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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

底なし沼~『ペーパーボーイ 真夏の引力』

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 THE PAPERBOY


 1969年の夏、フロリダ州モート郡ジャック(ザック・エフロン)は水泳選手
としての将来を棒に振り、大学を中退して実家に戻っていた。父親(スコット・
グレン)
の経営する地方紙の手伝いをしていた彼の元に、フロリダの大手新聞
記者をしている兄ウォード(マシュー・マコノヒー)が、同僚の黒人記者ヤード
リー(デヴィッド・オイェロウォ)
とともに帰省する。

 アメリカ、恐るべし。アメリカ映画、恐るべし。いやはや、凄い映画でした。
これは、今年一番の怪作かも・・・。大阪では既に上映終わっていたのですが、
運よく神戸で鑑賞。うだるような真夏、映画館の暗闇の中で観るにふさわしい
映画。と、と、様々な体液が混ざり合い、ねっとりと湿って肌にまとわりつく
感覚。想像を絶する展開は 「衝撃」 以上のダメージをもたらし、底なし沼のよ
うな 「闇」 を体感した。ポリティカル・コレクトネスやモラルとは無縁のようでい
て、人間の根源的な 「飢え」 についても考えさせられる物語。参りました。
監督は プレシャス のリー・ダニエルズGood Job!!

b.jpg

 ピンクを基調にしたポスターに、我らがアイドル、ザック・エフロンペーパー
ボーイ(新聞配達)
が年上の女性にひと夏の恋をする、、、なんて甘いプロット
を想像していた私は、大やけどを負ってしまった。彼が恋するのは、「性欲の強
いバービー人形」 シャーロット(ニコール・キッドマン)
。オスカー女優になっても、
ここまで異形な役にチャレンジする彼女の女優魂。素晴らしい。「オシッ○は私
がかける!!」 オーラル込みのエア・セック○といい、凄過ぎる。

 幼い頃に母に棄てられ、人間関係が巧く築けないジャックに、シャーロットが
スコールの中 「男と女が寝るのは、自然なことなのよ」 とダンスしながらささ
やく場面は、数少ない心安らぐ時間。彼女はジャックにとって、であり、恋人
であり・・・。アニタ(メイシー・グレイ)の言う通り、「憧憬」 そのものだった。

 ジョン・キューザック全身狂気パラノイア演技もさることながら、マシュー・
マコノヒー
には平伏したい。人種差別の根強い南部の田舎町に、何故彼は
人の同僚と帰省
したのか。彼の顔の傷跡は? 独身なのはなぜ? 何故最後、
ヒラリーに無抵抗だったのか? 「自分自身を憎んでいる」 なんて、悲し過ぎ
るよ・・・。

c.jpg

 そして何よりも強烈だったのは、沼の奥地で未開人のように暮らすプア・ホ
ワイト
たちの姿。ここ、ホントにアメリカなの? と叫びたいくらい、隔絶された
野蛮な生活
を営む人々がいる・・・。とにかく、何もかもが過剰で、目がくらむ
ほど。こういう作品に出会えるから、映画館通いは止められない

 ( 『ペーパーボーイ 真夏の引力』 監督・製作・共同脚本:リー・ダニエルズ
       主演:ザック・エフロン、マシュー・マコノヒー、ニコール・キッドマン/2012・USA)
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2013-09-12 : 映画 : コメント : 4 : トラックバック : 22
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そうです、まさにねっとり感にじわじわ苛まれ
翻弄されもう勘弁してよという間も与えず
過激な映像が目に飛び込んでくる・・・
監督の見せ方語り方に脱帽作品。
心が汗まみれになる怪作でございましたね。
いや~~~な映画の部類なんでしょうけれど
目が離せない、ある種、プワゾン映画。
ほんに映画は一筋縄ではくくれない魅力あり。
(笑)
2013-09-12 13:38 : vivajiji URL : 編集
vivajijiさん、おはようございます。コメント&TBありがとうございます。
>心が汗まみれ
いや~、まさに言い得て妙、でございます。
これホント怪作だと思うんですが、原作があるのですね。
まさか実話?ってことはないですね(笑)。
マシュー・マコノヒーってすっかり曲者俳優になりましたね~。
私、昔『評決のとき』に感動したもので^^
これからも見守っていきますわ♪
あと、リー・ダニエルズの次回作にも注目!ですね。
2013-09-13 07:13 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、ご無沙汰しております。
この作品のじっとり湿度の高い感じはまさに底なし沼でしたね。
キャラが本当に皆個性的!ニコールのあの数々の演技、よくあんなことこんなことやりましたよね(笑)。で、沼地に行ってからのスッピンでの哀れさが際立ちました。
そしてマシュー・マコノヒー、最高でしたね!あの哀しい性が強烈な色気を孕んで目に飛び込んできました。彼は『マジック・マイク』も良かったし、今更彼にハマっています。
神戸で観られたなんて良いな。たまには違う環境での映画鑑賞も乙ですよね♪
2013-09-17 23:42 : リュカ URL : 編集
リュカさん、こんばんは~。コメントありがとうございます。
ほんと、お久しぶりですね~。たまには顔出して下さいよ^^

さてこの映画ですが、かなりの衝撃作でしたが観てよかったです。
マシュー・マコ様といえば、昔むかし、『評決のとき』(だっけ? 黒人の少女の弁護するお話)に大・感動したものです。
『マジック・マイク』 最高やったよね。。。
この映画の後に、『タイピスト!』 上映だったのですよ。
観てから帰ればよかったな~。しくしく
最近梅田が遠いわ~。特にスカイビル方面。
あ、『サイド・エフェクト』は観ました! 次アップ予定です。
面白かったよね~。ソダーバーグ~、引退、まじか? みたいな。。。
2013-09-18 21:29 : 真紅 URL : 編集
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