予言~『天空の蜂』

1995年8月。開発されたばかりの最新鋭巨大ヘリコプター 「ビッグB」 が
何者かによって遠隔操作され、敦賀にある原発 「新陽」 上空でホバリングを
始める。機内には、ヘリの開発者・湯原(江口洋介)の一人息子・高彦が取り残
されていた。
「本当に狂っているのは誰なのか。いつかわかる時が来る」
ベストセラー作家・東野圭吾が20年前に上梓した小説の映画化。正直、私は
今まで東野圭吾という作家のことを舐めていたかもしれない・・・。これはまさに
「予言の書」 ではないか? しかし20年前というと、作中の設定にもある通り、
阪神・淡路大震災が起こった年。あの時点で既に、このような内容の書物が世
に出ていたとは・・・。東野圭吾の慧眼に震える。日本中の誰もが未曾有の災害
に耳目を奪われていたとき、彼は遥か先を見ていたのだ。

原作は未読だが、映画化された本作は素晴らしいエンタメ作品だった。130分
超の長尺を、全く飽きさせるどころか、前のめりに見せる作劇が見事。キャスト
もドンぴしゃり。映像やCGのすごさよりも、人間ドラマに唸る。これはやはり、原
作の力が大きいのか?
江口洋介は、熱い男が本当によく似合う。カッコイイ・・・。思わず惚れ惚れ。
しかし本作で、それ以上にカッコよかったのは綾野剛! 彼は今を時めく売れ
っ子だけど、その理由がよくわかる。巧いよね~、芝居が。造り自体はさほど
イケメン、というわけではないのだが、何とも言えない雰囲気がある。しなやか
でいて鋭く、影は濃くどこか謎めいている。個人的にはファン、というわけでは
ないけれど、人気あるだろうな~、と思うのだ。

國村隼や光石研ら、おなじみの脇役もよかったが、今一番乗っているのは
佐藤二朗だな、と思う。息詰まる作劇の中、緊張を緩和させてくれる存在とし
て貴重だった。
もちろん、多少詰め込み過ぎの感はあるし、湯原と三島(本木雅弘)の関係、
会社の同期であるという設定は最後までよくわからなかった。湯原の妻と、三
島の関係も。しかしそれらは些細な疵であり、この映画そのものを毀損するわ
けではない。劇場で観る価値のある一本だったと思う。
( 『天空の蜂』 監督:堤幸彦/主演:江口洋介、本木雅弘、綾野剛/2015・日本)
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□作品オフィシャルサイト 「天空の蜂」□監督 堤 幸彦□脚本 楠野一郎□原作 東野圭吾□キャスト 江口洋介、本木雅弘、仲間由紀恵、綾野 剛、柄本 明■鑑賞日 9月13日(日)■劇場 TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★★★(5★満点、☆は0.5)<感想> 自衛...
2015-10-27 08:01 :
京の昼寝〜♪
公式サイト。東野圭吾原作、堤幸彦監督。江口洋介、本木雅弘、仲間由紀恵、綾野剛、國村隼、柄本明、石橋蓮司、佐藤二朗、向井理、光石研、竹中直人、やべきょうすけ、手塚とおる ...
2015-10-27 08:06 :
佐藤秀の徒然幻視録
素晴らしい!
あまりの面白さに度肝を抜かれた。原発、軍需産業、自衛隊の災害派遣等、タイムリーな題材の濃縮に驚かされる。
『天空の蜂』が公開されたのは2015年9月12日。前々日に栃木・茨城・宮城を襲った大雨と鬼怒川の堤防決壊に日本中が衝撃を受けたときだった。
タイムリーなだけに、ちゃちな作りの映画なら観客に見透かされてしまう。なにしろ観客は、映画公開の前日、前々日に自衛隊のヘリ...
2015-10-27 08:24 :
映画のブログ
東野圭吾さんが1995年に発表しロングセラーとなっている同名小説を堤幸彦監督が映画化したサスペンス・アクション・ムービーです。タイトルは何となく見聞きした覚えがあるような気 ...
2015-10-27 09:10 :
カノンな日々
天空の蜂@松竹試写室
2015-10-27 09:40 :
あーうぃ だにぇっと
人気作家・東野圭吾が原子力発電所を題材に1995年に発表した傑作小説を、堤幸彦監督が映画化した社会派サスペンス。最新鋭の大型ヘリを手に入れたテロリストが、日本全国の原発の停止を求め稼働中の原発上空でホバリングさせるテロ事件を描く。困難な直面に立ち向かうヘリ...
2015-10-27 13:47 :
パピとママ映画のblog
進撃の巨人に続いてみたおかげか、素直に面白かった。もちろん、子供が自衛隊ヘリに乗り込めるわけないとか、脚本に突っ込めるわけですけど、それを吹き飛ばす勢いの良さが最後まで続いてくれました。 作品情報 2015年日本映画 監督:堤幸彦 出演:江口洋介、本木…
2015-10-27 18:07 :
映画好きパパの鑑賞日記
『天空の蜂』を新宿ピカデリーで見ました。
(1)東野圭吾氏の原作の映画化ということで映画館に行ってきました。
本作(注1)の冒頭は、1995年8月8日午前7時21分。
錦重工業小牧工場で開かれる「ビッグB」納入式典に参加するために、湯原(江口洋介)とその妻・篤...
2015-10-27 18:48 :
映画的・絵画的・音楽的
東野圭吾の原作を読んだのはだいぶ前のこと。ストーリーはほとんど忘れているけれど、読み終えたときの印象ははっきりおぼえている。「理系のひとはやっぱり違うなあ」高速増殖炉の真上にヘリをホバリングさせ、全国の原発を止めなければヘリを炉に墜落させるとテロリス...
2015-10-27 18:56 :
事務職員へのこの1冊
今朝は、曇り空でしたが・・・・
2015-10-27 20:04 :
Break Time
評価:★★★【3点】(11)
原作を読破した同僚の強い勧めで映画を観ることに。
2015-10-27 21:26 :
映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ〜
原作は東野圭吾の同名小説。
なんと20年前に書かれた小説です。
半年前に読みました。
監督は堤幸彦。
キャストは江口洋介・本木雅弘・
仲間由紀恵・綾野剛・柄本明・國村隼など。
最新設備搭載の自衛隊用の
超大型ヘリが乗っ取られる。
犯人は国内すべての原発の...
2015-10-27 21:49 :
花ごよみ
元々は、20年前の1995年に東野圭吾が発表した同名の小説『天空の蜂』。その時でも、中々衝撃的内容ではありましたが、2011.3.11の東日本大震災を経て、原発事故のリアルさがより増した今、待望の映画化です。
原作を読んだ時も「これは凄い作品だな」と思いましが、東日...
2015-10-27 22:13 :
勝手に映画評
2015年・日本 配給:松竹 監督:堤 幸彦原作:東野圭吾脚本:楠野一郎 ベストセラー作家の東野圭吾が1995年に発表した、原発テロを題材とした同名小説の映画化。監督は「20世紀少年」「イニシエーショ
2015-10-28 00:27 :
お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法
五つ星評価で【★★★堤の癖に】
原発の上にホバリングで止まる無人の巨大ヘリコプター。
燃料切れまで8時間、遠隔操縦する犯人と開発者との戦い。
なかなかスリリングな設定 ...
2015-10-28 22:16 :
ふじき78の死屍累々映画日記
映画「天空の蜂」を鑑賞しました。
2015-10-29 01:30 :
FREE TIME
2015/09/12公開 日本 139分監督:堤幸彦出演:江口洋介、本木雅弘、仲間由紀恵、綾野剛、國村隼、柄本明、光石研、佐藤二朗
絶対、守り抜く――
Story:1995年夏、愛知県の錦重工業小牧工場から防衛庁へ納品する最新の設備を搭載したヘリコプターが、正体不明の人物に...
2015-10-29 15:21 :
★yukarinの映画鑑賞ぷらす日記★
20年前の原作が現実問題に 公式サイト http://tenkunohachi.jp9月12日公開 原作: 天空の蜂 (東野圭吾著/講談社文庫)監督: 堤幸彦 1995年8月8日。愛知県の錦重工業小牧
2015-10-29 20:06 :
風に吹かれて
意外に見応えあって面白かった。
2015-11-04 23:33 :
だらだら無気力ブログ!
[天空の蜂] ブログ村キーワード ↓ワンクリックの応援お願いします↓ おみくじ評価:大吉 2015年31本目(30作品)です。 【あらすじ】 1995年8月8日。愛知県の錦重工業小牧工場から防衛庁へ納品する新型ヘリコプター、通称ビッグBが何者かに奪われ、やがて遠隔操作…
2015-11-06 03:18 :
必見!ミスターシネマの最新映画ネタバレ・批評レビュー!
『天空の蜂』。いまの時代を撃つ挑発的なテーマに腰を抜かした。
映画は言う。敵は「無関心な群衆」だと…。
内容で映画を論じ、なのにポリティカルな話は避ける傾向の映画ファンは、
この映画をどう評するのだろう?
ただ個人的には『エグゼクティブ・デシジョン』を彷彿...
2015-11-07 13:33 :
ラムの大通り
巨大ヘリが乗っ取られ、原子力発電所上に停止
8時間以内の原発中止を要求
ヘリ・原発設計士が阻止にあたるが...
【個人評価:★★☆ (2.5P)】 (劇場鑑賞)
原作:東野圭吾 原作発表から20年ぶりの映画化
2015-11-12 03:28 :
cinema-days 映画な日々
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2015年日本映画 監督・堤幸彦
ネタバレあり
2016-06-26 10:18 :
プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
東野圭吾さん原作のテクノロジー・サスペンスです。想像以上に面白い作品でした。サス
2016-07-10 17:14 :
はらやんの映画徒然草
原作は、ベストセラー作家の東野圭吾が1995年に発表した同名小説だったのですね。堤幸彦監督が映像化。豪華キャスティングです。なるほど。だから、時代設定が、1900年代で、ラストをあのようにしたのですね。と納得したのでした。(ふと「20世紀少年」に、独自の展開とラストにした件を彷彿)「原作はヨカッタのに…」と、かなり賛否両論あったみたいですが、私は、なかなかに楽しめました。本当に、映画のラスト...
2016-08-24 09:27 :
のほほん便り
"天空の蜂"
[天空の蜂]
「東野圭吾」作品を映像化した『天空の蜂』を観ました。
-----story-------------
絶対、守り抜く――
人気作家「東野圭吾」が1995年に発表した同名ベストセラーを『20世紀少年』 『SPEC』シリーズの「堤幸彦監督」が映画化したサスペンス・アクション大作。
最新鋭の巨大ヘリコプターを乗っ取り、原子力発電所の上空でホバリン...
2019-09-11 21:15 :
じゅうのblog