私の天使~『キャロル』

CAROL
1952年、ニューヨーク。フォトグラファーに憧れながらも百貨店のおもちゃ
売り場で働くテレーズ(ルーニー・マーラ)は、娘へのクリスマスプレゼントを
買いに来た貴婦人キャロル(ケイト・ブランシェット)と出逢う。
我らがケイト・ブランシェットと、ルーニー・マーラが恋に落ちる。原作はパ
トリシア・ハイスミス、監督は 『アイム・ノット・ゼア』 でケイト・ブランシェット
と組み、彼女から最高の演技を引き出したトッド・ヘインズ。ある意味、ケイ
ト様を一番 「わかっている」 監督かもしれない。これだけの役者が揃えば、
期待値はストップ高、鉄板の良作でないはずがない・・・。そして、その期待
が裏切られることはなかった。
ちなみに、2月14日に鑑賞。バレンタインデー、女一人で観るのにこれほ
どふさわしい映画があるだろうか?

50年代の風俗を再現した衣装や、プロダクション・デザインが素晴らしい!
古い名画を観ているような感覚にさえ陥る、完璧な映像だったと思う。主演女
優ふたりはその演技を競うことなく、互いを見つめ合い、尊重し合って呼吸を
合わせる。時にスロー過ぎるとさえ感じるほどに、ゆっくり、ゆっくり、ふたりの
距離は縮まってゆく・・・。
ゴージャスなセレブリティであり、羨望の的であるキャロルが、可哀想で堪
らなかった。飾り物として振舞うことだけを求められ、「本当の自分」 を抑え
つける日々。若いテレーズには夢も時間もあるのに、キャロルは唯一の希望
であり、宝である娘すら奪われてしまう。

それでも、自らのセクシャリティと、テレーズへの愛を堂々と貫くキャロル
に感動する。テレーズは、様々な意味でキャロルによって道を開かれ(ca
nonのカメラ!)、自立した大人の女へと変貌する。その上で、彼女がラス
トシーンに下した決断に、深い安堵と感銘を覚えた。これは、カバーこそ同
性愛だけれど、実は女の自立がテーマの物語なんじゃないだろうか。
( 『キャロル』 監督:トッド・ヘインズ/2015・UK、USA/
主演:ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ)
- 関連記事
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- QT,No.8~『ヘイトフル・エイト』 (2016/03/09)
- 私の天使~『キャロル』 (2016/03/08)
- 神が与えしもの~『サウルの息子』 (2016/03/07)
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trackback
キャロル@ユーロライブ
2016-03-07 21:31 :
あーうぃ だにぇっと
惹かれ合う理由
* * * * * * * * * *
本作は1952年に、パトリシア・ハイスミスによって発表された小説。
けれど、当時は同性愛は法に触れることもあり、
別名で出版されたといいます。
今や同性婚も認められつつある時代。
だからわりと何気なく見...
2016-03-07 21:32 :
映画と本の『たんぽぽ館』
『キャロル』を吉祥寺プラザで見ました。
(1)本作の主演のケイト・ブランシェットがアカデミー賞主演女優賞にノミネートされているというので映画館に行ってみました。
本作(注1)の冒頭の時点は1952年。まず地下鉄の走る音に続いて駅で停車する音が聞こえた後、ジ...
2016-03-07 21:33 :
映画的・絵画的・音楽的
「Carol」 2015 UK/USA
1952年のニューヨーク。クリスマスを目前に高級百貨店のおもちゃ売り場でアルバイトをしているテレーズも忙しくしている。彼女はフォトグラファーになることが夢。そしてボーイフレンドのリチャードからはプロポーズされヨーロッパに行こうと熱心に誘われているがなぜかその気にならない。そんなある日、おもちゃ売り場に現れたエレガントな女性に魅せられてしまう......
2016-03-07 21:35 :
ヨーロッパ映画を観よう!
評価:★★★☆【3.5点】(P)
同性愛をテーマにしたメロドラマに付いて行けるか^^;
2016-03-07 21:39 :
映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ〜
公式サイト。イギリス=アメリカ。原題:Carol。パトリシア・ハイスミス原作、トッド・ヘインズ監督。ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、カイル・チャンドラー、ジェイク・ ...
2016-03-07 21:48 :
佐藤秀の徒然幻視録
映画『キャロル』は、1950年代を舞台にしたということではなく、映画らしい映像の
2016-03-07 21:58 :
大江戸時夫の東京温度
『ベルベット・ゴールドマイン』『エデンより彼方に』などのトッド・ヘインズの最新作。
原作は『リプリー』『殺意の迷宮』(映画版は『ギリシャに消えた嘘』)などのパトリシア・ハイスミス。
舞台は50年代のニューヨーク。高級百貨店でアルバイトとして働くテレーズ(ルーニー・マーラ)は、お客として現れたキャロル(ケイト・ブランシェット)に目を奪われる。キャロルもその視線に気づき、ふ...
2016-03-07 23:01 :
映画批評的妄想覚え書き/日々是口実
1950年代のアメリカを舞台に、当時は市民権を得られていなかった女性の同性愛を描いた作品。美術、ファッション、撮影などは満点に近く、主演の2人も本当に美しかったのだけど、これ、男女の話だったら、普通のメロドラマだよな、と見ていて醒めた部分もありました…
2016-03-07 23:02 :
映画好きパパの鑑賞日記
「憧れ」や「代用」は恋へと昇華するのだろうか。
これは恋の物語でも愛の物語でもなく、本当の意味での恋が始まるまでの物語。キャロル・エアードとテレーズ・ベリベットの対等 ...
2016-03-07 23:27 :
こねたみっくす
1952年、ニューヨーク。ジャーナリストになるためにマンハッタンに出て来たテレーズ(ルーニー・マーラ)は、デパートの玩具売り場でクリスマスシーズンの臨時アルバイトをしている。テレーズには、なかなか結婚には踏み切れないでいるリチャードという恋人がいた。そんな...
2016-03-08 00:04 :
beatitude
『キャロル』Carol原作 : パトリシア・ハイスミス監督 : トッド・ヘインズ出演 : ケイト・ブランシェットルーニー・マーラカイル・チャンドラージェイク・レイシーサラ・ポールソン、他 物語・195
2016-03-08 00:17 :
映画雑記・COLOR of CINEMA
1952年のニューヨーク。
デパートでアルバイトをするテレーズ(ルーニー・マーラ)は、娘のプレゼントを探すゴージャスな女性キャロル(ケイト・ブランシェット)を接客。
優雅で気品に満ちたキャロルに魅了されたテレーズは、彼女の忘れ物を送ったことからランチに誘われるが…。
「見知らぬ乗客」「太陽がいっぱい」などで知られる女流ミステリー作家パトリシア・ハイスミスが52年に別名義で発表...
2016-03-08 00:45 :
心のままに映画の風景
ケイト・ブランシェットの「ブルージャスミン」に続いての主演女優賞が噂される今作。 アカデミー賞候補が発表されたが、まだ内容は知らないタイミングで今作を鑑賞した。 そして鑑賞直後に感じたのはまず、 ケイト・ブランシェットは、2度めの主演女優賞を獲ったな...
2016-03-08 00:54 :
日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜
Carol(viewing film) 1950年代のニューヨークを舞台に二人の
2016-03-08 11:51 :
Days of Books, Films
【CAROL】 2016/02/11公開 イギリス/アメリカ/フランス PG12 118分監督:トッド・ヘインズ出演:ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、サラ・ポールソン、ジェイク・レイシー、カイル・チャンドラー
このうえもなく美しく、このうえもなく不幸なひと、キャロル。...
2016-03-08 15:03 :
★yukarinの映画鑑賞ぷらす日記★
2016.02.13 『キャロル』鑑賞@TOHOシネマズみゆき座
すごい見たくて試写会応募したけどハズレ。迎賓館赤坂離宮見学(記事はコチラ)まで時間潰す必要があったので、予定にはなったけど急遽見ることに。9:30AMの回だったけど、小さい劇場なこともあり満席。楽しみに見てき...
2016-03-09 02:03 :
・*・ etoile ・*・
離婚調停中の人妻と若い女性の恋愛を描いた作品です。
2016-03-09 19:31 :
水曜日のシネマ日記
恋に落ちた相手はキャロル 公式サイト http://carol-movie.com 原作: キャロル (パトリシア・ハイスミス著/河出文庫)監督: トッド・ヘインズ 「ベルベット・ゴールドマイン」
2016-03-11 21:48 :
風に吹かれて
その愛は、人生を永遠に変える。
舞台は1950年代のニューヨーク。
エレガントな大人の女性キャロルと、まだ初々しい蕾のテレーズ。
対象的な二人は共に人生の岐路に立っており、運命的に出会うと急速に惹かれ合う。
「太陽がいっぱい」で知られるパトリシア・ハイスミスが、1952年に発表した事実上の長編デビュー作「The price of solt」を「ベルベット・ゴールドマイン」のトッド...
2016-03-11 21:50 :
ノラネコの呑んで観るシネマ
☆☆☆-- (10段階評価で 6)
2月13日(土) 109シネマズHAT神戸 シアター2にて 14:30の回を鑑賞。
2016-03-13 16:36 :
みはいる・BのB
1950年代のニューヨークを舞台に女同士の純粋な恋愛を描いた物語。芸術作品に近い映画に思った。主人公のケイト・ブランシェット&ルーニー・マーラは、第88回アカデミー賞で主演女優賞、助演女優賞にそれぞれ
2016-03-15 18:38 :
たいむのひとりごと
15日のことですが、映画「キャロル」を鑑賞しました。
試写会にて
52年、マンハッタン 冬。テレーズはデパートで玩具販売員のアルバイトをしていたある日 娘へのプレゼントを探しに来た
ミステリアスな女性キャロルにひと目で心を奪われる。それ以来、2人は会うようにな...
2016-03-23 22:39 :
笑う社会人の生活
1952年、ニューヨーク。 高級百貨店の女性アルバイト店員テレーズは、密かに写真家に憧れているが、恋人からは結婚を迫られていた。 ある日、売り場にキャロルというエレガントな女性が、6歳の娘へのクリスマスプレゼントを探しに訪れる。 ひょんなことから、テレーズはキャロルの屋敷に招待され、心を通わせていくが…。 ラブ・ストーリー。 ≪このうえもなく美しく、このうえもなく不幸なひと、キャロル。 あな...
2016-03-31 00:27 :
象のロケット
原題: Carol
監督: トッド・ヘインズ
出演: ケイト・ブランシェット 、ルーニー・マーラ 、サラ・ポールソン 、ジェイク・レイシー 、カイル・チャンドラー
試写会場: ユーロライブ
2015年 アメリカ
映画『キャロル』公式サイトはこちら。
52年、冬。ジャ...
2016-04-02 11:37 :
Nice One!! @goo
『見知らぬ乗客』『太陽がいっぱい』などで知られる女流ミステリー作家パトリシア・ハイスミスが52年に別名義で発表した小説を「エデンより彼方に」のトッド・ヘインズ監督が映画化。エレガントな大人の女性に心奪われた若いヒロインの切なくも美しい禁断の恋の行方を、50...
2016-04-15 19:00 :
パピとママ映画のblog
1950年代のアメリカ、女性同士の同性愛をテーマにした作品。
デパートで販売員の仕事をしているテレーズ(ルーニー・マーラ)、クリスマスのおもちゃ売り場で出会った、娘へのクリスマスプレゼントを買うキャロル(ケイト・ブランシェット)に心を奪われる。キャロルは...
2016-04-19 23:06 :
まてぃの徒然映画+雑記
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2015年アメリカ=イギリス=オーストラリア合作映画 監督トッド・ヘインズ
ネタバレあり
2017-02-05 08:40 :
プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
キャロル
優雅な人妻に魅せられた若い女性の禁断の恋の行方を
切なくも艶やかに描き出した感動の恋愛ドラマ。
【個人評価:★★☆ (2.5P)】 (自宅鑑賞)
原作:パトリシア・ハイスミスが初刊行時には別名義で発表したベストセラー小説
2017-03-06 01:37 :
cinema-days 映画な日々
ビューティフル!
2017-06-13 22:45 :
或る日の出来事
コメントの投稿
>ある意味、ケイト様を一番 「わかっている」 監督かもしれない。
本当にその通り!
ケイト様の潜在能力を十二分に引き出す、トッド・ヘインズ監督、素晴らしいです。
賛否両論の『アイム・ノット・ゼア』も大好きでした。
この作品、上半期で一番好きでした。
バレンタインデーにこれをご覧になったのね。日にちのチョイスまでとても良い感じですね。
本当にその通り!
ケイト様の潜在能力を十二分に引き出す、トッド・ヘインズ監督、素晴らしいです。
賛否両論の『アイム・ノット・ゼア』も大好きでした。
この作品、上半期で一番好きでした。
バレンタインデーにこれをご覧になったのね。日にちのチョイスまでとても良い感じですね。
とらねこさん、こんにちは~。コメントありがとうございます。
『アイム・ノット・ゼア』賛否両論だったのですね!?
ケイト様はめちゃ評価されてましたが、まぁ実験的な映画でしたからね・・・。
私ももちろん大好きでしたよ♪
>この作品、上半期で一番好きでした。
下半期かな? 9月~翌年3月まで、ってことかな?
そう、バレンタイン。TOHOなんば。安かったし(笑)。
『アイム・ノット・ゼア』賛否両論だったのですね!?
ケイト様はめちゃ評価されてましたが、まぁ実験的な映画でしたからね・・・。
私ももちろん大好きでしたよ♪
>この作品、上半期で一番好きでした。
下半期かな? 9月~翌年3月まで、ってことかな?
そう、バレンタイン。TOHOなんば。安かったし(笑)。
お久しぶりです。
ヘインズ監督らしく色使いがきれいな映画でした。
ケイトさんの背面姿が
けっこう筋肉質でしたね。(笑)
二人が見つめ合うあのラストは
逸品と思います。
ヘインズ監督らしく色使いがきれいな映画でした。
ケイトさんの背面姿が
けっこう筋肉質でしたね。(笑)
二人が見つめ合うあのラストは
逸品と思います。
2016-03-19 17:49 :
vivajiji URL :
編集
vivajijiさん、こんにちは~。コメントいただくの、ホントひさしぶりですね。
ありがとうございます。
ケイト様、宝塚の男役トップのような雰囲気でしたね!
ルーニーは娘役。ドゥフフ。。
色彩設計、美術、衣装。もちろん主演ふたりの演技。
まさしく「逸品」でございました。
ありがとうございます。
ケイト様、宝塚の男役トップのような雰囲気でしたね!
ルーニーは娘役。ドゥフフ。。
色彩設計、美術、衣装。もちろん主演ふたりの演技。
まさしく「逸品」でございました。
わーまた間が開いちゃった(汗)
『アイム・ノット・ゼア』は私も大好きなんですよね。
なのでこのコンビなのでハズレはないかと。
作品も落ち着いていてよかったです。
『アイム・ノット・ゼア』は私も大好きなんですよね。
なのでこのコンビなのでハズレはないかと。
作品も落ち着いていてよかったです。
roseさん、こんにちは~。コメント&TBありがとうございます。
こちらではご無沙汰ですが、Twitterで生存確認(?)してるから久しぶり感はないな~。
トッド・ヘインズはまたいつかケイト様と組んで欲しいですね。
このコンビならどんなジャンルでも観たいですわ。
こちらではご無沙汰ですが、Twitterで生存確認(?)してるから久しぶり感はないな~。
トッド・ヘインズはまたいつかケイト様と組んで欲しいですね。
このコンビならどんなジャンルでも観たいですわ。