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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅   ★劇場鑑賞した映画はインスタにアップしています@ruby_red66

戦争映画を観る意義~『硫黄島からの手紙』

             20061215121949.jpg

父親たちの星条旗』に続く、クリント・イーストウッド監督による「硫黄島二部作
の第二作。太平洋戦争における日本軍の最重要拠点であった硫黄島での激戦を、
日本側からの視点で描いている。『父親たち~』のラストカットと繋がる始まり方と、
当然ながら対になるシーンが多々あること以外は、全くの独立した作品となっている。

 タイトルが『硫黄島からの手紙』と日本語で出ることにまず驚いた。全編ほぼ日本語
抑えた色彩の画面はまぎれもなく「日本映画」そのもの。美術や台詞にも不自然な部分
はほとんど無く、それだけでもイーストウッドがいかにこの激戦を戦い抜き、命を
落とした日本兵の方々に敬意を払っているかがわかる。勿論、体罰や自決など、目
をつぶりたくなるような負の部分もキチンと描いていたし、下手に美化したり繕っ
たりすることなく、「公平」に徹しようとしているのがよくわかる。

 さらに驚いたのが、この映画がアメリカで非常に高く評価されていること。既にナショ
ナル・ボード・オブ・レビュー、ロサンゼルス映画批評家協会賞の作品賞に選ばれ、
今後も主要映画賞の中核を担うことは確実。『父親たち~』のような、アメリカでポピュ
ラーな題材であるわけでもなく、先に述べたように全編日本語、千人針や憲兵など、
正直「アメリカ人に理解できるのか?」と心配してしまうほどディテールがリアルだった
だけに、これはうれしい驚きだった。この映画の持つ普遍的なメッセージ「敵も味方も
ない、ただ同じ人間である
」これがアメリカ人にも正しく伝わっているのは、戦争反対
と声高に叫ぶことなく、手紙という「個人」が個人に送る言葉を通して、静かに観る者へ
真実を提示しているからにほかならないだろう。

 栗林中将を演じた渡辺謙はそのキャリアからして当然としても、西郷役の二宮和也
清水役の加瀬亮ら、同じ日本人として(なんて言うと国粋主義者みたいだけど)、誇らし
くなるほどの熱演だったと思う。彼らの演技を引き出したイーストウッドの演出に、
感謝の気持ちすら湧いてくる。

 一体、戦争映画がこれほど繰り返し作られ、尽きることがないのはどうしてだろう。
私たちが戦争映画を観る意義とは、何なのか。戦争映画はもう観たくもないと思って
いた。怖いし、涙が出るし、重いし。それでも、どんなに打ちのめされ、心が砕かれ
たように感じようと、自分たちはこの史実を記憶に留めねばならない、目を背けては
ならないのだと思わせてくれる映画がある。考え続けなければならないのだと教えて
くれる映画がある。本当に力のある映画だけが観る者の心の奥深くで静かに共鳴し、
シンパシーを得ることができる
。私にとって、そういう作品とは『麦の穂をゆらす風
であり、この『硫黄島』二部作だった。

忘れない」ことが、死者にとって一番正しい弔いだという。どうか忘れず憶えておこう、
表立って「生きて帰ってくる」と言えなかった時代があったことを。死ぬことが、生きる
ことより尊いとされていた時代があったことを。どんなに生きたくてもそれは許され
ず、「来世で会おう」としか言えなかった多くの若者がいたことを。語り継いでいこう、
絶対に忘れないために。


(『硫黄島からの手紙』監督:クリント・イーストウッド/主演:渡辺謙
           二宮和也、伊原剛志、加瀬亮、中村獅童/2006・USA)
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テーマ : 硫黄島二部作
ジャンル : 映画

2006-12-15 : 映画 : コメント : 15 : トラックバック : 9
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世界が忘れてはいけない島がある。 【関連記事】 「父親たちの星条旗」
2009-08-06 16:47 : Addict allcinema 映画レビュー
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非公開コメント

真紅さん、こんばんは。
ご覧になれましたね。
どちらか片方でももちろんいいけれど、
あんまり時間を空けずに両方を観ると、1+1=2以上のものが得られる作品だったと思います。
1人の監督が、きちんとした意図を持って2作を同時に作ることなど、最初で最後の試みでしょうが、
それが日本の硫黄島だったことを、日本人は感謝しなければなりませんね。
わたしたちは、特に日本のことだから、余計に強く深く感じることができたのだと思ったけれど、
アメリカでの評価が思った以上に高いことが嬉しいです。
…って、自分のことみたいで変だけど。

今年もいろんな作品を観たけれど、
いつまでも心に残る作品が特に多かったですね。
2006-12-15 20:33 : 悠雅 URL : 編集
こんばんは
私も観てきました
館内はやはり年配の方が多かったですね
実際に戦争を体験された方は辛いのじゃないかしら、と思っていたら、回りにいた若い女の子達の嗚咽をこらえる様子の方が多く伝わりました。
真紅さんの仰る、「伝えることの大切さ」はこんなことからでも言えるな、と思いました。

沢山の若い人に観てもらいたいですね
たとえ二宮君目当てでも、井原さん目当てでも(それは私・・・・笑)
いつも熱い獅童さん目当てでも(汗)

監督の伝えたいことが、役者の抑えた演技にこめられてると感じました
「父親たちの星条旗」を先に見てると、かなり繋がるシーンもありましたね

2006-12-15 21:37 : レイラ URL : 編集
悠雅さま、レイラさま、こんにちは。コメントありがとうございます。レスをまとめさせて下さい。

☆悠雅さま
TBもいただきありがとうございます。
2作品観られて本当によかったです。おっしゃる通り本当に、相乗効果というか1+1=2以上のものが感じられました。
かなり贅沢な試みですよね。。スピルバーグ+イーストウッドだから可能だったのかもしれません(ポール・ハギスが「俺も~」って言うかな)。
彼らに感謝、感謝ですね。
今年は心に残る作品が多かったって、悠雅さまも思われます?
私もそう思っていたところだったんです。気のせいじゃなかったんだ、よかった~(嬉)。
来年もいい作品がたくさん観られるといいですね!
そしてまた悠雅さまとお話したいです。ありがとうございました。

☆レイラさま
両方ご覧になったのですね。私の行った劇場は、老若男女入り乱れておりました。ロングランして欲しいですね。
私もできるだけ周りに勧めようと思っています。
伊原さん、私も前から好きだったのでうれしかったです。背が高くてカッコイイ~♪
二宮くんも素のままで役に入っていて、不自然さが全くなかったですよね。
東洋人は若く見えるといいますが、アメリカの観客は彼のこと子どもだと思うんじゃないでしょうか?
今後の彼は要チェックですね。
獅童さんも、損な役でしたけど熱演でした。
またお話しましょうね。ありがとうございました。
2006-12-16 00:51 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、こんばんは。
とうとう2本とも観られたのですね。
1本だけにしようか悠雅さんのブログで迷っていた真紅さんのコメントを拝見しましたので・・・。
でも、そのお気持ちとっても分ります。
楽しむ映画ではありませんし、「麦の穂・・・」を観た後のやるせない気持ちをどこかで引きずっていた状態だったのではないでしょうか?
私は観た作品は前後しますが、やはり切なさでいっぱいになり、続けてこのような傑作が上映された事を少し辛いなと感じてました。
それにしても、主要人物のキャスティングが素晴らしく、びっくりしました。真紅さんがおっしゃるように、ハリウッド映画とは思えないほど、日本人を描いていました。
最後西郷が生き残った事が唯一の救いでしたね。演じていた二宮君も素晴らしかったです。
2006-12-16 01:28 : aki URL : 編集
akiさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうなんです、この2部作はパスしようと思っていたのですよ。
でも、『麦の穂をゆらす風』を観て考えが変わりました。
人間として、目をそらしてはいけない映画なんじゃないかと思ったんです。
今は、2部作とも観て本当によかったと思っています。
キャスティング、よかったですよね。謙さんもさすがだったし・・。
私も、西郷が生き延びるのかどうかが気になって仕方ありませんでした。
彼の最後の表情もよかったですね。
今年は本当に素晴らしい作品に多く出逢えた幸せな一年でした。
akiさんや、皆さまにも出逢えましたし・・。またお話しましょうね、ありがとうございました。
2006-12-16 19:17 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、こんばんは。
けっきょく戦争映画がなくならないというのは、
世の中から戦争がなくならないってことなんですよね。
当たり前のように戦争映画でも観ていますが、
なんかそれってヘンだな、と、
なぜか 『麦の穂~』 の時に感じてしまったんです。
拙記事にかけていただいてありがとうございます。
二宮和也の芝居は、
今どきのコも共感できる感じでよかったですよね。
ではでは、また。
2006-12-20 02:17 : 栗本 東樹 URL : 編集
栗本さま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます。
闘争本能とか暴力衝動とか、結局人間が元々持たざるを得ないんだと最近思いました。
戦争がなくならないのもそういう理由なのかな・・?
でも自ら進んで痛い思いしたり、飲まず食わずで戦ったりしたくないですよね、誰も。
みんな同じ人間なのだから、なんとか折り合いをつけて平和を保って欲しいです。
こちらこそ考えるきっかけを作っていただいて感謝しております。
また遊びにいらして下さいね。ありがとうございました。
2006-12-20 09:20 : 真紅 URL : 編集
素晴らしい二部作
真紅さん、遅くなって申し訳ありません。
自分も「麦の穂を揺らす風」とこの作品を
続けて観たんですけど、どちらも今の時代に
起こっている事へのメッセージとして
今作るべきだと思ったんだろうなって感じました。双方の視点から描くっていう試みは
ありそうでほとんど無かったので、素晴らしい
偉業だと思います^^
この作品ものすごく高評価みたいですね。
日本人ってオリンピックとかワールドカップとか
になるとにわかでも盛り上がっちゃう性質が
あるみたいで(笑) 向こうでナントカ!って
賞を取ればとるほど日本で
ヒットしそうな気がします。
ラストサムライのときもそうでしたし^^

2006-12-21 14:43 : kazupon URL : 編集
kazuponさま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございました。
この作品、ものすごくヒットしているみたいですね。
『父親たち~』とセットで観るのがよりいいとは思いますが、どういう理由であれ多くの人が映画館に足を運ぶことは素晴らしいと思います。
双方の視点から二部作を撮る、ってイーストウッドだから成しえた偉業ですね・・。
俳優さんたちの演技も素晴らしいし、アメリカでも日本でももっともっと盛り上がってほしいですね。
またお邪魔させて下さいね。ありがとうございました。
2006-12-21 15:07 : 真紅 URL : 編集
真紅さま、こんばんは♪
年末になって、普通にTBが飛びました^^;
この映画、まったくイーストウッドには頭が下がります。(実は、監督の作品てちょっと苦手なところもあったんですけど・・)
凄いですねぇ。なんでこんなに日本人の精神世界を描けたのかしら・・と唸ってしまいました。
俳優さん、特に清水、西郷を演じた若い二人が良かったです。
今年は、真紅さまと知り合うことが出来、また色々とお話できて充実したブログ生活を送ることができてシアワセでした♪
来年も、どうぞ宜しくお願いいたします。
2006-12-28 18:34 : 武田 URL : 編集
武田さま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます。
TBはこちらからも飛んだようで、よかったです~。終わりよければ全てよし♪
私もイーストウッド監督の作品、大好き、というわけでもなかったのです。
でも、この2部作は評価されるべきだし、実際評価されているわけで。
今日の新聞にイトイさんの「たくさんの人に観て欲しい」ってコメントが載っていました。
私も本当にただそう思います。日本人として、観ておくべきですよね。老いも若きも。
こちらこそ、武田さまには本当にお世話になりました。
武田さまのような方がこの美しく騒々しい世界に存在していると知っただけでも、ブログを始めてよかったと思っています。
また来年もよろしくお願いします。たくさん語り合えたらうれしいです。
ではでは、ありがとうございました。よいお年を!
2006-12-29 00:59 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、
今頃観ましたよ~!
いやー、私にとっては全く、現在の自分にとって意義のある映画でした!そちらからもTBしてくださいね!
2007-08-10 02:02 : chuchu URL : 編集
chuchuさま、こんにちは。コメント&TBありがとうございます。
いい映画でしたね、イーストウッドに感謝です。
『父親たちの星条旗』もいいので、是非観てみて下さい。
ではでは、後ほどお伺いします~。
2007-08-10 10:22 : 真紅 URL : 編集
TBありがとうございます
真紅様、TBありがとうございます。
私はこの2部作で硫黄島のことを知りました。
おもしろいとか別にして、こんな事があったことを
みんなが知って欲しい、みんなに見て欲しい作品
でした。
ところで、もしよろしければ、相互リンクをお願いできないでしょうか?
とりあえず、リンクを貼らさせて頂きます。
よろしく御願いします。
2007-11-25 21:38 : maimai(映画DVDがそこにある) URL : 編集
maimaiさま、こんにちは。コメント&TBをありがとうございます。
私も恥ずかしながら、硫黄島の戦闘のことはこの映画を観るまで知りませんでした。
広く、多くの方に観ていただきたい作品ですね。
それから相互リンクのお誘い、ありがとうございました。
こちらこそ今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
ではでは~。
2007-11-26 11:07 : 真紅 URL : 編集
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