![]() ![]() 東京オリンピックの翌年、震災から10年後の東京・新宿。少年院から出所したばかりの 新次(菅田将暉)は、自分を裏切った元仲間を襲い、返り討ちに遭う。そこに居合わせた 理髪師の建二(ヤン・イクチュン)とともに、新次は元ボクサーの堀口(ユースケ・サンタ マリア)が営む歌舞伎町のボクシングジムでトレーニングを始める。 寺山修二が遺した唯一の長編小説(未読です)を、今を時めく菅田将暉×息もできない ヤン・イクチュンで映画化、しかも前・後篇で5時間超の長尺作品! 昔寺山修二の詩集 にドハマリした元・文学少女(笑)としては、観に行かずにいられよーか! それなのに、 全国で37館でしか上映していないとは何事? 大阪市内の上映は一館のみという。。目 を疑いましたよ、なんと勿体無い! もちろんムビチケを買って劇場鑑賞。 でも、先行配信もしてるし円盤が来月1日には出るし、製作サイドは 「劇場で観て欲し い」 などとは思ってないのですね・・・。しくしく(配信や映画の上映形態について、思う ところは書き出すと長くなるのでまた改めて)。 で、作品はと言うと・・・最高でした。エンドロール後に後篇の予告が流れるんだけど、 もう頭抱えましたよ、 「早く観せてくれ!(絶叫)」 って。私はこれ前後篇、5時間ぶっ 通しでも全然オッケーです。いやむしろ観たい。 狂ったように饒舌で荒々しい新次と、吃音ゆえにか寡黙で引っ込み思案な建二。母 のないふたり。彼らの関係は対ではなく、友情とも呼べない。新次は建二を 「兄貴」 と 呼ぶけれど、兄弟のようでもない。同志でもない。敢えて定義はしないけれど、建二の 新次への強烈な思慕だけははっきりと感じ取れる。 『藍宇』 のオマージュ(?)かと見 まがうようなシーンもある! 多分新次は、建二にとって初めての 「ともだち」 だったの かもしれない。 鑑賞前は菅田将暉に目が釘付け、かと思っていたが、すっかり建二=ヤン・イクチュン に魅了されてしまった。虐待されて父を 「捨て」 ながら、給料袋すべて父の枕元に置き、 手描きのノートにだけ本当の気持ちを吐露する、心優しい建二に。彼らとは真逆に母を 捨て、捨てた母と同じく春をひさぐ芳子(木下あかり)もまた、新次に惹かれ愛し合うよう になる。 今から数年後の近未来を描きながら、タブーに正面から斬り込んでいる脚本が潔く、作 り手の覚悟を感じる。奨学金返済という名目の経済的徴兵、原発事故と被災の問題、少子 高齢化による介護人材不足。登場人物は全て高潔とは言い難い、社会の底辺で蠢く人々 だが、彼らを決して悪者には描かない温かさも感じる。新次と建二を 「スカウト」 し、育て ようとする堀口=ユースケ・サンタマリアの飄々とした存在感も得難い。彼が通うバー 「楕 円」 のシーンで、観ている私もほっと息がつけるようだった。あゝ、後篇が待ち遠しい! ( 『あゝ、荒野 前篇』 監督・共同脚本:岸善幸/2017・日本/ 主演:菅田将暉、ヤン・イクチュン、ユースケ・サンタマリア)
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真紅のthinkingdays |
いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪
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