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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

身に覚え~『アデル ブルーは熱い色』

アデル





 LA VIE D'ADELE - Chapitres 1 et 2
 
 BLUE IS THE WARMEST COLOR


 どこか満たされない思いを抱えていた高校生、アデル(アデル・エグザルコプ
ロス)
は、ある日街ですれ違った青い髪の女性に激しく惹かれる。彼女は美大
生エマ(レア・セドゥ)
。偶然再会した二人は恋に落ち、一緒に暮らし始める。

 カンヌ映画祭で、監督と主演女優二人にパルムドールが授けられた話題作。
やっと観ることができました。ほぼ3時間の長尺ながら、全く飽きることも時間
が気になることもなく、引き込まれて観ていた。ある女の子の、17歳からの熱
く、焼けるような、激情の数年間。そう、ブルーは 「激情」 の色

 ブルー、同性同士の恋愛、というキーワードから、我が愛する 藍宇 を
連想してしまう。考えてみれば、男同士の恋愛映画はいくつか思い浮かべる
ことができるが、女同士のものは初めて観るような気がする。「憧れ」 程度
の描写はあっても、ここまでガチに描かれた映画って、今まであったのだろう
か?(あれば教えて下さい) しかし全くセンセーショナルでも何でもなく、誰
の身にも起こり得る、普遍的な恋物語だった。

アデル2

 カメラは、クローズアップを多用してアデルを追う。口を半開きにして寝る姿、
食欲旺盛に食べまくる姿、鼻先を赤くして泣く姿。アデルは本当によく食べる。
初デートで、男の子から 「クレープでも食べる?」 と言われて、「ケバブがい
い」 と答えるような子なのだ(笑)。お腹が空けば食べ、寂しければ浮気する
アデル。欲望に忠実な彼女はしかし、恋愛における 「ルール」 を学ばなけれ
ばならなかった。奔放なようでいて、エマは 「のりしろ」 を嫌うひと。性の垣根
を越え、狂おしいほど誰かを求めながら(それはアデルであってもよかったの
に)、失い続ける人生を、彼女は選ぶ。アデルは感覚的で、エマは理知的だと
も言えるだろう。だからこそ惹かれ合ったのだし、別れもまた、必然だったのか
もしれない。

 もちろん、エマには芸術家として成功するための 「処世術」 も必要だった
のだと思う。新しいパートナーとの関係は、ビジネス抜きには考え難い。アデ
ルよりも、エマのほうが少しだけ先を歩き、曲がり角で消えてしまう。正統派
美人とは言い難いし、すきっ歯を隠そうともしないレア・セドゥ。なんてカッコイ
イ女なんだ! 惚れてしまうではないか・・・。(余談だが、ヴァネッサ・パラディ
もすきっ歯ですよね? フランスは歯並びに寛容なのだろうか)

アデル3

 エマの髪の色が変わってしまっても、青い色を身につけるアデル。歩き去る
彼女の後姿は、決して下を向いてはいない。人生の第三章に向かって、彼女
は歩く。

 ( 『アデル ブルーは熱い色』 監督・共同脚本:アブデラティフ・ケシシュ
     主演:アデル・エグザルコプロス、レア・セドゥ/2013・仏、ベルギー、スペイン)
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2014-05-23 : 映画 : コメント : 8 : トラックバック : 20
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『アデル、ブルーは熱い色』 (2013)
リアルに迫りくる、ザ・体感ラヴ・ストーリー! 情念の海に浸り、美しくも生々しい実在感に飲み込まれる前衛的な恋愛映画であった。 本作は、ジュリー・マロによるフランスで人気のグラフィック・ノベル『ブルーは熱い色(邦題)』の映画化。カンヌ映画祭にて審査委員...
2014-05-23 13:41 : 相木悟の映画評
アデル、ブルーは熱い色
美尻実存は愛本質に先立つ 公式サイト。フランス映画。原題:La Vie d'Adele:Chapitres 1 et 2、英題:Blue Is the Warmest Colour。ジュリー・マロ原作、アブデラティフ・ケシシュ監督。レア・セド ...
2014-05-23 14:49 : 佐藤秀の徒然幻視録
アデル、ブルーは熱い色・・・・・評価額1700円
さらば、青春のブルー。 平凡な高校生アデルが、青い髪の美大生エマと出会い、人生を変える情熱的な愛を知る鮮烈なファースト・ラブ・ストーリー。 ジュリー・マロのバンデシネ「ブルーは熱い色」を原作に、鬼才アブデラティフ・ケシシュ監督が、人を想い愛する事の喜びと痛みを、赤裸々な性愛描写と共に描く。 昨年のカンヌ国際映画祭で、最高賞のパルム・ドールが史上初めて監督と二人の主演女優の三人に贈ら...
2014-05-23 16:23 : ノラネコの呑んで観るシネマ
「アデル、ブルーは熱い色」:恋愛の諸行無常
映画『アデル、ブルーは熱い色』は、ザ・恋愛映画。恋愛の始まり~深まり~至福~破局
2014-05-23 19:52 : 大江戸時夫の東京温度
アデル、ブルーは熱い色
アデル、ブルーは熱い色(2013 フランス) 原題   LA VIE D'ADELE CHAPITRES 1 ET 2 英題   BLUE IS THE WARMEST COLOR 監督   アブデラティフ・ケシシュ 原作   ジュリー・マロ 『ブルーは熱い色』 脚色   アブデラティフ・ケシシュ ガーリア・ラクロワ 撮影   フォフィアン・エル・ファニ 出演   アデ...
2014-05-23 20:13 : 映画のメモ帳+α
「アデル、ブルーは熱い色」
「La vie d'Adèle - Chapitres 1 et 2」…aka「Adèle's Life」「Blue Is the Warmest Color」2013 フランス/ベルギー/スペイン アデルにアデル・エグザルコプロス。 エマに「美しい人/2008」「ロビン・フッド/2010」「ミッドナイト・イン・パリ/2011」「マリー・アントワネットに別れをつげて/2012」のレア...
2014-05-23 20:39 : ヨーロッパ映画を観よう!
アデル、ブルーは熱い色 
 『アデル、ブルーは熱い色』を渋谷ル・シネマで見ました。 (1)本作(注1)は、昨年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得した作品だと聞いて映画館に出かけました。  本作は、高校生のアデル(アデル・エグザルコプロス)が家を出発し登校するところからはじまりま...
2014-05-23 21:54 : 映画的・絵画的・音楽的
アデル、ブルーは熱い色
 カンヌで大喝采をうけ、審査委員長だったスピルバーグも絶賛した本作。しかし、フランスの恋愛映画で3時間もの長丁場ということで、事前に恐れたとおり、快眠できました。うわさのラブシーンはあえぎ声で目がばっちり覚めたけれどね。  作品情報 2013年フランス映…
2014-05-24 00:08 : 映画好きパパの鑑賞日記
【TIFF_2013】『アデル、ブルーは熱い色』 (2013) / フランス
原題: LA VIE D’ADELE CHAPITRES 1 ET 2 / ADELE : CHAPTERS 1 & 2 監督/脚本: アブデラティフ・ケシシュ 原作: ジュリー・マロ 出演: レア・セドゥ 、アデル・エグザルコプロス 、サリム・ケシュシュ 、モナ・ワルラヴェン 、ジェレミー・ラエルト ...
2014-05-24 12:04 : Nice One!! @goo
『アデル、ブルーは熱い色』
物足りないから焦る。これが恋の物語。 第66回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した作品は「素晴らしい」という評価では物足りないくらいに素晴らしい、まるでドキュメンタリ ...
2014-05-24 14:34 : こねたみっくす
[映画『アデル、ブルーは熱い色』を観た]
☆・・・昨年のカンヌの栄冠に輝いた作品だそうだ。  わたし好みの、激情のフランス映画っぽくて、そそくさと新宿まで観に行く。  ・・・フランスの、とある女子高生が恋に落ちたのは、なんとレズビアンの女性・・・、その数年に渡る、失恋に至る「青春」の物語。  ...
2014-05-25 09:10 : 『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭
アデル、ブルーは熱い色
アデル、ブルーは熱い色  (2013  フランス) LA VIE D'ADELE BLUE IS THE WARMEST COLOR 監督 アブデラティフ・ケシシュ 原作: ジュリー・マロ 『ブルーは熱い色』(DU BOOKS刊) 脚本: アブデラティフ・ケシシュ ガーリア・ラクロワ 撮影: フォフィアン・エル・ファニ 編集: カミーユ・トゥブキス...
2014-05-26 15:51 : ちょっとお話
映画:アデル、ブルーは熱い色 La vie d'Adèle 激しい恋ほど、揺り返しも大きいのは男女共通?!
この映画を一言でいうと、出会い→激恋→別れ、そして焦燥。 あれ? ネタといては実にフツー(笑) だが! 他との違いは、この激恋は、レズビアンの2人によるもの. で、そこを徹底的に突く監督がいる。 話題になっている強力な濡れ場は、確かに過去にない迫力がある...
2014-07-02 02:55 : 日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜
アデル、ブルーは熱い色
アデル、ブルーは熱い色 '13:フランス ◆原題:LA VIE D’ADELE CHAPITRES 1 ET 2 ◆監督:アブデラティフ・ケシシュ「 ◆主演:レア・セドゥ、アデル・エグザルコプロス、サリム・ケシュシュ、モナ・ワルラヴェン、ジェレミー・ラエルト、オーレリアン・ルコワン、カトリ...
2014-08-26 21:18 : C’est joli〜ここちいい毎日を♪〜
アブデラティフ・ケシシュ[監督]『アデル、ブルーは熱い色』(2013年)を観た。
○アブデラティフ・ケシシュ[監督]『アデル、ブルーは熱い色』(2013年)を観た
2014-09-11 21:42 : ラジオ批評ブログ――僕のラジオに手を出すな!
熱い愛、そして、
6日のことですが、映画「アデル、ブルーは熱い色」を鑑賞しました。  文学好きで教師を夢見る高校生アデルは、運命的に出会った青い髪の画家エマに魅了され、2人は情熱的に愛し合うようになる しかし、時の流れとともに2人の気持ちは次第にすれ違っていき・・・ 女性...
2014-10-23 00:24 : 笑う社会人の生活
アデル、ブルーは熱い色
【概略】 高校生のアデルは、交差点ですれ違ったブルーの髪の女性エマと視線を交わした瞬間、心を奪われた。偶然にもバーで再会を果たし、知的でミステリアスなエマにますます魅了されていく。週末、ふたりきりでデートに出かけ、見つめ合い、キスを交わし、そして互いを求めあった。初めて知る愛の歓び。情熱と刺激に包まれた運命的な愛に、アデルは身も心ものめりこんでいく……。 ラブストーリー ア...
2014-11-29 08:44 : いやいやえん
アデル、ブルーは熱い色/ほとばしる愛に心が苦しい
第66回カンヌ国際映画祭のパルムドールを獲得した作品。この時史上初めて主演女優2人にも同賞が贈られた。フランスの人気コミックを原作にアブデラティフ・ケシシュ監督が実写映画化したこの作品は、『マリー・アントワネットに別れをつげて』のレア・セドゥと『黄色い星の子供たち』にも出演していたアデル・エグザルホプロスの2人のがレズビアンの真摯な愛を熱演している。
2014-12-18 21:14 : MOVIE BOYS
「アデル、ブルーは熱い色」感想
衝撃作という程でもなかったです・・・。3つ★半
2015-02-17 17:26 : ポコアポコヤ 映画倉庫
映画評「アデル、ブルーは熱い色」
☆☆☆(6点/10点満点中) 2013年フランス=ベルギー=スペイン映画 監督アブデラティフ・ケシシュ ネタバレあり
2015-05-19 10:54 : プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
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やっぱりいいんだ~~
良さげですよね、この作品。

ビアン系では
「中国の植物学者の娘」
「月の瞳」
「バウント」
あたりが好きです。
2014-05-25 23:36 : anupam URL : 編集
anupamさん、こんにちは! コメントありがとうございます^^
うんうん、これいいですよ~ by スピルバーグ
是非ご覧になって下さい♪

>中国の植物学者の娘

おお、すっかり忘れてまだ未見です。
あとの2本は初めて聞いたような。。あとでググってみよう~っと^^
ありがとうございます~。
2014-05-26 13:16 : 真紅 URL : 編集
お邪魔します~~
カンヌといえば、今年の受賞作決まりましたね。
ドラン監督の「マミー」もみたいよね。


<アデル。欲望に忠実な彼女>
そうよね。
若さっていいな~~って・・・笑
思いながら鑑賞していました。
海の上で浮かんでいるアデルの姿が
かなり切なかったです。

レア・セドゥ・・かっこよかったよね。
2014-05-26 15:50 : みみこ URL : 編集
真紅さん、こんばんは
これ、なんだか身悶えするような映画でしたね。
なんだか恋って事故みたい。後から考えると、がむしゃらで無我夢中で。
もっと賢く上手くやればよかったと、後から後悔するばかりです。
見た時は、期待が大きすぎたせいか、何となく拍子抜けしてしまったんですが、思い出すととっても鮮烈な映画だったなあって。
こういう話を共有出来て、とても嬉しいです!
2014-05-26 22:28 : とらねこ URL : 編集
みみこさん、こんにちは~。コメント&TBありがとうございます。
そうそう、ドランくん、パルムドールなるか?! と思ってずっとウォッチしてたんだけど。
審査員賞かな? でもすごいよねー^^
とか言ってないで早くロランス観ないと^^;
MOMMY観られたら、またお話しましょ♪

私、あんまり若い頃に戻りたいとか思わないんだけど、なんかアデル観てると懐かしかったわ。
精神的にはあまり変わってないつもりでも、やっぱりあの頃の気持ちと今は違うよね。
レア・セドゥってすんごいセレブらしいね、、結構、地なんだな~~、と。
2014-05-27 13:37 : 真紅 URL : 編集
とらねこさん、こんにちは~。コメントありがとうございます。
>身悶え
そうそう! まさにソレ!!
こういう、身体に来る映画って私は好きですね~。ぐふふ
ストーリーは単純というか、普遍的な恋愛映画なので、拍子抜けっていうのもなんとなくわかります。
私もいちおう女なので、やっぱりアデルやエマと自分を照らし合わせて観てしまいますね。
そういえば私も、昔は恋愛体質だったのでした。。遠い目。笑
後で行きますね~。
2014-05-27 13:38 : 真紅 URL : 編集
真紅さーん、ちょいとお久しぶり^^
ここんところ、イギリスのドラマのシャーロックにハマって、それを一気に全話見てたから、映画に手が回らなかったのよ(#^^#)

で、これ。
確かにレズ映画って、あんまり見たこと無いかもしれない・・・。
あったかもしれないけれど、これぞ、っていうのの印象が無いわ・・。

いやー、レアさん、綺麗だった。
私も偶然なんだけど「惚れてしまうやろ」って思ったわん。素敵だった。すきっ歯は、前に何かで読んだけど、口を閉じてると品があって綺麗なのに、笑って歯が見えると、ちょい下品、っていうアンバランスさが魅力に映るとか、なんとか。
2015-02-17 17:24 : latifa URL : 編集
latifaさん、こんにちは~。コメント&TBありがとうございます。
ほんと、お久しぶり~^^
シャーロック、人気凄いよね~私は観てないけどさ^^;
ベネさんの人気ぶりったら。。
私も、時間あったら観てみたいなー、いつかね。。
てか映画になったらいいのに!!

女性同士の恋愛をここまで正面から描いた映画、思いつかないよね~。
向こうの女優さんは本当に凄い。。覚悟が違うわ。
レア・セドゥーも、今まで全然好きじゃなかったけど、見直したよ。

すきっ歯の件はね、前テレビでフランス人が、
あの隙間から幸運が入ってくると言われてて、フランスでは美人の条件なんです、みたいなこと言ってた。
物は言いようよね~(爆)。
2015-02-18 13:10 : 真紅 URL : 編集
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