『母と暮せば』

1948年、長崎。3年前の8月、医学生の次男・浩二(二宮和也)を原爆で失った
母の伸子(吉永小百合)は、助産婦をしながら一人で暮らしていた。そんな伸子
を、浩二の恋人だった町子(黒木華)はたびたび訪ねる。そして、ある夜のこと・・・。
井上ひさし原作、黒木和雄監督の名作 『父と暮せば』 にオマージュを捧げ
た、山田洋次監督の最新作。「1945年8月9日、僕は死んだ」 このナレーション
で既に涙腺決壊。ニノ、よく頑張りました。黒木華とのシーンが、とってもよかっ
た。
山田洋次監督にとっては、「吉永小百合主演」 でこの映画を撮ることが最も
大切で、最も重要なことだったのだろうと思う。御歳70とは思えない美しさであ
ることは否めないが、あまりにも変わらないが故に、「何を演じても吉永小百合」
だと感じてしまう。でも多分、それでいいのだろう。
※ 以下、ラストに言及します

伸子が浩二の亡霊に連れられ、あの世へ旅立ってしまう・・・。このラストシ
ーンには少し、がっかりした。夫と二人の息子を亡くし、身寄りのない伸子で
も、戦後を逞しく生き抜いて欲しかった。遺された者は、一人で生きるよりも、
死んだ家族の元へ行く方が幸せなのだろうか? 人のために働きづめに働
き、闇物資も買わず清貧に暮らし、医者にもかからずに死んでゆく。伸子は、
決して一人ではなかったのに。町子も、上海のおじさんも、お隣の奥さんも、
みんなみんな伸子のことを気にかけていたのに。でも・・・。
「浩二が死んでから、何があっても幸せだと思えなくなったのよ」
最愛の息子を亡くしたら、そんな気持ちになるのかな。生き甲斐がなくなっ
てしまったら、人って生きては行けないものなのかな・・・。

シアターはほぼ中高年女性で占められていたけれど、私の隣に座ったのは
中学生らしき二人組の女の子。ニノのファンなのかな? 若い人たちにも、観
て欲しい作品です。
( 『母と暮せば』 監督・共同脚本:山田洋次/主演:吉永小百合、二宮和也/2015・日本)
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五つ星評価で【★★★吉永小百合という劇薬の扱いとしては最近一番】
ラストシーンについて語っているネタバレ原稿です
130分は長い。
64分の『傷物語』と同じ代金ならお得かも ...
2016-01-27 23:02 :
ふじき78の死屍累々映画日記
公式サイト。山田洋次監督、音楽:坂本龍一。吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信、加藤健一、広岡由里子、本田望結、小林稔侍、辻萬長、橋爪功。ニノは幽霊なのでスチール写真 ...
2016-01-28 09:06 :
佐藤秀の徒然幻視録
まるで吉永小百合による朗読の再現劇。
2016-01-28 10:23 :
Akira's VOICE
母と暮せば@一ツ橋ホール
2016-01-28 12:53 :
あーうぃ だにぇっと
『母と暮せば』監督 : 山田洋次音楽 : 坂本龍一出演 : 吉永小百合、二宮和也黒木華、浅野忠信、他 物語・1948年8月9日、長崎で助産師をしている伸子(吉永小百合)のところに3年前に原爆で失ったは
2016-01-28 15:05 :
映画雑記・COLOR of CINEMA
「母と暮せば」ではなく、「息子と暮せば」になってますよ。
着地点はほぼ決まっているのに、そこに辿り着くまでが凄く長い。なのに着地点が見え始めると、意外とあっさり着地し ...
2016-01-28 22:31 :
こねたみっくす
映画「母と暮せば」を鑑賞しました。
2016-01-29 00:07 :
FREE TIME
「おとうと」「小さいおうち」の山田洋次監督が、吉永小百合と二宮和也を主演に迎えて贈るヒューマン・ファンタジー・ドラマ。戦後の広島を舞台にした父と娘の物語『父と暮せば』を手がけた井上ひさしが生前に構想していた長崎が舞台の物語というアイデアを山田監督が受け...
2016-01-29 15:05 :
パピとママ映画のblog
☆☆☆☆☆ (10段階評価で 10)
12月12日(土) OSシネマズ神戸ハーバーランド スクリーン7にて 16:10の回を鑑賞。
2016-01-31 13:15 :
みはいる・BのB
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2015年日本映画 監督・山田洋次
ネタバレあり
2017-01-07 09:06 :
プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
母と暮せば
長崎に落とされた原爆で亡くなった筈の息子の亡霊が、
3年ぶりに母親の前に現われて、婚約者の行く末を案じる...
【個人評価:★★☆ (2.5P)】 (自宅鑑賞)
構想:井上ひさし
2017-01-22 15:03 :
cinema-days 映画な日々
コメントの投稿
天国
伸子はクリスチャンなので天国に行くのが一番の幸せなのだと思います。
信仰のちがいですね。
信仰のちがいですね。
真紅さん、こんにちは
NHKで山田監督とこの映画の特集を見て、観に行こうと思いました。原爆投下シーンをどう表現するかに一番悩まれたそうですね。悩んでインク瓶が溶けるシーンで表したとか。
長崎出身の私には、学校で勉強したり、聞いてきた史実と重なって、興味深く観ました。
しかし小百合さんのあのきれいさってどこからくるんでしょうね。あんなに清潔感を感じさせる70歳って一体。。
ニノの役柄が快活でおしゃべりな青年というのも良かったですね。
ふたりの会話がほんわかして良かったです。
NHKで山田監督とこの映画の特集を見て、観に行こうと思いました。原爆投下シーンをどう表現するかに一番悩まれたそうですね。悩んでインク瓶が溶けるシーンで表したとか。
長崎出身の私には、学校で勉強したり、聞いてきた史実と重なって、興味深く観ました。
しかし小百合さんのあのきれいさってどこからくるんでしょうね。あんなに清潔感を感じさせる70歳って一体。。
ニノの役柄が快活でおしゃべりな青年というのも良かったですね。
ふたりの会話がほんわかして良かったです。
2016-01-29 21:57 :
ゆーこ URL :
編集
まっつぁんこさん、こんにちは。コメント&TBありがとうございます。
なるほどー、深い! クリスチャンの方ってそうなんですね。。
信仰、、私にはないものです。幸か不幸か。
なるほどー、深い! クリスチャンの方ってそうなんですね。。
信仰、、私にはないものです。幸か不幸か。
ゆーこさん、こちらにもありがとうございます。
NHKの番組って、ニノと監督と、美輪さんが鼎談されてた番組ですか?
私も観ました。
私は広島に住んでいたことがあるのですが、原爆のことには当時あまり関心がなく、反省しています。
吉永さんは、精神年齢がとてもお若いのではないでしょうか?
あの透明感は、内側から滲み出て来るものなのでしょうね、きっと。
ニノの演技には、いつも感心させられます。
この作品で、キネマ旬報の主演男優賞を受賞しましたね。
これからもたくさん映画に出て欲しいな~。
NHKの番組って、ニノと監督と、美輪さんが鼎談されてた番組ですか?
私も観ました。
私は広島に住んでいたことがあるのですが、原爆のことには当時あまり関心がなく、反省しています。
吉永さんは、精神年齢がとてもお若いのではないでしょうか?
あの透明感は、内側から滲み出て来るものなのでしょうね、きっと。
ニノの演技には、いつも感心させられます。
この作品で、キネマ旬報の主演男優賞を受賞しましたね。
これからもたくさん映画に出て欲しいな~。