私写真の系譜4/自分だけの神様~『たまきはる』
たまきはる

 前夫・坪内祐三への思いを引きずりながらも、「末井さんと生きていこう」 と
結ばれた前作 たまもの から12年難産の末、やっとの思いで産み落とさ
れた、神蔵美子による私写真集/私小説聖書をひも解きながら 「神」 につ
いて、夫婦について、愛と死について、時にはに苛まれながら、著者が考え
続けた記録「たまきはる」 とは 「魂極る(霊剋る)」 の意

 あかあかと一本の道とほりたりたまきはる我が命なりけり (斎藤茂吉)

 前作 『たまもの』 と同様かそれ以上に、著者の思考は過去へ、過去へと遡
る。著者が関わった超個性的な面々、特に寺山修司との関係には衝撃を受け
た。一番大きな出来事は、最愛の父の死映画を 「シャシン」 と呼ぶ技師だっ
た父に著者は愛され、多大な影響を受けたのだろう。「父の娘」 であるという決
してぶれないが根底にあるから、彼女は 「愛の嵐」 の混沌の最中でも、鬱
の闇の中でも表現を模索する
。奔放で我がままで、好き勝手に生きているよう
に見える著者を支えているのは、ただ無条件に愛された記憶

 愛の入り口では、誰もが 「自分だけの神様」 を探す。彷徨い続けた著者は
最後に 「父の愛」 に回帰し、与えられた愛の大きさを思う。そして読み終わっ
た私は改めて、著者の夫・末井昭という人に、思いを馳せずにはいられない。

 表紙を飾りながら、どこか存在感の薄い登場人物としての 「スエイ」名著 
自殺 の著者であり、毎日欠かさず、「戦争反対」 とツィートし続ける末井
さん
。彼こそが、神が著者に与えた 「たまもの」 なのだと。

 ( 『たまきはる』 神蔵美子・著/2015・リトルモア)
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【2015/04/02 00:00】 | 読書 | トラックバック(0) | コメント(0)
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