Hungry,Angry~『百円の恋』

32歳実家暮らし、無職。部屋に籠ってゲーム三昧、深夜に百円ショップで買い
物。自堕落な生活を続けていた齊藤一子(安藤サクラ)は、ある日息子を連れて
出戻った妹と取っ組み合いの大喧嘩となり、アパートで一人暮らしを始める。
共演の新井浩文が 「安藤サクラが凄い!」 と手放しの大絶賛。パイセンが
そこまで言うなら、、と、観て来ました。確かに、確かに凄い。ヒラリー・スワンク
がアカデミー賞獲れるなら、安藤サクラも余裕で獲れるよ! もう若くないダメ
な女が、殴り合った後に肩を抱き合う、そんな矛盾に憧れて走り出す。彼女の
「本気」 がスクリーンの向こうに見えた瞬間、胸が熱くなって涙が溢れる。
期待に違わぬ作品だった。

それにしても安藤サクラですよ・・・。彼女の作品はいくつか観てはいるが、
たとえ主役であっても、綺麗どころの役は記憶にない。ほとんど化粧っ気も
なく(少なくともそう見える)、裸体を晒し、感情をむき出しにしている。「女優」
という職業のイメージとは、一番遠い場所にいる役者だと感じるのだ。
彼女の中に 「綺麗に撮ってほしい」 という欲望はないのだろうな。ただ、
「(役を)演じたい」 という願望だけがあって、そのためなら 「ブス!」 と
罵倒されようが血が出るまで殴られようが、何だってできるのだろう。髪を
切るなんて朝飯前。ケチャップだって頭からかぶります。そうして、「日本一
の映画女優」 が誕生した。安藤サクラが安藤サクラである限り、私は彼女
を支持する。

そして正直に言うと、私はこの 『百円の恋』 というタイトルが好きではな
い。確かに一子が惚れるのは、しょーもない、百円くらいのやっすい男・狩野
(新井浩文)ではあるけれども、この作品は恋愛映画ではない。男と同じか、
それ以下にやっすい女が、意味も訳もなく闇雲に自分自身と対峙し、闘った
記録。
しかし結局は、やっすい(けれど確かにカッコイイ)ダメ男に手を引かれて、
泣きながら 「飯に行く」。かわいくって、少し愚かな女のサガを、リアルに描
いた映画なのだ。
( 『百円の恋』 監督:武正晴/主演:安藤サクラ、新井浩文/2014・日本)
- 関連記事
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- 時間~『自由が丘で』 (2015/01/25)
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trackback
『百円の恋』をテアトル新宿で見ました。
(1)『0.5ミリ』で大活躍した安藤サクラの主演作ということで映画館に行ってきました。
本作(注1)は、出戻りの妹・二三子(早織)の子供・太郎と一緒になってボクシングのテレビゲームに興じる姉・一子(安藤サクラ)の後...
2015-01-22 21:35 :
映画的・絵画的・音楽的
公式サイト。武正晴監督。安藤サクラ、新井浩文、稲川実代子、早織、宇野祥平、坂田聡、 沖田裕樹、吉村界人、松浦慎一郎、伊藤洋三郎、重松収、根岸季衣。「やればできる百円生活 ...
2015-01-22 21:35 :
佐藤秀の徒然幻視録
映画『百円の恋』は作品の出来もさることながら、安藤サクラに完全にノックアウトされ
2015-01-22 21:59 :
大江戸時夫の東京温度
国内外からの応募総数151の脚本から選ばれた第一回「松田優作賞」グランプリ脚本(作:足立紳)を『カフェ・ソウル』の武正晴監督で映画化。32歳負け組どっぷりの女がボクサーと出会いボクシングに目覚めながら初めての“一勝”を目指す人間ドラマだ。主演は『かぞくのくに』の安藤サクラ。共演に『愛の渦』の新井浩文らが出演。安藤サクラの文字通り体を張った熱演がみもの。
2015-01-22 22:08 :
MOVIE BOYS
----この映画って、
東京国際映画祭で話題になった作品だよね。
安藤サクラの演技がスゴイって…。
「そうだね。
共演の新井浩文が激賞していることでも話題に。
実はぼくはこの前に『0.5ミリ』という、
やはり安藤サクラ主演の映画を観ていて、
ここでの彼女の演技ですで...
2015-01-22 22:30 :
ラムの大通り
【ネタバレ注意】
斉藤一子(いちこ)は死んでいた。
黒澤明監督の名作『生きる』になぞらえれば、「彼女には生きた時間がない。つまり彼女は生きているとはいえないからである。駄目だ。これでは死骸も同然だ。」というありさまだった。
『百円の恋』が描く「死骸も同然」な暮らしはズルい。
公式サイトのストーリー紹介には「32歳の一子(安藤サクラ)は実家にひきこもり、自堕落な日々を...
2015-01-22 22:47 :
映画のブログ
監督には『イン・ザ・ヒーロー』の武正晴。主役には『0.5ミリ』も公開中の安藤サクラ。
脚本は足立紳で、2012年に新設された第一回「松田優作賞」という脚本賞を受賞しているとのこと。
主人公の一子(安藤サクラ)を中心に、登場人物は負け組ばかりである。弁当屋を切り盛りする母親はともかく、影の薄い父親は仕事もせずに、いまだに「自分に自信がない」などと言ってみたりもする。一子が...
2015-01-23 00:06 :
映画批評的妄想覚え書き/日々是口実
2014年・日本/東映ビデオ配給:SPOTTED PRODUCTIONS 監督:武 正晴 脚本:足立 紳 製作:間宮登良松企画・監修:黒澤 満エグゼクティブプロデューサー:加藤和夫プロデューサー:佐藤
2015-01-23 00:15 :
お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法
負け犬人生を吹き飛ばす“痛い”一撃!
予定調和なスポ根ものとは違う異色の味わいながら、最後にしっかり感動が心に刻まれる得難い一本であった。
本作は、松田優作の出身地である山口県周南映画祭で、2012年に新設された脚本賞『松田優作賞』第一回グランプリの映...
2015-01-23 12:41 :
相木悟の映画評
お気に入り俳優2人、安藤サクラと新井浩文がタッグを組むと聞けば観逃すわけにはいきますまい。予告編を観た時から絶対面白い!と確信してはいたが予想以上の面白さ。特に安藤サクラの女優魂には拍手喝采を送りたい。ボクシングを始めて徐々に引き締まっていく身体の変化がすごい。身体だけでなく顔つきまでも鋭くなっていくのを見て女ながら彼女に惚れこむ。いい女優だよねぇ、あのB級エロ顔も含めて。(笑)32歳にして...
2015-01-24 16:00 :
龍眼日記 Longan Diary
100円玉のリアル。
今年の日本映画は、安藤サクライヤーだ。
先月公開されたばかりの「0.5ミリ」に続いて、ネガティブダウナー系女子の目覚めを演じ、圧倒的な存在感で物語を引っ張る。
足立紳による脚本は、山口県周南映画祭で、故・松田勇作の志を受け継ぐクリエイターを発掘すべく、2012 年に新設された脚本賞、第一回「松田優作賞」グランプリ作品。
なるほど、明らかな低予算ながら、ハード...
2015-01-24 22:00 :
ノラネコの呑んで観るシネマ
★★★★☆ 製作:2014年日本 上映時間:113分 監督:武正晴 ミニシアター系の映画で、上映館は全国でたった三館しかない。だが低予算でも、ここまで面白い映画が創れると言う見本のような映画であり、第27回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門で作品賞
2015-01-27 16:23 :
ケントのたそがれ劇場
百円の恋 テアトル新宿 2014/12/20公開
32歳の一子(安藤サクラ)は実家でだらしない毎日を過ごしていたが、
離婚して実家に戻ってきた妹の二三子といざこざを起こし、一人暮らしをすることに。
100円ショップで深夜労働にありつき、相変わらずな日々を送っていたものの、
ボクサーの狩野(新井浩文)と恋に落ちる。
狩野との幸せな日々はすぐに終わってしまうが、ある日、たまたま始め...
2015-01-27 20:35 :
単館系
監督: 武正晴
出演: 安藤サクラ 、新井浩文
鑑賞劇場: テアトル新宿
映画『百円の恋』 公式サイトはこちら。
実家でひきこもり生活を送る32歳の一子は、離婚して出戻ってきた妹とケンカしてしまい、やけになって一人暮らしを始める。100円ショップで深夜勤務...
2015-02-04 23:21 :
Nice One!! @goo
32歳のパッとしない女性がボクサーとの出会いから、毎日をサバイブしながら恋愛とボクシングに目覚めていく姿を、安藤サクラが演じた人間ドラマ。実家を出て100円ショップで深夜労働を開始、ボクサーとの出会いと恋もうまくいかないところに、衝動的に始めたボクシングで...
2015-03-08 12:23 :
パピとママ映画のblog
職場でも男からも残念な扱いをされている一子だが、後半、アッと驚く変身を遂げる。映画の中の一子にも、そして演じている安藤サクラにも、私は感動してしまった。ボロボロになっても立ち上がる姿は、見苦しくて美しくて可愛らしい。自他共に認めるサエない女の価値もグー…
2015-05-30 01:49 :
作曲♪心をこめて作曲します♪
百円の恋
自堕落な生活を送る引き籠もり女が、家を出
一人暮らしを始め、百円ショップでバイト。
中年プロボクサーと知り合い、自らもボクシングに目覚めていく...
【個人評価:★★☆ (2.5P)】 (自宅鑑賞)
脚本:足立紳 「第一回松田優作賞」グランプリ受賞作
2015-09-12 00:19 :
cinema-days 映画な日々
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2014年日本映画 監督・武正晴
ネタバレあり
2015-09-17 09:18 :
プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
安藤サクラが日本アカデミー賞主演女優賞を受賞した作品。
30歳を超えても実家で引きこもり同然のニートな生活を送っている一子(安藤サクラ)。子供を連れて出戻ってきた妹の二三子と大喧嘩し、一人暮らしを始めることになる。毎日買い物に行っていた24時間営業の100円...
2017-02-12 00:25 :
まてぃの徒然映画+雑記
コメントの投稿
今晩は。
「安藤サクラが安藤サクラである限り、私は彼女を支持する」に心から賛同いたします。
なお、誠につまらないことで恐縮ですが、タイトルに「Hangry,Angry」とあるのは、女性ユニット「HANGRY&ANGRY」に関連させてのことでしょうか、「Hungry,Angry」のインプットミスでしょうか?
「安藤サクラが安藤サクラである限り、私は彼女を支持する」に心から賛同いたします。
なお、誠につまらないことで恐縮ですが、タイトルに「Hangry,Angry」とあるのは、女性ユニット「HANGRY&ANGRY」に関連させてのことでしょうか、「Hungry,Angry」のインプットミスでしょうか?
クマネズミさん、こんばんは! コメント&TB&ご指摘ありがとうございます!
ソッコーで直します、でもみなさんにTB送った後だわ~~~
あ~~バカ、自分(>_<)
そういう女性ユニット、あるのですね。^^
ソッコーで直します、でもみなさんにTB送った後だわ~~~
あ~~バカ、自分(>_<)
そういう女性ユニット、あるのですね。^^
安藤サクラ、やっぱりスゴイですねぇ!
真紅さん、こんにちはー。
そうなんですよ、とにかく安藤サクラに圧倒される作品ですよね。
「百円の恋」というタイトル、確かに真紅さんの言う通りなのですが私はこのタイトルの安っぽさもまた逆にいいな、と思いました。
しかし新井くんはこういう安いオトコ役がハマりますよねぇ。
主演の2人のコンビネーションも最高な作品でした。
そうなんですよ、とにかく安藤サクラに圧倒される作品ですよね。
「百円の恋」というタイトル、確かに真紅さんの言う通りなのですが私はこのタイトルの安っぽさもまた逆にいいな、と思いました。
しかし新井くんはこういう安いオトコ役がハマりますよねぇ。
主演の2人のコンビネーションも最高な作品でした。
sabunoriさん、おはようございます。
コメント&TBありがとうございます。
安藤サクラ、正直今まであまり好きな女優さんとは言い難かったのですが、最近はイチオシです!
なんでもこの映画にはオーディションから参加したとか。
これからも期待ですねー、もちろん我らが新井くんも♪
ところで、今日昼から遂に、遂に 『KANO』 観ます!ってまだ公開二日目ですが(笑)、公開までが長かったですよね~。。ドキドキ、、、
またお邪魔しますね。
コメント&TBありがとうございます。
安藤サクラ、正直今まであまり好きな女優さんとは言い難かったのですが、最近はイチオシです!
なんでもこの映画にはオーディションから参加したとか。
これからも期待ですねー、もちろん我らが新井くんも♪
ところで、今日昼から遂に、遂に 『KANO』 観ます!ってまだ公開二日目ですが(笑)、公開までが長かったですよね~。。ドキドキ、、、
またお邪魔しますね。
遅くなってすみません~
なんせ、忙しいのです。。。 ブログに使う体力がなくて。
>安藤サクラが安藤サクラである限り、私は彼女
を支持する。
全くその通りです。私も支持!
なんせ、忙しいのです。。。 ブログに使う体力がなくて。
>安藤サクラが安藤サクラである限り、私は彼女
を支持する。
全くその通りです。私も支持!
rose_chocolatさん、おはようございます。コメント&TBありがとうございます。
お仕事大変そうですね、、、ご無理なさらず。
安藤サクラって、2世だし美人でもないし(すみません^^;)、出始めた頃は冷ややかな目で観ていました。
でも、作品観たら全然評価変わりますよね。。
新井くんじゃないけど、ほんと「日本一の映画女優」だと思います^^
お仕事大変そうですね、、、ご無理なさらず。
安藤サクラって、2世だし美人でもないし(すみません^^;)、出始めた頃は冷ややかな目で観ていました。
でも、作品観たら全然評価変わりますよね。。
新井くんじゃないけど、ほんと「日本一の映画女優」だと思います^^