猛獣使い~『君と歩く世界』
君と歩く世界






 DE ROUILLE ET D'OS


 ほぼ無一文の男・アリ(マティアス・スーナールツ)は、5歳の息子サムを抱え、
姉の住む南仏に辿り着く。姉の家に居候し、ナイトクラブの用心棒として働くよ
うになったアリは、マリンランドでシャチの調教師をしている美女・ステファニー
(マリオン・コティヤール)
と出逢う。

 アカデミー主演女優賞受賞以来、ハリウッドでも大活躍。今、世界で一番輝
いている女優の一人、マリオン・コティヤール主演作
美人の代名詞のような
彼女が、私は大好き。フランス語をしゃべる彼女を、久しぶりに観に劇場へ。

 すっぴんでも、ゆがんだ表情でも 美しい人は美しい。本作でマリオン演じる
ステファニーは、美しいだけでなく、強い。しかし、本作は両足を失った女性が
主人公の感動作ではない邦題がミスリードする、ロマンティック・ラブな展開
でもない。セザール賞はじめ、高く評価されている作品のようだけれど、残念
ながら私のツボではなかった

君と歩く世界2

 アリ血と汗を流し、と交わり、自らの肉体が望むままに自分を投げ出す
男。ステファニー。自らの美しさを自覚し、男を誘惑はしても、そこから先に興
味はないと言い放つ女。そんな二人の 「フィジカル」 でいてハードボイルド
な生き方
は、頭でっかちの自分とは何光年も隔たっているような気がする。
愛情がないわけではないことは知っている、しかし幼い息子を邪険に扱うアリ
に、「なぜ引き取ったの?」 と問わずにはいられない姉。私は彼女に共感
てしまう。

 獰猛なシャチ調教していたステファニーにとって、アリの生きる世界は近し
いもの
だったのだろう。殴り合い、痛めつけ合うアリを見つめる彼女のは、愛
というより、親近感に満ちていた気がする。彼女は 「猛獣使い」 なのだから。

 「身体のいいなり」 になって生きる二人。両足を失くした絶望は、自らの身
体が 「機能している」 ことを確認することで癒された。紆余曲折がありなが
らも、共に生きることを選択する二人。ステファニーが、マリンランドのシャチに
別れを告げるシーン
は胸を打つ。

君と歩く世界3

 これは義足を付けたステファニーが新しい人生を歩き始め、めでたしめでたし、
で終わる映画ではない
南仏独特のまばゆい 「光」 と、「闇」 の世界共存
している映画。その南仏と日本との距離ほど、私には遠い映画だった。

 ( 『君と歩く世界』 監督・共同脚本:ジャック・オーディアール
     主演:マリオン・コティヤール、マティアス・スーナールツ/2012・仏、ベルギー)
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