待ち人~『妻への家路』
妻への家路




 歸来

 COMING HOME



 文化大革命時、右派分子として捉えられた夫、陸焉識ルー・イエンシー(チェ
ン・ダオミン)
脱走したと知らされた馮婉玉フォン・ワンイー(コン・リー)は、
党の監視を振り切って夫と落ち合おうとしていた。しかし、バレエに打ち込む
二人の娘丹丹タンタンは、舞台の主役の座を得ようと両親を党に密告、馮婉
玉は怪我を負い、陸焉識は再び捉えられる。

 チャン・イーモウ再びコン・リーとタッグを組んだ感動作、と聞いて気にな
っていた本作。冒頭、群舞の練習に熱中する少女たちを観て 「うわ、チャン・
イーモウ節爆発!」
 と思ってしまった。すみません。

妻への家路2

 夫の顔が認識できず、時間の概念も失い、ただただ待ち続ける馮婉玉は 「心
因性記憶障害」 
だと説明されていたが、若年性アルツハイマーではないのだろ
うか? 音楽も、古い写真も、彼女の記憶を呼び覚ますことはできない。月日だ
けがいたずらに流れる中、「手紙を読む人」 として妻の傍らに居続ける夫知識
層のダンディな物腰
を感じさせる、チェン・ダオミンが素敵過ぎる。

 20年という歳月は、かくも残酷なもの。夫の顔は忘れても、娘のしたことは許
せず、決して忘れない
馮婉玉を観ていると、人間の感情の中で 「怒り」 が一番
強いのだろうか、などと考えてしまう。

 こういう映画を観る度に、「文化大革命とは何だったのか?」 という思いが、
私の中で大きくなってゆく。家族を引き裂き、文化と文明を破壊し、あの出来事
は一体、誰を幸せにしたのだろう?

 そんな思いが頭の中をぐるぐると渦巻いてしまい、ラストシーンに至るまで、
涙は流れなかった。 

妻への家路3

 かつてのアジアの華、匂い立つ大輪の花のように美しかったコン・リーが、お
ばあさんの姿でスクリーンに立つ。彼女は、チャン・イーモウという人を信頼
ているのだな、と思う。

 ( 『妻への家路』 監督:張藝謀チャン・イーモウ
          主演:陳道明チェン・ダオミン、鞏俐コン・リー/2014・中国)
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[2015/03/24 19:55] | 映画 | トラックバック(13) | コメント(4) |
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コメント
真紅さん、こんばんは。
私も彼女はアルツハイマーでは?と思いました。
彼女がバレエで主役を得られなかった娘に向ってつぶやく「兵士もいいものよ」という言葉はまるで自分に言い聞かせるかのようで・・・。
おっしゃる通り怒りというのは人間の感情の中で最も強いものなのかもしれませんねー。
ノーブルな香りただようチェン・ダオミン、ステキ過ぎでしたね。
[2015/03/25 22:18] URL | sabunori #JalddpaA [ 編集 ]
sabunoriさん、こんにちは! コメント&TBありがとうございます。
そうなんです、この映画スピルバーグも感動したとか絶賛評が目についてね。。
でも、私は「思っていた通り」の、そのまんまの映画だと感じ、ちょっとイマイチ感動に至りませんでした。
チェン・ダオミンってこんなに素敵な人だったっけ、、と思いました。
私はあまり知的な人に惹かれないんですが(バカっぽい人のほうが好きなんですよね)、このチェン・ダオミンには目がハートでしたね(笑)。
[2015/03/26 15:36] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
真紅さん、こんにちは^^
ブログ再開されていて、嬉しいわ。
あまり頑張り過ぎないように、プライベートや仕事やブログ、がんばってね。

>少女たちを観て 「うわ、チャン・イーモウ節爆発!」
私も思った! 好きだよねー。
でも、意志の強い気の強い女性も好きなのかな。

コン・リー、今やハリウッド映画にも出る人になったよね。
[2015/12/13 19:25] URL | latifa #SFo5/nok [ 編集 ]
latifaさん、こんにちは^^。コメント&TBありがとうございます。
そう、なんとか復活したよ。。今年のうちに、今年観た映画はアップしたいわ。
ベストも決めたいし。。まぁ、もう一位は洋画も邦画も決まっているけど^^
お気遣いありがとうね、頑張ります~♪

チャン・イーモウって、基本ロリ●ンなんじゃないかと思ってるんだよね。
コン・リーと付き合っていたくらいだから、美人で気が強い人、好きと思うよー。
最近中華電影情報はあまりチェックしてないんだけど、コン・リー姐さんの映画また観たいわ。
[2015/12/14 10:36] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪

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