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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66

連帯/橋をかける~『パレードへようこそ』

パレードへようこそ




 PRIDE


 1984年、サッチャー政権下のロンドン。二十歳の誕生日を迎えたジョー(ジョ
ージ・マッケイ)
は生まれて初めてゲイ・プライドに参加し、そこでマーク(ベン・
シュネッツァー)
マイク(ジョセフ・ギルガン )と出逢う。彼等は、ストで疲弊す
炭鉱労働者を支援しようと、募金活動 (LGSM = Lesbians and Gays
Support the Miners)
を始めようとしていた。

 MinersMinorの複数形だと勘違いしていることに、映画の中盤辺りで気
付いた。炭鉱労働者とマイノリティの発音が似ているのは、ただの偶然とはい
え何かの符丁のようにも思える。

 同性愛者たちが、政府と警察に抑圧されている同志として炭鉱労働者を支
援し、大きなうねりとなって世界を動かした、驚くべき実話の映画化。ノー・ス
ター(ビル・ナイやイメルダ・スタウントンは、役者ではあるがスターではない)
小品ではあるものの、どんな大作にも負けないインパクトと感動をもたらす。
この映画がくれた笑いと、涙、涙、涙の余韻が消えることはないだろう、私が
生きている限り。80年代の懐メロ(I miss disco!)も満載、素晴らしい作品
でした。今年のベスト作の一本。

パレードへようこそ2

 サッチャー政権に抗う炭鉱労働者たちの物語は、様々な映画で繰り返し語
られて来ている。しかしまだ知られていない、こんな逸話があったとは。イング
ランドとウェールズの間にかかる大きな吊り橋
を、主人公たちがミニバスで渡
るシーン。空撮からの美しく壮大な情景は、異なる来歴の人々を繋ぐ象徴とし
て、深い印象を残す。

 登場人物全てが主人公と言える群像劇であり、それぞれがとっても魅力的
に描かれている。ロンドンのクィアたちも、ウェールズの小さな村の人々も。
特に同性として、古今東西、図々しくても憎めない姦しい女たちの生態は変わ
らないな、と大笑い。おばさん最強

 個人的には、日本の岡田将生のようなウブなジョー(ジョージ・マッケイ)
魅了され、彼を目で追ってしまった。チャリティライブの後、朝焼けの中を彼
が家路につくシーンが最高。初めての朝帰り、世界が変わったと感じながら
歩く彼の成長とともにこの映画はあり、避けては通れないエイズ禍を描きな
がらも、ラストシーンでは爽やかな希望に満たされる。それは、彼らが皆、
一杯生きている
から。ゲイの詩人の会のパレードに恐る恐る参加する、クロ
ーゼット
だったクリフ(ビル・ナイ)も愛おしい。

パレードへようこそ3

 ストレイトも、ゲイもレズビアンも、そしてまだどちらか決めかねている人も、
誰もが生き易い世界が本当に実現すればいいな。そしてこの映画は、自由
や権利は予め与えられるものではなく、自らの手で勝ち取るもの
なのだと改
めて教えてくれる。英国映画万歳!

 ( 『パレードへようこそ』 監督:マシュー・ウォーチャス/2014・英、仏/
     主演:ビル・ナイ、イメルダ・スタウントン、ジョージ・マッケイ、パディ・コンシダイン
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ジャンル : 映画

2015-05-19 : 映画 : コメント : 6 : トラックバック : 9
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映画・パレードへようこそ
原題 PRIDE2014年 イギリス 実話に基づいています 1980年代イギリス鉄の女と呼ばれたサッチャー政権下20か所にも及ぶ炭坑閉鎖案に抗議するストライキが4か月めに入ろうとしていましたロンドンに暮らすマーク(ベン・シュネッツァー)はその様子をテレビニュー...
2015-05-19 08:30 : 読書と映画とガーデニング
「パレードへようこそ」
「Pride」2014 UK/フランス 1984年、サッチャー政権下の英国。時の石炭庁総裁は採算のとれない20ヵ所の炭坑の閉鎖を決定する。やがて炭鉱労働者はそれに抗議するためストライキに突入する。そんな中、特にウェールズの炭坑労働者は不況に苦しんでいた。ある日、TVニュースでそれを知ったロンドン在住のゲイの青年マークは彼らを支援しようと立ち上がる… マークにベン・シュネッツァ...
2015-05-19 15:20 : ヨーロッパ映画を観よう!
パレードへようこそ
映画館で観ました。1984年 サッチャー政権下のイギリスで炭鉱閉鎖計画に反対しストライキを起こした炭鉱労働者。権力に虐げられ困窮する彼らを助けるため支援の会を立ち上げた同性愛者グループと炭鉱町の人々との友情を実話をベースに描いたお話です。評判がいいみたいな...
2015-05-19 17:16 : はるみのひとり言
『パレードへようこそ』
1984年、サッチャー政権下のイギリスは不況に苛まれていた。サッチャー首相は20ヶ所の炭坑の閉鎖案を発表するが、炭坑労働者たちはこれに反発。抗議のストライキは4ヶ月目に入ろうとし、炭鉱労働者とその家族たちは生活が困窮していた。ロンドンに住むマーク(ベン・シュネ...
2015-05-19 23:25 : beatitude
パレードへようこそ・・・・・評価額1650円
連帯よ、永遠に。 サッチャー政権下のイギリスで、政府と対立するウェールズの炭鉱労働者のストを、同性愛者のコミュニティが支援した実話ベースの作品。 強固な鎖も、バラバラでは無意味。 信念を持った一人ひとりが、寛容と共感によって絆を結ぶ時、やがてそれは社会を動かす大きな力となってゆく。 題材はへヴィーだが、英国映画らしいシニカルなユーモアを隠し味に、軽妙な語り口で紡がれる物語に説教く...
2015-05-20 22:42 : ノラネコの呑んで観るシネマ
パレードへようこそ
1980年代のイギリスで、炭鉱労働者の支援のためにゲイの団体が募金活動をしたという 実話をもとに描いたハートフルなドラマです。 大好きな映画「リトル・ダンサー」と同じ時代の物語だなあと気になっていました。 強い差別の中にいたゲイたちと炭鉱労働者という両極端な人たちが友情で結ばれていく展開に 胸が熱くなるような作品でした。
2015-05-31 22:28 : とりあえず、コメントです
パレードヘようこそ
鑑賞から時間が経ち過ぎてしまったが今年のベスト10に入るのは確実な一本。今更ながらだが必見ですぞ。この世の中から差別と偏見がなくなることはないと思う。1980年代であれば少数派への風当たりは今の比ではなかったはず。弱者としての立場を嘆いたり憤ったりするだけではなく、同じように戦っている炭鉱労働者たちを支援するという彼らの発想とその心の豊かさが愛しくて愛しくて。支援はありがたいけれどもゲイたち...
2015-06-10 16:54 : 龍眼日記 Longan Diary
パレードへようこそ
【概略】 スト中の炭坑労働者とその家族を支援するため、ゲイ&レズビアンの仲間たちと募金活動を始めたゲイの青年・マーク。だが、思わぬ困難の数々が待ち受けていた。 ドラマ LGBTが炭坑夫を救う!?境遇の違いを乗り越えた友情は、やがてサッチャー政権を揺るがす伝説のパレードとなった―。 サッチャー政権下の英国で起こった実話を映画化! ロンドンに住むゲイの青年マークは、...
2015-09-29 08:32 : いやいやえん
映画評「パレードへようこそ」
☆☆☆(6点/10点満点中) 2014年イギリス映画 監督マシュー・ウォーチャス ネタバレあり
2016-04-13 09:47 : プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
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>今年のベスト作の一本

おおっ!見てくれたことだけでも嬉しかったのに、真紅さんが気に入ってくれてて本当に嬉しいわー!
みんなの小さな力を少しづつ集めて、大きな声になっていく姿が、ラストの感動を何倍にもするんですよね。
おばさんたちの強さも大好き。
2015-05-22 14:39 : とらねこ URL : 編集
とらねこさん、こんにちは~。コメントありがとうございます。
これ、とらねこさんチで記事探したけどなかったよね?
ホントにいい映画だったな~。
私も、あのあばさんたちみたいに強くなりたいと思う今日この頃です。
がんばって生きるぞー!って。
2015-05-24 08:52 : 真紅 URL : 編集
こんばんはこんばんは☆
真紅さん、こんばんは♪
この映画、最高ですね。ほんと、映画万歳!!って久々に拍手喝采でした。幸せ幸せ~。
出てくる老若男女ひとりひとりが、ほんと主人公でしたねぇ。(余韻が戻ってきましたぁ)
いい映画だったぁ~

24日は『Mommy/マミー』をご覧になられたんですね。(真紅さんの、感動のレビューでございました)
いつまで上映かチェックしとかなくちゃ。
しんどくても、やっぱり映画は見なあかんなと思った1日でした。
2015-05-26 22:17 : 武田 URL : 編集
武田さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
お久しぶりですね^^

こういう映画を観ると、心底幸せを感じますね。
地味な作品を公開してくれる配給さん、劇場には本当に感謝しています。
映画館に足を運ぶことで恩返しになっていればいいのですが。

24日は、『イマジン』を観たんです。
『Mommy/マミー』は、少し前に心斎橋で観ました。
感想アップするのが遅いので。。。
『イマジン』も素晴らしかったです、武田さんに観ていただきたいわ~。
またリーブルですれ違いましょうね^^
2015-05-27 12:56 : 真紅 URL : 編集
遅ればせながら感想書きました。(笑)
真紅さん、こんにちは。
ちょっとだけご無沙汰していましたー。
これね、本当に良い作品でしたね。
私も今年のベスト作の1本となりました。(すでに決定)
おっしゃるとおりスター不在でありながらキャスト陣もストーリーも団結のパワーを見せてくれました。
ちょい枯れたビル・ナイも良かった。
それにしてもやっぱり心に垣根のないおばちゃんたちがサイコーでした。
2015-06-10 16:52 : sabunori URL : 編集
sabunoriさん、こんにちは~。コメント&TBありがとうございます。
ほんと、ご無沙汰です^^;
最近、なかなか観たい映画を観ることができず・・・。
昨日やっと『国際市場』観ました。間に合った~。
また記事アップできたらお邪魔しますね。

で、この映画ですがもしかしたら私もベストワンにしてしまうかもです、年間。
よくぞ公開してくれた!って感じですよね。
私、あの炭鉱おばちゃん軍団に混ざっても、全く違和感なさそうです(笑)。
ビル・ナイ、、、、大好きです。理想の英国紳士だわ~(惚)。
後ほどお伺いしますね~。
2015-06-11 10:39 : 真紅 URL : 編集
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