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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

『君の名前で僕を呼んで』

君の名前で僕を呼んで




 CALL ME BY YOUR NAME


 1983年、夏。北イタリアのどこか。17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)が両親とともに過ごす別荘に、一人のアメリカ人青年がやってくる。彼の名はオリヴァー(アーミー・ハマー)。大学教授であるエリオの父パールマン(マイケル・スタールバーグ)の助手として、6週間滞在するのだ。

 オープンリー・ゲイであるルカ・グァダニーノ監督の作品は初見。ジェームズ・アイヴォリーのアカデミー賞脚色賞をはじめ、数多くの映画賞を受賞した話題作。この映画のことを知った瞬間から、楽しみで楽しみで。早く観たくて待ち切れなかった。終業ダッシュで初日に鑑賞後、今日までに3回観ました。

 初見の感想は 「これは夢? それとも奇跡?」。桃源郷とはこういう場所のことなのだろうか。天国。貴族の生活。起きて庭で朝食、泳ぐかピアノ弾くかおしゃべりするか、喉が乾いたらもぎたての果物をかじる。ランチしてまどろみ、お客様が来てディナー、またピアノ弾いて寝る、のループ。これちょっと庶民の反感買いますよ(笑)。

 あれ? お父様(パールマン教授)、この前までアメリカの軍事秘密基地で研究&スパイ活動してなかったっけ? イタリア人のお母様(アミラ・カサール)、タバコ吸い過ぎ、息子とスキンシップ多過ぎ、とか。何だかいろいろ些細なことが引っかかる。
 中でも、「ダビデの星」。オリヴァーがIDとして身に付けるネックレスに、エリオ同様強烈なビームを喰らう。これはそういう映画なんだ、と。だからハリウッドでも大絶賛されたのでは? と穿った観方をしてしまう。

 3回観た今なら、ラストシークエンスに向けて集約するための、敢えて感傷的になり過ぎないカットだったとわかるのに 「ジェームズ・アイヴォリーの演出で観たかったな」 なんて不遜なことを思ったりもした。それなのに観終わった瞬間、呆然自失。「次、いつ観よう」  「絶対にBDが欲しい」 と思ったのだった。結局私は、ティモシー・シャラメの貴いまでの美しさ、萩尾望都の描く少女漫画の主人公そのもののような彼に魅了され、この瞬間を、この作品世界を永遠に手にしたいと願ったのだった。

(続く)

( 『君の名前で僕を呼んで』 監督:ルカ・グァダニーノ/2017・伊、仏、伯、米/
     主演:アーミー・ハマー、ティモシー・シャラメ、マイケル・スタールバーグ)
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テーマ : ★おすすめ映画★
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2018-05-12 : CALL ME BY YOUR NAME : コメント : 6 : トラックバック : 6
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Call me by your name, and I'll call you by mine.
………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………… 2人は太陽と月なのだ……。 いかにも自信たっぷりで快活で背が高く、 頑丈な体躯に金髪、深い海のように澄んだ青い目……。 少年の父親の軽いジョークにも快活に、そしてウィットに富んだ応酬する、 まるで太陽かと見まごうばかりに眩いアメリカ人の...
2018-05-12 20:36 : 匂いのいい花束。
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君の名前で僕を呼んで(2017) CALL ME BY YOUR NAME 上映時間 132分 製作国 イタリア/フランス/ブラジル/アメリカ I監督: ルカ・グァダニーノ 製作: ピーター・スピアーズ ルカ・グァダニーノ エミリー・ジョルジュ ホドリゴ・テイシェイラ マルコ・モラビート ジェームズ・アイヴォリー ハワード・ロ...
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君の名前で僕を呼んで
1980年代のイタリアを舞台に、17歳と24歳の青年が織りなすひと夏の情熱的な恋の行方を、美しい風景とともに描いたラブストーリー。アンドレ・アシマンの同名小説を原作に「日の名残り」「眺めのいい部屋」の名匠ジェームズ・アイボリーが脚本を執筆、「胸騒ぎのシチリア」などで知られるルカ・グァダニーノ監督がメガホンをとった。第90回アカデミー賞で作品賞ほか4部門にノミネートされ、アイボリーが脚色賞を受...
2018-05-29 12:30 : 映画に夢中
「君の名前で僕を呼んで」映画&原作
1983年の夏、 家族とともに北イタリアの避暑地にやって来た17歳のエリオは、大学教授の父が招いた24歳の大学院生オリヴァーと出会う。 率直すぎる彼の態度にそっけなさを感じたエリオだったが、自転車で街を案内したり、泳いだり、本を読んだり・・・とともに過ごすうち、彼の姿から目が離せなくなっていることに気づく。 やがて二人はお互いの思いを知り結ばれるのだが・・・・夏の終わりにはオリ...
2018-08-18 14:13 : Slow Dream
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待ってました!
真紅さんへ。
おはようございます。
穏やかな週末になりました。お元気ですか?
真紅さんが、楽しみで楽しみで、
待ち切れなかったように、
僕もこの記事が楽しみでロクロ首のキリン状態(笑)
やっとアップですね。しかも怒濤のアップ(笑)
僕も3回観ました。はじめの想像と全く違ったから。
大きく予想を外され、納得行かなかったって言うのもあります。
映画って何回か観る機会があると、
その都度全く違った感想を持ったりします。
1回しか観ない作品……果たして大丈夫か?とも思う。
いい作品でしたね、余韻があって。
お父さまの去年の出演作が、全てアカデミー賞に絡んでる!
それも驚きですが、僕の年下って言うのも驚き(苦笑)

ブノワ。
2018-05-13 07:00 : ブノワ。 URL : 編集
ブノワ。さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
それからTBもいただきありがとうございます。初めてですね~。
昨日とは打って変わり、今日は一日大雨です。
雨だと多少テンション下がりますね。

感想記事、お待たせしました(笑)。
アップしてから何人かの方の感想を拝読したのですが、結構皆さん評価が低いですね。
そうそう、週刊文春のシネマチャートでもケチョンケチョンでしたよー。☆5つの方も一人いらっしゃいましたが。
まぁ、感じ方は人それぞれですからね。
結局、どう感じるかはその人の生き方を反映しているのだと私は思っています。
だからどんな感想を持つのも自由ですし、否定はできないですね。
まぁ、自分の好きな作品を貶されていい気持ちはしないですが。。。

マイケル・スタールバーグ、おいくつなのか思わず調べてしまいました(爆)。
2018-05-13 17:59 : 真紅 URL : 編集
北イタリアの沼はいかがですか?(笑)
沼にハマっている真紅さん、こんにちは。
弊ブログにいらして下さりコメントを残して下さってありがとうございます。
いつになっても情熱を傾けられる作品に出会えるのは嬉しいことですよね!
「父黒幕説」、ハッとしましたよ。結構策士なので彼ならやりそ~。
2018-05-15 14:44 : ここなつ URL : 編集
ここなつさん、こんにちは~。こちらこそコメント&TBありがとうございます。
ははは、、、この沼当分抜けられそうにないんです!
マッドマックス、ララランドとここ数年ハマり作品はありましたが、沼にハマったのは久しぶりです(笑)。
ね~、プロフェッサー、図ったな?!って感じですよね♪
でもあのお父さん、大好きです^^
2018-05-16 10:51 : 真紅 URL : 編集
こんばんは
真紅さん、こんばんは♪
#8まで楽しい拝見いたしました。ありがとうございます。
パパ黒幕説、私もめっちゃ感じました。あれは絶対だ(笑)
が、肝心の映画に、私の脳ったらぜんぜん無反応だったんでそっちが衝撃、ショックでした。
いよいよ枯渇したのかしら…。
原作はまだ60数頁で止めたままなのですが、そちらには様々なことを感じたので、映画もかなり楽しみにして行ったんですが。
批判とかじゃないんです。何も感じなかったんです。かなりヤバいですよね。ショックです~。脳ドック案件?

原作読み終えたら、またお邪魔しま~す。
2018-05-27 20:29 : 武田 URL : 編集
武田さん、こんばんは。コメントありがとうございます。恐縮です。
「何も感じなかった」というのは、「意外にあっさり終わってしまった」みたいな感じでしょうか。
実は私も初見のときはそうでしたよ。
この映画は敢えて、そういう風に作ってあるのではないか、、、と思っています。
その「あっさり」した表層の奥を知りたくて、絶対もう一度観なければ、、、と思いました。
なんせ主演の二人が麗しかったし(笑)。
原作は、映画に描かれなかった後半が刺さりまくりでした。何度読み返しても涙が流れます。
逆にこれってメンタル危ない症状かもですね(笑)。
楽しんで読了いただけるといいのですが。
2018-05-27 22:01 : 真紅 URL : 編集
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