「よぉ、見とくんやで」 ~『少年H』
少年H

 昭和初期の神戸「H」 とイニシャルの刺繍されたセーターを来た肇(吉岡竜
)は、「いっつも一言多い」 と叱られる、好奇心旺盛な腕白少年外国人相手
に洋服を仕立てる
父(水谷豊)と、熱心なクリスチャンの母(伊藤蘭)のいる、一風
変わった家庭
に育っていた。

 大ベストセラーとなった妹尾河童氏の同名小説は、発売当時読んでいる。あれ
だけ小説が売れれば、映画化のオファーは当然、あったはずだが、今この時期に
なったのは何か意味があるのだろうか? 少年の、溌剌とした躍動感に満ちた上
は大変面白く読んだが、戦争の長く、暗い影が落ちる下巻は、やるせなく重い
気分になった記憶がある。映画を観ながら、原作を読んだ時と同じ気持ちになっ
て、観ているのがちょっと辛かった。それだけ原作に忠実に、うまく映像化された
ということなのだろう。

少年H3

 この映画を観たかった一番の理由は、「赤盤の兄ちゃん」 を演じた小栗旬
カッコよかったけど、出演場面は少なかった。原作では一番のインパクトだっ
た 「オトコ姉ちゃん」 こと早乙女太一も、H少年との絡みは全く無くて残念。
しかしこの映画は水谷豊(夫妻)のためにあると言っても過言ではないだろう
から、彼らはあれでいいのだろう。同じく、脇の原田泰造、佐々木蔵之介、岸
部一徳、國村隼
らも。

 水谷豊は、今まで関西人の役は全て断ってきたらしい。「似非関西弁」をしゃ
べるのが嫌で。しかし、彼の言葉は柔らかく、とてもいい感じに響いた。同じく、
伊藤蘭の巧さにも驚き。

 H少年の父は素晴らしい人物で、こんな尊敬できるお父さんがいるのに、どう
してH少年の母はあんなにも宗教に没頭するのだろう、と不思議に思った。この
父=一家の主を信じていれば、それでいいような気がするのだけれど・・・。
信仰を持つ人にとっての 「神」 とは、そんなものではないのでしょうね。

少年H2

 最後に、濱田岳と 「フェニックス」 が登場して、この映画も救われた気が
した。希望が感じられるラストで、よかったと思う。 

 ( 『少年H』 監督:降旗康男/原作:妹尾河童/2013・日本/
       主演:水谷豊、伊藤蘭、吉岡竜輝、小栗旬、早乙女太一、佐々木蔵之介
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いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪

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