神との対話~『トゥ・ザ・ワンダー』
トゥ・ザ・ワンダー







 TO THE WONDER



 モンサンミシェルで出逢ったニール(ベン・アフレック)マリーナ(オルガ・
キュリレンコ)
は、運命的な恋に落ちる。パリからニールの故郷・オクラホマ
に住み着いた二人の関係は、時の流れとともに移ろってゆき・・・。

 映画界において唯一無二の存在であり、「孤高の大天才」 の代名詞とも
言えるテレンス・マリック監督の新作。めいたその存在そのものが、作品を 
「神の領域」 に似た高みへと押し上げているようにも感じられる。愛と失望、
開発と汚染、信仰と病
、相反するものを等価に描きつつ、映画と言うよりは
像詩
と呼びたいような、美し過ぎる光に包まれた哀しい人生の断片観念的
でトゥザワンダーな、テレンス・マリック節が大爆発した傑作。しかし、これほど
観る人を選ぶ作品も、そうはないであろう。

 正直、私自身もこの作品の 「意図」 を、理解できてはいないと思う。しかし、
人生の 「意味」 を完璧に理解できる人間などいないように、ただ観て 「感じ
る」
 ことができればいいのだと思う。起承転結があるでなし、セリフはほぼモノ
ローグ
。しかし全く長いと感じることもなく、旅の中で心地よい 「夢」 を観てい
るような気分
だった。

トゥ・ザ・ワンダー2

 様々な困難を乗り越えて結ばれたカップルの、愛の移ろい。主人公は繰り
返し問いかける。「なぜ 愛は憎しみに変わる?」 なぜ、全ては永遠でない
のか、と。

 生命が 「動的平衡」 であるように、この世で変わらないものなど何もない
むしろ、「永遠」 とは 「一瞬」 の中にしか存在しない。一瞬でも、誰かに愛
を感じたのであれば、その感情は永遠であるとも言えるし、愛が憎しみや、或
いは思い出に変わってしまったことを嘆くこともない。物が溢れていても満たさ
れることはないし、信仰に篤くとも、弱者は環境破壊の犠牲になる。矛盾し、
条理
なのがこの世界の理なのだ。姿が見えないからこそ神を渇望し、続かな
いからこそ愛を誓うように。

トゥ・ザ・ワンダー3

 大好きな女優、レイチェル・マクアダムスがこの神秘的な映像世界に意外と
馴染んでいて安心する。しかし、この作品の 「ミューズ」 はやはり、旧大陸
の東から来たオルガ・キュリレンコ意志的な瞳に、どうしようもなく儚げでやわ
らか
な、滅びを予感させるその肢体。ただただ、う つ く し い

 ( 『トゥ・ザ・ワンダー』 監督・脚本:テレンス・マリック
       主演:ベン・アフレック、オルガ・キュリレンコ、レイチェル・マクアダムス/2012・USA)
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テーマ:個人的な映画の感想 - ジャンル:映画

【2013/08/26 20:25】 | 映画 | トラックバック(18) | コメント(4)
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コメント
真紅さん、こんばんは。
”旅の中で心地よい 「夢」 を観ているような気分だった。”とは、まさに、そのとおりですね。
私もこんな映画体験ができたなんて、ほんと夢みたいでした。
【2013/08/26 21:35】 URL | 筆致刻久 #-[ 編集]
筆致刻久さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
観る人を選ぶ映画だと思いましたが(実際、途中退席もチラホラ)、観ている間は本当に「夢見心地」でしたね。
至福の映像体験でした。
【2013/08/28 15:45】 URL | 真紅 #V5.g6cOI[ 編集]
こちらにも。
私も夢心地で・・・
でも、お家だったのでバッチリ鑑賞。
レイチェル・マクアダムス色んな作品に出ているのね。
どっちも素敵な女性なので
もてるベン・・うらやましい・・・~~笑
ああいう風に美しく撮ってもらいたいな・・。
【2014/10/21 15:29】 URL | みみこ #mQop/nM.[ 編集]
みみこさん、こちらにもありがとうございます。
テレンス・マリックとベン・アフレック、観る前はミスマッチなんじゃ、、、と思ってました。
でも、大丈夫だったね、セリフほぼなかったし^^
レイチェルが出ると知った時は、ええ~~??だったけど、彼女もよかった。
世界一笑顔が素敵な女優さんだと思います。
ああ~~、こういう作品、自宅でゆっくり観られたらいいな。。
【2014/10/22 21:28】 URL | 真紅 #V5.g6cOI[ 編集]
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