グッバイ・マイ・ラブ~『くちづけ』
くちづけ

 かつて人気漫画家だった愛情いっぽん(竹中直人)は、知的障害のある娘・
マコ(貫地谷しほり)
とともに、グループホーム「ひまわり荘」にやってきた。そこ
には、やたらテンションの高いうーやん(宅間孝行)がいて、マコは彼に心を開


 全くノーチェックの邦画だったけれど、なんだか評判がよさそう・・・。堤幸彦
監督
を信じて、いざ劇場へ。

 舞台作品の映画化らしく、物語は全て「ひまわり荘」の中で展開する。パー
ティの準備をしながら、かつてアン・ルイスが歌った名曲「グッバイ・マイ・ラブ」
をひとり口ずさむうーやん。しかし、そこにマコの姿はない

 ※  ※  結末に言及します  ※  ※

 ユーモアギャグにくるみながら、知的障害のある人々を巡る、厳し過ぎる
この社会の現実
が語られる。実際、この映画を観た数日後に、この映画その
もののような「事件」を新聞紙上に見つけ、言葉を失った。

 いっぽんのしたことを、赤の他人が糾弾することはたやすい。正義や道義や、
倫理観を振りかざして。人は何とでも言うだろう、それが「我がこと」でない限
りは
。愛し過ぎてしまうと、冷静に、客観的に状況を把握するのは難しい。特
に、余命を告げられていたいっぽんは、全てに絶望していたのだろうから。

くちづけ2

 貫地谷しほりは苦手だったが、巧い女優さんなんだな、と認識を改める。
理子ママ(麻生祐未)
のような、明るくて厳しくてやさしい、大らかなお母さん
になりたいな。智ちゃん(田畑智子)は強いな、国村先生(平田満)って神様
みたい。そして一番興味を惹かれたのは、作・主演宅間孝行さん。こういう
社会的な題材を選んで、物語を紡いで、自らが演じて・・・。すごい才能の持ち
なんだな、と。でも、彼が主宰していた劇団は、残念ながら昨年末に解散
てしまったらしい。

 ラストシーン、カメラは俯瞰して、天空からひまわり荘を見下ろす。マコといっ
ぽんのが、天国に昇ってみんなを見守っているかのように。そう、きっと天国
で、二人は幸せに暮らしている
よね? それくらいの夢想は、許して欲しいと
思う。現実があまりに厳しく、辛いからこそ。

くちづけ3

 ( 『くちづけ』 監督:堤幸彦/原作・脚本:宅間孝行/2013・日本/
      主演:貫地谷しほり、竹中直人、宅間孝行、田畑智子、橋本愛、麻生祐未、平田満
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