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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

無法、不滅、あるいは伝説~『欲望のバージニア』

欲望のバージニア








 LAWLESS


 1931年、禁酒法時代のアメリカバージニア州フランクリンで、自らを 「不
死身」
 と称する三兄弟がいた。長兄ハワード(ジェイソン・クラーク)、次兄フォ
レスト(トム・ハーディ)
、そして末弟のジャック(シャイア・ラブーフ)。彼らは
造酒
で商売し、酒場を営んでいた。そこに、シカゴから流れてきた女・マギー
(ジェシカ・チャステイン)
が現れる。

 大阪では単館での上映で、ほとんど話題になっていなかった本作。いやこれ
滅法面白かった! 個人的にはベスト作に入れてしまうかも? と思ったほ
ど。予備知識もなく、主演俳優さえ知らぬまま観たのに、こんな快作に出会うと
は、うれしい限り。
 ソフト帽をかぶり、を手にしたギャングのような男たちの抗争劇であり、その
男と酒場でタバコをふかす、ワケありの女との純愛物語でもあり。そしてまだ
く、残酷になり切れない男
と、聖職者の娘との初々しい青春物語でもある。そし
てこれがまた、実話に基づく物語だというのだから・・・。アメリカという国の、底
知れぬ「物語層」の厚さを感じる。

欲望のバージニア2

 とにかく、この映画の見所は役者が皆素晴らしいこと! 長兄ジェイソン・ク
ラーク
は ゼロ・ダーク・サーティ でジェシカ・チャステインと共演したのも記
憶に新しい。ゲイリー・オールドマンが 「狂犬」 してるのも久々に観た! 
すっかりお馴染みになったガイ・ピアース偏執的悪役ぶり、シャイア・ラブー
ヘタレでいじられキャラの末っ子にハマっている。相変わらずの白い肌、赤
い唇
がなんとも小悪魔ミア・ワシコウスカプレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/
宿命
 のデイン・デハーンが、いい役だったのもうれしかったなぁ。彼、10代
の頃のレオナルド・ディカプリオ
に似ていますね。

 そしてなんと言っても、この映画は次兄フォレスト=トム・ハーディのためにあ
ると言っても過言ではない。寡黙で屈強、向かうところ敵なしなのに、女には
何故かオクテ。初めて会った時、に打たれたようにマギーに心奪われたのに、
いつまでも彼女を”見”守るだけうぶな男。もう、このフォレストのキャラクター
が素敵過ぎて
・・・。オトメゴコロを射抜かれた。ジェシカ・チャスティンは、今ハリ
ウッドで一番脂が乗った女優ですね。文句なしに美しい! フォレストとマギー
の会話、聴き惚れます。

欲望のバージニア3

 バージニア州東海岸に接する州だけれど、文化的には南部なのか? 人種
差別
が激しいこともさり気なく描写されている。マギーがやってきたという「シカゴ」
という街の響きからアル・カポネの風貌が浮かび、アンタッチャブルな復讐劇
予感させる。『マディソン郡の橋』 に出てきた、屋根付きの橋が見えるのも面白
い。アメリカの原風景のような埃っぽい田舎町、カントリーでありながらカントリー
っぽくない音楽
、美しく流れるような会話。音楽と脚本を担当したのは、ニック・ケ
イヴ
才人ですね、憶えておこう。

 ( 『欲望のバージニア』 監督:ジョン・ヒルコート/2012・USA/
            主演:シャイア・ラブーフ、トム・ハーディ、ジェシカ・チャステイン
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2013-08-08 : 映画 : コメント : 5 : トラックバック : 15
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欲望のバージニア/シャイア・ラブーフ
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2013-08-08 22:28 : Days of Books, Films
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2013-08-08 22:32 : ラムの大通り
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2013-08-08 22:45 : 佐藤秀の徒然幻視録
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2013-08-08 23:33 : 映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ〜
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欲望のバージニア
監督:ジョン・ヒルコート 出演:シャイア・ラブーフ、トム・ハーディ、ゲイリー・オールドマン 、ミア・ワシコウスカ 、ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラーク、ガイ・ピアース 【解説】 禁酒法時代のアメリカを舞台に、密造酒の業界においてその名をとどろか...
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こんにちは
トム・ハーディが強くて、いい男で、女がほっておかないような男なのに、やけにウブなのが可愛らしかったですね。

アメリカ南部というのは色んな定義があるようで、バージニアは広義の南部に属するけれど、ディープサウスではなく、その周辺州という位置づけでしょうか。でも映画の舞台になっている、海岸から離れた山間部には南部の文化が色濃く残っているようです。
2013-08-08 22:42 : URL : 編集
真紅さん、TB・コメントありがとうございました。
スッポンポンになったマギーを見て
思わず出た・・・「何する気だ。」。
何する気だ、という発想に落ち着く
あんなオクテ男も今じゃ「絶滅種」。
あれもT・ハーディが演るからいいのですがね。
(^ ^)
ラスト、大いにユルユルしちゃいましたが
雰囲気バッチリの良作でしたね。
>アメリカという国の、底
知れぬ「物語層」の厚さを感じる。
そうなんです!それなんですよ~
私はソレに惹かれ続けて今があるんです。

ところで
インド映画「ランショー」
観逃しちゃいました~
かなり高評価だったようですね。
そうですか~とぼとぼ~(残念)


2013-08-09 07:28 : vivajiji URL : 編集
訂正です。
「ランチョー」、でございました。(ぺこり)
2013-08-09 07:37 : vivajiji URL : 編集
雄さん、こんにちは♪ コメント&TBありがとうございます。
そうなんです、もう、トム・ハーディが素敵すぎて。。
今までは出演作品を観ても何とも思わなかったのですが、本作は色気全開でしたね。

アメリカって、東部、南部、中西部、西海岸と地域性も文化も様々で面白いです。
厳密に区分けされているわけでなく、本作の舞台のように中西部と南部のミックスのような雰囲気も面白かったですね。
背景を調べたくなる映画でした。
2013-08-09 13:13 : 真紅 URL : 編集
vivajijiさん、こんにちは! こちらこそコメント&TBありがとうございます。
何する気、、ってわかっとるやろ!!と思わずツッコミを入れてしまいました(笑)。
フォレストが入院した時、「俺たちが守る」って言うとマギーが「WE?」って言うところもよかった~。
俺たちじゃなくてアナタでしょ、という。。。
あ~、もうホント、観てから3日くらいフォレスト熱が出ていました。

やはり、腐ってもハリウッドですね。
アメリカ映画はやはり、懐が大きいと言うか、人材も題材も尽きませんね。
リメイクも多くなってきてますが、こういう映画を観るとホント、すごいな~って思いますね。

札幌では、もう終わってしまったのですね。。『きっと、うまくいく』。
私はとても面白く観ました。勧善懲悪ですけど、うまくできてるな~、と。
また機会があれば是非♪
私も、『ペーパーボーイ』なんとか間に合わせます!
2013-08-09 13:14 : 真紅 URL : 編集
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