並び立つ両雄と猛獣使い~『夢と狂気の王国』
夢と狂気の王国

 2012年。東京・小金井のアニメーションスタジオ 「スタジオジブリ」 では、
宮崎駿の監督作品 風立ちぬ の製作が佳境を迎えていた。一方、ジブリ
とは離れた場所で、高畑勲もまた14年ぶりとなる新作 かぐや姫の物語 
の製作を続けていた。2013年夏、この日本を代表する映画監督二人の新作
同日公開すべく、プロデューサー・鈴木敏夫は奔走していた。

 エンディングノート で話題をさらった砂田麻美が、一年間ジブリに密着、
宮崎駿の引退まで
を追ったドキュメンタリー。公開をとても楽しみにしていた
作品だった。しかし、ここ数ヶ月のジブリ関連の露出の多さに、テレビ放映さ
れるのも時間の問題かな? 劇場で観ることもないかも? と思ってしまった
のも事実。それでも、観て本当によかった2013年、新作が2本公開された
この記念すべき 「ジブリイヤー」 にふさわしい秀作宮崎駿・高畑勲という
ふたりの大天才鼓舞し続けた 「猛獣使い」 こと影の立役者、鈴木敏夫
にもスポットが当てられている。

夢と狂気の王国2

 砂田監督が 「若い女の子」 だからか、巨匠も随分油断しているご様子。
カメラの存在を知ってか知らずか、を流すところを捉えられていて驚き。そ
れにしても、宮崎駿を取り巻く女性の多いこと! ヤクルトレディから、たくさ
んのアニメーターの方々、監督のお気に入りらしき 「三吉」 さん、スタジオ
に住み着いたまで 「ウシコ」 さんですよ(笑)。鈴木さんが車で出かける
とき、必ず手を振って見送る女性の存在も気になったなぁ。庵野監督にコー
ヒーを手渡していたアフレコスタッフの女性は、猫背椿さんそっくりだった。

 立ち位置が極端に左なためか、あまり画面に登場しない高畑勲の凄さも、
改めて感じられる作品になっている。「性格破綻者」 だと貶しながら、宮崎
駿こそが誰よりも 「パクさん」 を意識していることも。

夢と狂気の王国3

 次回作の方向性を語ったり、引退会見の直前にも関わらず、街の景色を
映画の場面になぞらえずにはいられない
宮崎駿は、きっとまた映画を撮るの
ではないか
、と思わせる。「もう一本撮りそうな勢いですよ」 と言った庵野監
に対し、「え~、俺もうやだよ~」 と弱気だったのは鈴木さん。彼が宮崎駿
に引導を渡したのでは?
 と勘繰りたくなる。

 ラストシーン力強い足取りでこちら側に向かってくる宮崎駿からは、創作
に対する枯れないエネルギー
を感じる。このラストカットは、まさに映画的な 
「名シーン」
。私は 『アルプスの少女ハイジ』 や 『未来少年コナン』 が 
「刷り込み」 になっている世代の人間なので、宮崎駿は自分の 「お父さん」 
だと思っている。名作でなくても、傑作でなくてもいい。たとえ駄作だっていい
作りたい気持ちがあるなら、どんな作品でも作って下さい。宮崎監督、あなた
は自由です。


 ( 『夢と狂気の王国』 監督・脚本・編集・撮影:砂田麻美/2013・日本)
関連記事
スポンサーサイト

テーマ:スタジオジブリ - ジャンル:映画

【2013/12/07 17:06】 | 映画 | トラックバック(9) | コメント(0)
<<あの頃/壁の花~『ウォールフラワー』 | ホーム | いのちの記憶~『かぐや姫の物語』>>
コメント
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
http://thinkingdays.blog42.fc2.com/tb.php/1435-2fa27a4d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
夢と狂気の王国/鈴木敏夫、宮崎駿、高畑勲
日本が世界に誇るアメニーション・スタジオ“スタジオジブリ”で『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』を制作するスタッフたちの姿に密着し彼らの創作活動へ懸ける思いと数々の名作を生 ... カノンな日々【2013/12/07 17:29】
夢と狂気の王国
公式サイト。川上量生プロデュース、砂田麻美監督。鈴木敏夫、宮崎駿、高畑勲、庵野秀明、西村義明、宮崎吾朗。砂田監督の「エンディングノート」 に続くドキュメンタリー作品は、 ... 佐藤秀の徒然幻視録【2013/12/07 17:48】
監督の遺言。『夢と狂気の王国』
スタジオジブリの中核を担う宮崎駿監督、高畑勲監督、鈴木敏夫プロデューサーに密着したドキュメンタリー映画です。 水曜日のシネマ日記【2013/12/07 18:43】
砂田麻美監督『夢と狂気の王国』"高畑勲監督の圧倒的不在による存在と宮崎駿監督は何故屋上に登るのか"「アニメーションは呪われた夢だ」
アニメーションは呪われた夢だ「エンディングノート」の砂田麻美監督によるスタジオジブリを捉えたドキュメンタリー『夢と狂気の王国』宮崎駿監督、高畑勲監督、鈴木敏夫プロデューサーに密着し、その創作の現場を映 映画雑記・COLOR of CINEMA【2013/12/07 19:29】
夢と狂気の王国
夢と狂気の王国 11/16公開 MOVIXさいたま 国民的アニメーションスタジオ、スタジオジブリは数々の名作を世に送り出し、 世界中のファンをはじめ、映画人やアニメーターに多大な影響を与え続けてきた。 2013年、ジブリの中核を担う宮崎駿監督、高畑勲監督、鈴木敏夫プロデューサーの 制作現場に密着。 数十年にわたり苦楽を共にしてきた三人の人間関係や、話題作を次々に生み出す現場の ... 単館系【2013/12/07 21:44】
夢と狂気の王国・・・・・評価額1600円
王国の支配者は誰か? 癌に倒れた父の最期の日々を追った「エンディングノート」で注目された、若きドキュメンタリスト、砂田麻美監督が、「風立ちぬ」の制作が佳境を迎えた2012年秋から今夏の引退会見後までの一年間に渡って、宮崎駿に密着取材したドキュメンタリー。 ジブリの裏側を描いた作品は、映画の公開前後にテレビでも沢山放送されたが、本作は所謂メイキングとは趣が異なる。 建物からして異世界... ノラネコの呑んで観るシネマ【2013/12/11 20:08】
やっかいな王様と猛獣使い?(爆)〜「夢と狂気の王国」〜
「エンディング・ノート」の砂田麻美監督が ドキュメンタリーでなく、”ジブリの映画を撮りたいと鈴木Pに申し出て 出来上がった作品がこれ。 文字通り「ジブリに迷い込んだマミちゃんの冒険」だった。(^-^) 一番最初にアップしたポスター画像なんだけども、 実は3人で... ペパーミントの魔術師【2013/12/17 11:58】
スタジオジブリという国
23日のことですが、映画「夢と狂気の王国」を鑑賞しました。 題名からファンタジーかと思いきや・・・ スタジオジブリを題材にしたドキュメンタリー これが 思っていた以上に興味深く見れましたね! 軸となるのは「風立ちぬ」の制模様となっていて そこから宮崎駿という... 笑う社会人の生活【2014/01/29 22:45】
夢と狂気の王国
『エンディングノート』で鮮烈なデビューを飾った砂田麻美監督が、スタジオジブリに一年間密着したドキュメンタリー。ちょうど宮崎駿監督の『風立ちぬ』と高畑勲監督の『かぐや姫の物語』の製作から公開にかけての期間であり、スタジオジブリが最も忙しかった時期でしょ... まてぃの徒然映画+雑記【2014/02/23 14:02】
真紅のthinkingdays


いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪

Recent Entries

Categories

What's New?

真紅

Author:真紅
  ★今年もよろしくお願いします★

Recent Comments

Recent TrackBacks

Archives

My Favorite

Search this site

RSS

Thank You!