若さ~『グランドフィナーレ』

YOUTH
世界的な英国人音楽家フレッド・バリンジャー(マイケル・ケイン)は、表舞台
から引退し、スイスアルプスの高級リゾートで悠々自適な日々を送っていた。
そんな彼のもとに、英国女王の使者が訪れる。代表曲を指揮して欲しいという
女王たっての依頼を、フレッドは頑なに固辞するのだったが・・・。
パオロ・ソレンティーノ監督の前作 『グレート・ビューティー/追憶のローマ』
は評判がよかったにも関わらず観逃してしまったので、この映画は是非とも観
たかった。スイスアルプスのリゾートホテルを舞台に、肉体は老いても枯れない、
「若さ」 についての物語。マイケル・ケインが見事なハマり役。

マイケル・ケインとハーヴェイ・カイテルの2ショットは初めて観た気がするが、
意外としっくり来ていたと思う。引退を公言し、表舞台から退こうとしているフレ
ッドに対し、ハーヴェイ・カイテル演じる脚本家ミック・ボイルは現役にこだわり、
若い弟子たちを従えて新作の執筆に集中している。その創作意欲は衰えるこ
とが無いように映る。対照的な生き方を選んでいるふたり。
彼らと同宿しているハリウッド俳優ジミーを演じるポール・ダノがまた、全く引
かずに自分の演技を展開している。いい役者なのは知っての通りだけど、彼
なかなかやりますね。
フレッドとミックの 「夢の女」 ブレンダ・モレルにはジェーン・フォンダ。ワー
クアウトな日々は遠く、鳥ガラのように痩せた彼女が少し、哀しかった。

「左利き」 だと 「世界中が知っている」 あのサッカー選手(のそっくりさん)
や、超現実的なスタイルのミス・ユニバースなど、濃淡のくっきりとした映像は
観ていて全く飽きることがない。生きてるうちが花なのさ、死んだらそれまで。
映像と音楽と、大自然と美女に酔いしれましょう、な映画だった。しかしラスト
近く、ミックが取った行動は衝動なのか、それとも彼の 「若さゆえ」 なのか。
それだけは、少し考えあぐねている。
( 『グランドフィナーレ』 監督・脚本:パオロ・ソレンティーノ/
主演:マイケル・ケイン、ハーヴェイ・カイテル/2015・伊、仏、英、スイス)
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trackback
グランドフィナーレ
2016-05-10 21:33 :
あーうぃ だにぇっと
公式サイト。イタリア=フランス=スイス=イギリス。原題:La giovinezza、英題:Youth。パオロ・ソレンティーノ監督。マイケル・ケイン、ハーヴェイ・カイテル、レイチェル・ワイズ、ポ ...
2016-05-10 21:38 :
佐藤秀の徒然幻視録
予告編をみて引退した名作曲家のヒューマンドラマかと思いきや、老いをテーマにしたヨーロッパ流のなんとも人を食ったようなシニカルなコメディ。かなり変化球なので、評価は分かれるでしょう。原題のYOUTHも邦題のグランドフィナーレも意味深です。 作品情報 2015年…
2016-05-10 21:46 :
映画好きパパの鑑賞日記
年老いて引退していた作曲家で指揮者の老人が、親友とアルプスの高級リゾートで過ごしていた。そこへ、エリザベス女王の使者から「代表作を披露してほしい」と言う依頼がくるが・・・。
実はこのストーリーは、実際に起きた“著名なイタリア人指揮者が、女王からオーケス...
2016-05-10 22:31 :
勝手に映画評
スイスの高級ホテルでバカンスを送る、80歳のイギリス人音楽家フレッド。 そんな彼に英国女王からの勲章授与と、会場で彼の名曲「シンプル・ソング」を指揮して欲しいという依頼が舞い込む。 ところが、名誉あるオファーにフレッドは全く興味を示さず、もう引退したからと頑なに出演を拒むばかり。 実はフレッドには、娘レナにも隠している、ある秘密があった…。 ヒューマンドラマ。
2016-05-11 15:36 :
象のロケット
「Youth」 2015 イタリア/フランス/UK/スイス
高級リゾートホテルに宿泊するフレッド・バリンジャーは英国を代表する世界的音楽家。現役を引退し80歳を過ぎた今、アルプスのリゾートホテルで優雅なバカンスを満喫している。長年の親友で娘婿の父親でもある映画監督のミックも同じホテルの宿泊客。ミックはフレッドと違って今だ現役で、若いスタッフたちと新作の準備に勤しんでいた…
フレッ...
2016-05-12 22:09 :
ヨーロッパ映画を観よう!
老人にとっての未来と過去 公式サイト http://gaga.ne.jp/grandfinale4月16日公開 監督: パオロ・ソレンティーノ 「グレート・ビューティー/追憶のローマ」 世界的にその
2016-05-13 22:38 :
風に吹かれて
18日のことですが、映画「グランドフィナーレ」を鑑賞しました。
80歳になり現役を退いたイギリス人作曲家フレッドは親友の映画監督ミックと共にアルプスの高級ホテルで休暇を満喫していた
ある日 エリザベス女王の使者が彼を訪ね フレッドの代表作を女王のため演奏して...
2016-05-16 22:37 :
笑う社会人の生活
★★★★ 製作:2015年 伊・仏・スイス・英国 上映時間:124分 監督:パオロ・ソレンティーノ 本作はイタリア気鋭の映画監督によるもので、第28回ヨーロッパ映画賞作品賞・監督賞を受賞している。ネットの評判を見るとかなり高い評価を付けている人と、退屈極
2016-05-21 10:25 :
ケントのたそがれ劇場
「グレート・ビューティー/追憶のローマ」のパオロ・ソレンティーノ監督がマイケル・ケインを主演に迎え、セレブが集うアルプスの高級ホテルで友人の映画監督と優雅なバカンスを送る老作曲家の憂鬱と葛藤を美しくゴージャスな映像で描き出した人生ドラマ。共演はハーヴェイ...
2016-06-17 10:43 :
パピとママ映画のblog
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2015年イタリア=フランス=イギリス=スイス合作映画 監督パオロ・ソレンティーノ
ネタバレあり
2017-04-17 09:44 :
プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
日記:2017年5月某日 映画「グランド・フィナーレ」を見る. 2015年.監督:パオロ・ソレンティーノ. 出演:マイケル・ケイン(フレッド・バリンジャー),ハーヴェイ・カイテル(ミック・ボイル),レ
2017-06-10 16:08 :
なんか飲みたい
コメントの投稿
役者バカ。
真紅さんへ。
こんばんは。こちらにも……。
遅ればせながら、今日、観て参りました。
映画ってやっぱり「絵」で見せてくれなきゃ!
そう確信した1本。なかなかのお気に入りです。
全編、静かなシーンが多い中、
レイチェル・ワイズのアップの感情が激しく溢れるシーンと、
ミックとブレンダのシーン……印象的でした。
真紅さんは鶏ガラと仰言るけど(笑)
僕には厚化粧のシシャモにしか見えず、
でも、厚塗りもカツラも見え見えの老醜を、
楽しく演じたジェーン・フォンダなんだと思いました。
「アイリスへの手紙」ご覧になりましたか?
申し訳ないけど、もう映画に出ちゃダメだって思ったの。
綺麗じゃないって言うよりも汚かったから。
その後、引退しましたね。彼女もそう思ったのでしょう。
そして、整形して復活。以降、出まくっていますが、
矢張り役者バカなんでしょうね……御年80才、
月日の流れるのは早いです……。
ブノワ。
こんばんは。こちらにも……。
遅ればせながら、今日、観て参りました。
映画ってやっぱり「絵」で見せてくれなきゃ!
そう確信した1本。なかなかのお気に入りです。
全編、静かなシーンが多い中、
レイチェル・ワイズのアップの感情が激しく溢れるシーンと、
ミックとブレンダのシーン……印象的でした。
真紅さんは鶏ガラと仰言るけど(笑)
僕には厚化粧のシシャモにしか見えず、
でも、厚塗りもカツラも見え見えの老醜を、
楽しく演じたジェーン・フォンダなんだと思いました。
「アイリスへの手紙」ご覧になりましたか?
申し訳ないけど、もう映画に出ちゃダメだって思ったの。
綺麗じゃないって言うよりも汚かったから。
その後、引退しましたね。彼女もそう思ったのでしょう。
そして、整形して復活。以降、出まくっていますが、
矢張り役者バカなんでしょうね……御年80才、
月日の流れるのは早いです……。
ブノワ。
あぁ、勘違い!
真紅さんへ。
書き忘れ……。
シャイア・ラブーフってこんな顔だっけ?
映画を観ながらズゥ〜っと疑問でした。
ポール・ダノでしたね(苦笑)
ブノワ。
書き忘れ……。
シャイア・ラブーフってこんな顔だっけ?
映画を観ながらズゥ〜っと疑問でした。
ポール・ダノでしたね(苦笑)
ブノワ。
ブノワ。さん、こちらにもありがとうございます。
>映画ってやっぱり「絵」で見せてくれなきゃ!
全く同感ですね。
最近つくづく思うのですが、映画好きもいろいろだなー、って。
映画に映像の美しさを求めていないとはっきり仰る方もいらっしゃるんですよね。
そこが、大きなスクリーンで映画を観る醍醐味だと私なんかは思うのですが・・・。
この映画の映像は、明暗というか色調がくっきりしていてすごく印象的でしたね。
レイチェル・ワイズは「才色兼備の代名詞」的な女優さんだと思っています。
一時期は一番好きなくらいでした。
ジェーン・フォンダはね、もう開き直り状態でしたね。
『アイリスへの手紙』は、デ・ニーロと共演した映画ですよね、記憶が朧ですが。
>御年80才
えーー! もうそんなになるのですか、、、ビックリです。
歳を重ねても、元気で仕事ができるって素晴らしいことですよね。
定年がないのが自由業のいいところなんだから、引退なんてもったいないよー、
オファー受けなさいよ!とフレッドに言いたかったです。
で、追記の部分ですが・・・。
どうしてシャイア・ラブーフって思い込んでしまったのでしょうね?
私の中では、全然違う二人です(笑)。
>映画ってやっぱり「絵」で見せてくれなきゃ!
全く同感ですね。
最近つくづく思うのですが、映画好きもいろいろだなー、って。
映画に映像の美しさを求めていないとはっきり仰る方もいらっしゃるんですよね。
そこが、大きなスクリーンで映画を観る醍醐味だと私なんかは思うのですが・・・。
この映画の映像は、明暗というか色調がくっきりしていてすごく印象的でしたね。
レイチェル・ワイズは「才色兼備の代名詞」的な女優さんだと思っています。
一時期は一番好きなくらいでした。
ジェーン・フォンダはね、もう開き直り状態でしたね。
『アイリスへの手紙』は、デ・ニーロと共演した映画ですよね、記憶が朧ですが。
>御年80才
えーー! もうそんなになるのですか、、、ビックリです。
歳を重ねても、元気で仕事ができるって素晴らしいことですよね。
定年がないのが自由業のいいところなんだから、引退なんてもったいないよー、
オファー受けなさいよ!とフレッドに言いたかったです。
で、追記の部分ですが・・・。
どうしてシャイア・ラブーフって思い込んでしまったのでしょうね?
私の中では、全然違う二人です(笑)。