ゴーストペインター~『ビッグ・アイズ』
ビッグアイズ





 BIG EYES


 1958年。専業主婦のマーガレット(エイミー・アダムス)は横暴な夫の下から
逃げ出し、一人娘ジェーンサンフランシスコで暮らし始める。似顔絵描き
始めたマーガレットは、ウォルター・キーン(クリストフ・ヴァルツ)という画家と
出逢い、結婚するのだが・・・。

 1960年代のアメリカで、アンディ・ウォーホールもその才能を認めていた画家、
キーン。しかしその画の全ては、脚光を浴び一躍時の人となった夫・ウォルター
ではなく、内気で口下手な妻・マーガレットが描いたものだった、、、という、なん
ともゴシップ的にタイムリー(一年遅れではありますが)な実話に基づく作品。
サムラゴーチなスキャンダルって、万国共通なのですね。監督は、自らもキーン
の画に影響されたというティム・バートン。ファンタジックな世界に、哀愁漂う彼
の作風は少し抑え気味に、マーガレットの苦悩と葛藤がリアルに描かれる。
くよかったです、オススメ!


ビッグアイズ2

 そのビッグ・アイズ悩めるアーティストを好演したエイミー・アダムスがゴー
ルデン・グローブ賞主演女優賞
を受賞しているけれど、やはりクリストフ・ヴァ
ルツ
、この人は本当に凄い! 悪魔的な怪演ぶりで場をさらう。脇役を演じさ
せたらこの人の右に出る俳優、いないんじゃないでしょうか。日本で言うと香川
照之ポジション
かな。顔芸(笑)。

 才能はあるのに自分に自信が持てず、横暴で嘘つきな夫・ウォルターの言い
なりになってしまうマーガレット
。自分一人で娘を育てられるのか、経済的な不
が拭えない彼女は、夫の支配から逃れられない。これは1960年代の実話だ
けれど、21世紀の今も、夫婦の実情ってあまり変わっていないと思う。ゴシップ
的にモラル・ハラスメントという言葉が注目された昨今、そういう意味でもタイム
リーな作品。

 この映画で学んだことは、弱い者が悪いのではなく、弱い者を利用し、傷つけ
る方が悪いのだ
、ということ。当たり前じゃないか、と思われるかもしれないけれ
ど、弱い者は自分の弱さを責めてしまうのです。こうなったのは全て私が悪いの
だ、私に経済力がないせいだ、母親失格だ、、、と。しかし、悪いのは弱さではな
く運なのだ
と、声を大にして言いたい。逆に、ウォルターだって悪気はないのだろ
う、彼は生まれつきの嘘つきで、狡猾でずる賢いだけなのだ。そしてそういう人間
は、悪いことをしたという自覚がない分、始末に悪い。

ビッグアイズ3

 裁判を起こし、勝訴したマーガレットが、90歳近い今も毎日画を描いている
んて本当に素敵。彼女のことも、彼女の画のことも知らなかった私だけれど、な
んだか勇気をもらった気分。2月から始まる 「ティム・バートンの世界展@大阪」
楽しみです。

 ( 『ビッグ・アイズ』 監督・製作:ティム・バートン
      主演:エイミー・アダムス、クリストフ・ヴァルツ/2014・米、加)
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テーマ:★おすすめ映画★ - ジャンル:映画

【2015/02/02 18:30】 | 映画 | トラックバック(23) | コメント(4)
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コメント
お久しぶりです 時々例によってチラ見はさせて戴いていますよ^^;
この映画良かったのですね
いつか見てみたいな
この映画のタイトル画を初めて見た時
私のところにいる susie sad eyes というお人形にソックリでチョット驚きましたが
やはりこの絵が susie sad eyes、susie slicker の生みの親だと知り納得しました
その後 Blythe なども後に続いた訳ですね
タイトル画の女の子の大きな瞳から溢れる涙は
マーガレットの心だったのでしょうか?
観るチャンスが訪れたら 目を大きく見開いて鑑賞したいと思います-笑
【2015/02/03 21:24】 URL | Maria #3m4C9JA6[ 編集]
Mariaさん、こんにちは。お久しぶりですね^^
コメントありがとうございます。

はい、この映画私は好きですし、とても面白く観ました。
しかし映画ブロガーさんには評判はさほど芳しくはないようです。
映画は観る人それぞれの立ち位置で感想も変わってきますから・・・。
私はモラル・ハラスメントについて考えさせられることが多く、この映画で一つの解を得たかもしれません。
少なくとも、私にはとても有意義な映画体験でした。
さて、Mariaさんはいかがでしょうか?
大きな目のお人形がお好きでしたら、楽しめるのではないかと思いますよ。
【2015/02/03 21:53】 URL | 真紅 #V5.g6cOI[ 編集]
こんばんは。
この映画、とても面白かったです。
最近読んだ本に出てくる症例にあまりに合致していたので驚きました。
まさに、モラル・ハラスメント、「良心のない人」です。
>弱い者は自分の弱さを責めてしまうのです
そうなんですよね。この手の人からは速やかに距離を置き、フェイドアウトするしかないようです。

【2015/02/11 01:19】 URL | ryoko #0Bwc2Pw6[ 編集]
ryokoさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
私もモラハラ関連の本はいくつか読んでいるので、映画を観ながら「まさにモラハラ!」と思いました。
でも、モラハラに関心のない(と思われる)ブロガーさんのこの映画に対する評価は概ね低いですね。
本を読んだり、実際にこういう目に遭ったりしないと理解できないのでしょうね・・・。
しかし、ホントにいるんですよね、こういう人。
簡単に逃げられるといいのですが、それが難しいのがまた、モラハラの特徴でもあると思います。
【2015/02/11 23:12】 URL | 真紅 #V5.g6cOI[ 編集]
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