フロイトとユング、その妻と愛人~『危険なメソッド』
危険なメソッド






 A DANGEROUS METHOD


 1904年。カール・ユング(マイケル・ファスベンダー)の勤務する病院に、錯乱
した女性患者が運び込まれた。彼女の名はザビーナ(キーラ・ナイトレイ)。ユン
グは、と仰ぐフロイト(ヴィゴ・モーテンセン)の提唱する「談話療法」をザビー
ナに試みるが・・・。

 デヴィッド・クローネンバーグが描く、20世紀のヨーロッパが生んだ偉大な
二人の心理学者と、その愛人「危険な」関係史実に基づいた物語。

 クローネンバーグと聞けばどこかおどろおどろしいと言うか、不気味でダーク
な作風
を連想する。本作はそういった「クローネンバーグ風味」は随分と抑え
気味で、20世紀初頭のヨーロッパ中流階級の人々を一見、麗しく映し出して
いる。しかし、彼らが内包する不穏な深層心理が、スクリーンに漂っていると
言えなくもない。

危険なメソッド2

 実はこの作品、物凄く期待していたのですよ・・・。「花婿候補ナンバーワン」
ことヴィゴでしょ、今をときめく最旬の男・ファスベンダーでしょ。キーラの熱演
も凄いと評判だったし、この三人の化学反応をクローネンバーグがどんな風に
導演してくれるのか、と興味津津で。しかし、、少々、寝てしまいました(懺悔)。

 ザビーナのエキセントリックな演技には引き込まれるのだけれど、学者同士
であるフロイトとユングの会話は感情を抑えた長セリフだけに、睡眠誘発剤的
な効果があると言いましょうか・・・。ヴァンサン・カッセルの出演シーン、あまり
記憶にありません(懺悔)。ユングとザビーナの関係に、冷めてしまったところ
もあり。高尚そうな言葉を並べているけれど、結局それって「痴話喧嘩」なんじ
ゃないの? と。

 裕福な妻を持った若きユングは、狭いアパートに暮らすフロイトに対し、優越
を抱いていたのかもしれない。NYに向かう客船で、一人特等客室に向かう
ユングに、選民意識を感じてしまった。彼はプロテスタントであり、ユダヤ系
のはフロイトの方なのだけれど・・・。

危険なメソッド3

 「アーリア人を信じるな」 というフロイトのセリフ、ユングの見た「血の海」 の夢
は、20世紀前半のヨーロッパに起こった二つの世界大戦を想起させる。心理学
や精神医学に明るい人ならば、彼らの専門的な会話を分析して深読みするもよし。
私はただただ、美しい映像に酔うばかりだったけれど。

 ( 『危険なメソッド』 監督:デヴィッド・クローネンバーグ/2011・英、独、加、スイス/
        主演:キーラ・ナイトレイ、ヴィゴ・モーテンセン、マイケル・ファスベンダー
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テーマ:ヨーロッパ映画 - ジャンル:映画

[2012/11/09 11:49] | 映画 | トラックバック(15) | コメント(2) |
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コメント
キーラ・ナイトレイの演技は凄かったですねぇ。自分の中では『レインマン』のホフマンと同レベルですよw。
でも後半は治ったのか普通に戻っちゃって・・(汗)。
彼女は助演女優賞も狙えるw。でも作品賞は無理目だね。
「偉大な心理学者ユングは冠者とSMごっこを楽しみましたとさ」という内容だしw。
クローネンバーグは異形の愛を描くのが一番な監督さんなんでちと肩すかしというか。
[2012/11/10 18:22] URL | ブリ #- [ 編集 ]
ブリさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
キーラ、登場シーンの錯乱ぶりが凄かったです・・・。
いつも思うのは、どうやったらあんな細くいられるのかな? って。
彼女、脂肪ってものがついてないですよね。。
クローネンバーグにしたらおとなしめの作品でしたが、文芸作品として観ればよかったのかな? という感じで。
体調万全で観ればよかったな~、と思ってます。
[2012/11/11 17:15] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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