戯曲:アラン・ニー脚本:デヴィッド・マギー撮影:ロベルト・シェイ....
2007-03-08 09:21 :
★☆カゴメのシネマ洞☆★
監督:マーク・フォースター
製作総指揮:ゲイリー・ビンコウ 、ニール・イズラエル
音楽:ヤン・A・P・カチュマレク
脚本:デヴィッド・マギー
出演:ジョニー・デップ ケイト・ウィンスレット ジュリー・クリスティ
ラダ・ミッチェル ダスティン・ホフ
2008-02-27 21:43 :
Maria
『ピーター、そこは夢がかなう場所なんだ。信じれば、必ず行ける。』
コチラの「ネバーランド」は、あの緑色の衣裳でお馴染み永遠の少年こと「ピーター・パン」、その誕生に隠された事実に基づく感動的な物語を映画化したヒューマン・ドラマです。
主演は、ジョニ...
2008-03-07 20:40 :
☆彡映画鑑賞日記☆彡
ピーター、そこは夢がかなう場所なんだ。信じれば必ず行ける。
2009-09-03 06:34 :
Addict allcinema 映画レビュー
ひとりジョニデ祭りをしよう♪・・・・・・と言いながら、なかなかDVDをゲットできずにいた私。
そういえば、当時はどういうわけか、興味が持てなくて観てなかった「ネバーランド」
何で観なかったんだろう私?
こんなに号泣する映画だったとは!
「ネバーランド」
2010-06-18 17:19 :
ノルウェー暮らし・イン・London
劇作家のジェームズ・バリを主人公にした、『ピーター・パン』の誕生秘話。というよりも、もう一つの『ピーター・パン』物語と言った方が良いかも知れない。
日課になっている散歩の途中で立ち寄った公園で、若き未亡人シルヴィアと4人の男の子たちと出会うバリ。その...
2010-06-18 21:26 :
【徒然なるままに・・・】
コメントの投稿
真紅さん、こんにちは。
ジョニー・デップに魅力を感じられない不思議な体質(笑)のわたしにとって、
この作品は彼の別の面を見れた感じで、
お話の内容も、ファンタジックなところも、人間を描いてゆくところも、
とても好きな作品です。
ホント、キャストがそれぞれとてもよく嵌っていまて、堅実に仕事をされた、と感じました。
現実と空想を常に行き来する男って、とっても魅力的なんだけれど、
それに気付くことができず、夫に何かを与えられず、
夫に違うものを求めて、得られない妻が、
そういう意味で気の毒でもありました。
ジョニー・デップに魅力を感じられない不思議な体質(笑)のわたしにとって、
この作品は彼の別の面を見れた感じで、
お話の内容も、ファンタジックなところも、人間を描いてゆくところも、
とても好きな作品です。
ホント、キャストがそれぞれとてもよく嵌っていまて、堅実に仕事をされた、と感じました。
現実と空想を常に行き来する男って、とっても魅力的なんだけれど、
それに気付くことができず、夫に何かを与えられず、
夫に違うものを求めて、得られない妻が、
そういう意味で気の毒でもありました。
悠雅さま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます。
ジョニーは子どもを持ってから、作品の選び方が柔軟になりましたね。
それが今の大ブレイクに繋がっているんですよね、子どもって凄いです。
バリの妻については記事中で言及しなかったのですが、やはりあの夫婦に子どもがいたら違っていたのでしょうね。
お互い愛し合っていたことは間違いないと思うのですが、求めるものが違っていた、本当にそれに尽きますね。
ではでは、またお伺いいたします!
ジョニーは子どもを持ってから、作品の選び方が柔軟になりましたね。
それが今の大ブレイクに繋がっているんですよね、子どもって凄いです。
バリの妻については記事中で言及しなかったのですが、やはりあの夫婦に子どもがいたら違っていたのでしょうね。
お互い愛し合っていたことは間違いないと思うのですが、求めるものが違っていた、本当にそれに尽きますね。
ではでは、またお伺いいたします!
TB、感謝です♪
真紅さん、TB、感謝であります♪♪♪
>監督があの重々しくシリアスな『チョコレート』のマーク・フォースターだと知
って驚いた。作風が全く違う・・。
この監督さん、まだ若くてわずか4作品くらいしか撮ってないんですよね。
それにしては大したもんですよねぇぇ。
(ちなみにカゴメは「チョコレート」も傑作だと思うです)
>ティム・バートンの『ビッグ・フィッシュ』を思い出していた。
不思議だ。真紅さんを赤の他人とは思えません(笑)。
カゴメには、「心の故郷」と思ってる作品が何本かあるですが、
その内の一本が「ビッグ・フィッシュ」でありまして、
この「ネバーランド」を観ている間中、かの作品の事が念頭にあったです。
>『パイレーツ・オブ・カリビアン』のセルフ・パロディのような場面には笑ったが。
しまった! 書き損ねてたっ!(苦笑)
カゴメはバァちゃん(ジュリー・クリスティ)の拍手で後頭部をガツン!とやられました。
もう恥ずかしいほどの号泣でしたね(笑)。
>監督があの重々しくシリアスな『チョコレート』のマーク・フォースターだと知
って驚いた。作風が全く違う・・。
この監督さん、まだ若くてわずか4作品くらいしか撮ってないんですよね。
それにしては大したもんですよねぇぇ。
(ちなみにカゴメは「チョコレート」も傑作だと思うです)
>ティム・バートンの『ビッグ・フィッシュ』を思い出していた。
不思議だ。真紅さんを赤の他人とは思えません(笑)。
カゴメには、「心の故郷」と思ってる作品が何本かあるですが、
その内の一本が「ビッグ・フィッシュ」でありまして、
この「ネバーランド」を観ている間中、かの作品の事が念頭にあったです。
>『パイレーツ・オブ・カリビアン』のセルフ・パロディのような場面には笑ったが。
しまった! 書き損ねてたっ!(苦笑)
カゴメはバァちゃん(ジュリー・クリスティ)の拍手で後頭部をガツン!とやられました。
もう恥ずかしいほどの号泣でしたね(笑)。
カゴメさま、こんにちは。コメント&TBありがとうございます。
え~、私はカゴメさんのこと赤の他人だなんて思ったことないですよ(笑)
お会いしたことはなくとも大事なお友達だと思っております。
「心の故郷」か~。。いい言葉ですねぇぇ。
マーク・フォスター、この映画の直後に『ステイ』を観ましたが、またまた違った作風の凄い映画でした。
もしかしたら偉大な監督かも?!と思い始めてます。
『チョコレート』は、ちょっとアンチなんですけども・・。あれ観たら悲しくなりますよ~。ヒースが(涙)
ジュディ・クリスティ、綺麗でしたね。彼女もいいお母さんでした。
またTBを携えてお邪魔いたしますね。ではでは~。
え~、私はカゴメさんのこと赤の他人だなんて思ったことないですよ(笑)
お会いしたことはなくとも大事なお友達だと思っております。
「心の故郷」か~。。いい言葉ですねぇぇ。
マーク・フォスター、この映画の直後に『ステイ』を観ましたが、またまた違った作風の凄い映画でした。
もしかしたら偉大な監督かも?!と思い始めてます。
『チョコレート』は、ちょっとアンチなんですけども・・。あれ観たら悲しくなりますよ~。ヒースが(涙)
ジュディ・クリスティ、綺麗でしたね。彼女もいいお母さんでした。
またTBを携えてお邪魔いたしますね。ではでは~。
真紅さま
ご訪問ありがとうございました
忙しい毎日で〈真紅のthinkingdays訪問〉を欠かした事はありませんが、チラ見続きで失礼しています^^;
ジョニーが好きな方は多いですが、真紅さんもケイトがお好きな様で嬉しいです
ジュリー・クリスティも毅然としてヨカッタです
彼女も〈口がヘの字〉だったかも…
フレディ君は〈チョコレート工場〉に出演、だったのですね
画面が美しく、目が安心して観ていられる作品だったと思います
ご訪問ありがとうございました
忙しい毎日で〈真紅のthinkingdays訪問〉を欠かした事はありませんが、チラ見続きで失礼しています^^;
ジョニーが好きな方は多いですが、真紅さんもケイトがお好きな様で嬉しいです
ジュリー・クリスティも毅然としてヨカッタです
彼女も〈口がヘの字〉だったかも…
フレディ君は〈チョコレート工場〉に出演、だったのですね
画面が美しく、目が安心して観ていられる作品だったと思います
2008-02-27 18:29 :
Maria URL :
編集
Mariaさま、こんにちは!コメント&TBをありがとうございます。
お忙しい中、ご訪問感謝です♪
ケイト、ウィンスレットもブランシェットもどちらも美しい演技派で、大好きな女優さんたちです。
ジョニーももちろん好きですが、あまりの人気にちょっと距離を置いているところはあります。
フレディ・ハイモアくんは大活躍で、春にも新作が公開されます。
映像が美しく、俳優陣の演技もいい良作だったと思います!
ではでは、またお伺いします~。
お忙しい中、ご訪問感謝です♪
ケイト、ウィンスレットもブランシェットもどちらも美しい演技派で、大好きな女優さんたちです。
ジョニーももちろん好きですが、あまりの人気にちょっと距離を置いているところはあります。
フレディ・ハイモアくんは大活躍で、春にも新作が公開されます。
映像が美しく、俳優陣の演技もいい良作だったと思います!
ではでは、またお伺いします~。