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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

心を描き、心を映す~『真珠の耳飾りの少女』

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 1665年オランダ、デルフト。タイル職人の娘グリート(スカーレット・ヨハンソン)
は、病を得た父の代わりに家を出、画家ヨハネス・フェルメール(コリン・ファース)
家に雇われる。忙しい労働の合間の僅かな時間、フェルメールの芸術に触れたグリ
ートは、やがて彼にインスピレーションを与え、使用人以上の存在となってゆく・・。
日本でも人気の高いフェルメールの名画『真珠の耳飾りの少女』(または『青いターバン
の少女』)の誕生の秘密を描き、圧倒的な映像美で観るものを官能の世界へと誘う秀作

 天才画家フェルメールを演じたコリン・ファースと、彼と心を通わせる少女、グリ
ートを演じたスカーレット・ヨハンソンが見事。僅かに触れる指先や、色や光を共有
することで、二人の精神的な昂ぶりを表現している。グリートを見つめるフェルメ
ールの眼差しは溜め息もの。スカーレット・ヨハンソンも、無垢で清楚な少女であり
ながら、フェルメールとの出会いによって内に秘めた情熱や恋心を開いてゆくさま
には感嘆させられる。彼女が若手ナンバーワン女優だと評される所以がわかる。

★以下、内容に触れています★

 グリートの鋭い感覚は、映画のオープニングから観るものに提示される。リズミ
カルに刻んだ野菜を、バランスよく皿に並べる仕草。肉の鮮度をかぎ分ける嗅覚、
ただ与えられた仕事をこなすだけでなく、「窓を拭く」という行為は画家にとって「光を
変える」行為に等しいということを理解している。そしてフェルメールの妻の母、一家
の家計を取り仕切り、パトロンとの交渉も受け持つマーリアも、グリートの感覚を
見抜いていた。そしてもうひとり、精肉店の息子ピーター(キリアン・マーフィー)も。

 彼はグリートの聡明さに惹かれながら、彼女の心には届かないことを悟っている
かのようだ。「彼(フェルメール)に近付き過ぎないで」という言葉、「一緒に暮らそう」
というプロポーズに肯かないグリート。彼女にとってピーターとの逢瀬は、フェル
メールとの代償行為に過ぎない。
意識しているのか、無意識なのか。台詞は最小限
に、微妙な表情と仕草でのみ描き出される官能的な世界に釘付けになる。 

 デルフトの街並みや運河、人々の暮らしぶりは17世紀にタイムスリップしたかの
ように完璧に再現されている。そして光と影を絶妙に配した映像が素晴らしい。
「まるで絵画のような」という言葉があるが、まさしく絵画のような、いや絵画以上に
美しい映画
だったと言えるかもしれない。

20070207110424.jpg20070207110437.jpg

『真珠の耳飾りの少女』監督:ピーター・ウェーバー/主演:コリン・ファース、
       スカーレット・ヨハンソン
/2003・イギリス、ルクセンブルグ)
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テーマ : 心に残る映画
ジャンル : 映画

2007-02-07 : BD/DVD/WOWOW/Streaming : コメント : 22 : トラックバック : 5
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真珠の耳飾りの少女
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レンタルで鑑賞―【story】17世紀オランダの天才画家フェルメールの肖像画をモチーフにした、トレイシー・シュバリエのベストセラー小説を映画化―1665年オランダ、デルフト。失明した父の代わりに家計を支えるため、画家フェルメール(コリン・ファース)の家で使用人と
2007-12-05 08:13 : ★YUKAの気ままな有閑日記★
真珠の耳飾りの少女       GIRL WITH A PEARL EARRINGS
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2008-10-29 01:47 : 姫のお楽しみ袋 
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非公開コメント

こんにちは。
美しい作品でしたね。
まさに絵が動き出したかのような映像。
17世紀のオランダ当時の生活様式も見応え
ありましたよね。。
これ・・原作も読んだのですがこちらもよかったですよ。↑の真紅さんの画像を観ながら
ヨハンソンの唇はやっぱり官能的だわ・・としみじみ。
2007-02-07 16:21 : みみこ URL : 編集
みみこさま、こんにちは~。コメントありがとうございます。
この映画、すっごく好みでした。。もう、うっとり。
原作も読まれたのですね、さすがです!
フィクションなのに、「あの絵はこうやって描かれたのか・・」と思い込んでしまいそうなほどリアルでした。
スカーレット、撮影当時はまだ17歳くらいですよね。すごい演技でした。
私、唇が薄いので、彼女のぽってり唇がうらやましいです(泣)
ではでは、また遊びにいらして下さいませ~。
2007-02-07 21:29 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、こんばんは。
私もこの作品大好きです!
美しい映像世界に浸りきって、しばらく戻ってこれなかったような・・。
スカーレット・ヨハンソンの存在感と繊細な表現力に圧倒されました。
それまでマーク・ダーシーのイメージしかなかったコリン・ファースにも、あの眼差しでやられましたー(笑)
あ~、またものすごく見たくなりました!!
やっぱりDVD買おうかな・・・。
ではでは~。
2007-02-08 00:30 : ルカ URL : 編集
ルカさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
私もこれずっと観逃していて、やっと観られたのはいいのですが、ボ~っとしてあまり長い記事が書けず、「画像で誤魔化す」という禁じ手に走ってしまいました(笑)
本当に、これはまさしく芸術作品でしたね!
DVD、持ってて損はないですよ、と、悪魔のささやき、フフフフフ・・・。
ではでは、また遊びにいらして下さいね♪
2007-02-08 00:39 : 真紅 URL : 編集
こんばんは。
あまりに好きすぎて、困ってしまう作品です。
はじめは、とにかくフェルメールのまなざしを見つめるだけで、どきどき、どきどき・・・・だったのだけれど、
ピーターのもとへ走らずにはいられなかった彼女の気持ちにシンクロしたり、
決して振り向かない彼女を見つめるピーターになったりして、
その度に、深いため息をついて終わります。

お話はシンプルなんだけど、キャストも凄くて
(まさかこの時は彼があんなに可愛くなると想わなかったし)
何度見直しても、つい、観てしまうの。

Mr.ダーシーでも、マークでもないコリンと、
デミアンでもキトゥンでもないキリアンと、
どっちにも愛されたいわぁ。。。。あはは・・・
壊れそうだわ・・・
2007-02-08 00:56 : 悠雅 URL : 編集
悠雅さま、こんにちは。コメントありがとうございます。
この作品、絶対「悠雅さま的ベスト」に入りそうですよね。だってコリン・ファースだもの、キリアンだもの~~!!
私も観たい観たいと思いつつ、やっと観たらもうドップリでした。
本当に、キャストも豪華ですよね。トム・ウィルキンソンもはまってた~。
う~ん、私もどっちにも愛されたい!この映画のキリアン、珍しくクセのない役柄ですよね。
(デミアンはクセがあるとは言いませんが)
オランダに激しく行きたくなりました。
ではでは、また伺いますね!
2007-02-08 14:15 : 真紅 URL : 編集
官能的でいて美しい作品
本当に素敵な作品ですよね!!
何度観ても同じように心が波立ちます。
コリン・ファースとスカーレット・ヨハンソン、そして今ならハッとするキリアン・マーフィー。。。
どの役も見事でした!!

今日はTB成功しました♪
2007-02-08 21:43 : D URL : 編集
こんにちは!
大好きな作品の一つなので、思わず反応しちゃいました!
映画の中で流れる空気、そして雰囲気が思いっきり私のツボに入り、
観た後は余韻にずっと浸っていたのを覚えています。
そしてこの映画から、フェルメール大好きになり、いろいろ忘れられない作品です。
2007-02-08 23:33 : raum18 URL : 編集
Dさま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます。
今まで未見だったのですが・・。本当に素晴らしかったです。
映画館で観ていたら、日常に戻るのに時間がかかったと思います。
キリアン、普通の男の子の役ですがやはりキラリと光っておりました!
また伺いますね、ではでは!
2007-02-09 11:00 : 真紅 URL : 編集
raum18さま、こんにちは。反応して下さりありがとうございます!
そう、私もツボでした!あの雰囲気、空気感。
まるでタイムスリップしたかのように17世紀が完璧に再現されておりましたよね。
フェルメールいいですね・・。オランダ、いつかは訪れてみたいです。
憧れの国なんですよ~、ブルーナさんも大好きだし。。
ではでは、また遊びにいらして下さいね!
2007-02-09 11:04 : 真紅 URL : 編集
こんばんは、またお邪魔します。
いやあ、何に1番驚いたかっていうとコリン・ファースの色気です!
私、今までコリンに色気を感じた事なかったので、、、(変でしょうか?)これまでは人畜無害の人という印象しかなかったのに、初登場シーンから「うわあ~!な、何これ~?!」という感じで、自分自身に驚きました。グリートにからむシーンはスカーレットに替わりた~い!と思いましたよ、本当に(笑)。
軽い気持ちで観はじめたのですが、台詞(字幕)1つも見洩らすまいと真剣に観てしまいました。
画家とモデルの関係、きわどいですね。奥さんの気持ちもわかるなあ。
アトリエに続く廊下、絵の具の色を作る、、、ピアスの痛み、嫉妬、、、とても丁寧に、まさしく絵画のように作られた映画でしたね。
キリアン目当てに観たんですが、心に残る映画になりました。
2007-02-16 21:32 : kママ URL : 編集
kママさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
おお、コリンの魅力に開眼なさいましたか!(人畜無害には爆笑です)
私はあの奥様が増田明美さんに見えてしまったので、スカーレットと増田明美じゃね・・とか思ってしまいました(違う?)
私も観ながら、完璧グリートになりきってましたよ(笑)。いや、観た後しばらくケープかぶってましたね(嘘、うそ)
とても個人的な映画ですね。個人的、というか、誰にも見せたくない、というか。。
ホント、心に残る映画です。また遊びにいらして下さいね!ではでは。
2007-02-16 21:52 : 真紅 URL : 編集
こんにちは、はじめまして。
私もこの映画大好きです。
一番気に入っているシーンは、グリートがフェルメールとカメラをのぞくシーンですね。コリン・ファースのファンでもあるのですが、フェルメールがコート(ローブ?)を脱ぐじゃないですか。私は、コートを脱いだその一瞬にドキリとしました。恐るべし!コリンの色気!!

確かにこの映画はほかの人に見せたくないです。自分の中にしまっておきたい。同感です。
2007-02-18 14:09 : すずの娘 URL : 編集
すずの娘さま、初めまして!拙ブログへようこそ。コメントありがとうございます。
コリン・ファースお好きなのですね。私もマーク・ダーシィから大好きになりました。
それまでは気になる俳優さんじゃなかったのですが。
一番好きなシーン、私は・・。決められません(笑)
本当に、心にしまって時々一人で取り出し眺めたくなる、そんな映画ですよね。
また是非遊びにいらして下さいね。お待ちしております。ではでは。
2007-02-18 17:01 : 真紅 URL : 編集
真紅さま こんにちわ 
これはとてもお気に入りの作品です。
真紅さまのおっしゃるとおり,冒頭のお野菜の色や質感から,引きつけられました。
とても格調高いのに,、官能的でありましたね。この映画のヨハンソンの美しいことといったらため息ものでした。
2007-09-13 14:51 : なな URL : 編集
ななさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
とても美しい映画でしたね。この映画についてお話するの、なんだか恥ずかしい気がするんです。
物凄く官能的で、うっとりしている自分が恥ずかしいような。。
スカ嬢、とっても美しかった!撮影当時17歳とは驚きです。
後ほどお伺いしますね、ではでは~。
2007-09-13 17:24 : 真紅 URL : 編集
こんにちは!
先日DVDで鑑賞しました。
芸術的に美しい映画でしたね~
お話としては地味ですが、フェルメールとグリートの間に漂う空気にドキドキしました。
ヨハンソンは綺麗でしたね。
青いターバンをしてポーズをとる姿に吸い込まれそうになりました。
2007-12-05 08:22 : 由香 URL : 編集
由香さま、こんにちは~。コメント&TBをありがとうございます。
これ、本当に芸術的というか、絵画のような映画ですよね。
ヨハンソンが17歳とは思えないほど官能的で・・。もう、ドキドキでございました。
来年は大掛かりなフェルメール展も行われるとか・・東京だけかな?
一度フェルメールの画をこの目で見てみたいです。
ではでは、後ほどお伺いします~。
2007-12-05 09:13 : 真紅 URL : 編集
真紅さま
ヤット今頃鑑賞いたしました。そうですね、最初の野菜を切るシーンから全編映像美の作品でした。男女の愛と芸術は何処まで行っても割り算では片付きませんね。もう少しストーリーにメリハリを…望むのはわたしだけでしょうか。 TBさせて下さいね。
2008-01-31 21:56 : Maria URL : 編集
Mariaさま、こんにちは。コメント&TBをありがとうございます。
この映画は、映像だけで大満足な作品でした。
ストーリー的には、確かにメリハリはありませんでしたね。
一枚の絵から、これだけの創作ができる。芸術とは素晴らしい~です。
ではでは、後ほどお伺いします~。
2008-02-01 14:22 : 真紅 URL : 編集
本当!ひょっとしたら絵画以上の美しさだったかも!
ってぐらいスカちゃんおキレイでした!
地味なコスチュームに映える瑞々しい美しさを
堪能しました♪
1枚の絵画に思いを馳せ、
これだけのお話を想像出来るのだから、
芸術って奥深いですよね~。
静かな官能芸術、素晴らしかったです♪
2008-10-28 20:03 : miyu URL : 編集
miyuさま、こんにちは!コメントとTBをありがとうございます。
スカ嬢、この映画の撮影当時17歳くらいだったんじゃないかな~?
驚くべき美しさと演技力ですよね!
フェルメールの絵画って実物を見たことはないのですが、魅せられる方が多いのですよね。
せめて映画は、劇場で観たかったな~と思った作品でした!
ではでは、後ほどお伺いします~。
2008-10-28 20:23 : 真紅 URL : 編集
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