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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

犬歯 / 塀の中 ~ 『籠の中の乙女』

籠の中の乙女





 DOGTOOTH


 高い塀に囲まれた、プール付きの豪邸。そこには、ある一家が暮らしていた。
両親の奇妙な方針により、長男、長女、次女から成る3人の子どもたちは「外
の世界」
を見知ることなく、郊外の邸宅から一歩も出ること無く成長していた。
ある日、父親は長男のために、クリスティーナという女性を連れて帰宅する。

 カンヌ映画祭「ある視点」部門グランプリオスカー候補にもなったギリシャ
映画
。いや~、久々に「凄い映画」を観てしまった・・・。「凄く変な映画」を。

 これ、変過ぎる。R18+指定だけに、性描写、暴力描写はかなり過激。間違
いなく不条理劇ではあるが、「これ、笑うとこ?(汗)」 と思えるコメディ風味
あり(誰も笑ってはいませんでしたが)。ハネケや、トリアーの映画が好きな方
にはうってつけかも。しかしハネケほど性格が悪くはなく、トリアーほど鬱でも
ない
言いたいことはわかるけど、絶対に友達にはなりたくない。そんな映画
です。一見の価値はあり?

籠の中の乙女2

 この狂った両親は、子どもたちを「純粋培養」しているつもりなのだろう。しか
し一体、何のために? 冗談としか思えない国語教育。雲ひとつない、作り物
めいた青い空
。子どもたちの虚ろな瞳。しかし、実は彼らは「子どもたち」なんて
呼べない年齢
だ。特に長男、長女は「おじさん」「おばさん」にしか見えなかっ
た。名前も与えられていない彼らは、一体いくつなんだろう? どれほどの年月、
あの邸に閉じ込められているのか
。そしてあの両親は、彼らを一体どうしたいの
だろう?


 レンタルビデオ「世界」を知り、自ら犬歯を折った長女は、トランクの中で何
を思うのか。確かに、この「世界」薄汚れていて恐ろしいところだ。狂っている
のは、トランス状態でダンスする長女ではなく、あの両親のはずなのに・・・。

 長女が消えた後、満足げな微笑みを浮かべながら、ベッドで抱き合う長男と
次女
。彼らが「幸せそうに」見えてしまうことがまた、恐ろしい

籠の中の乙女3

( 『籠の中の乙女』 監督・製作・共同脚本:ヨルゴス・ランティモス/2009・ギリシャ)
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テーマ : この映画がすごい!!
ジャンル : 映画

2012-09-21 : 映画 : コメント : 6 : トラックバック : 6
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『籠の中の乙女』 (2009) / ギリシャ
原題: DOGTOOTH 監督: ヨルゴス・ランティモス 出演: クリストス・ステルギオグル 、ミシェル・ヴァレイ 、アンゲリキ・パプーリァ 観賞劇場: シアターイメージフォーラム 公式サイトはこちら。 第62回カンヌ国際映画祭“ある視点”部門でグランプリを受賞し、...
2012-09-22 05:15 : Nice One!! @goo
籠の中の乙女
ギリシャ郊外。 四方に高い生垣をめぐらせて建つ1軒の豪邸。 その家では絶対的な存在である父親と従順な母親によって長女、次女、長男の 3人の子供たちは外部との関わりを一切絶ち、家族だけの生活を送っていた。 家族の数だけ家族のルールは存在する。 しかし...
2012-09-22 23:00 : 龍眼日記 Longan Diary
籠の中の乙女
Dogtooth2009年 ギリシャ 監督:ヨルゴス・ランティモス 出演:クリストス・ステルギオグル    ミシェル・ヴァレイ    アンゲリキ・パプーリァ    マリー・ツォニ    ...
2012-10-06 00:13 : 菫色映画
籠の中の乙女
映画で崩壊する“ベルリンの壁” 公式サイト。ギリシャ映画、原題:Kynodontas。英題:Dogtooth。ヨルゴス・ランティモス監督、クリストス・ステルギオグル、ミシェル・ヴァレイ、アンゲリ ...
2012-10-26 09:56 : 佐藤秀の徒然幻視録
映画評「籠の中の乙女」
☆☆☆★(7点/10点満点中) 2009年ギリシャ映画 監督ヨルゴス・ランティモス ネタバレあり
2013-06-13 20:09 : プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
籠の中の乙女
この作品がアダルト扱いされている事にびっくりです。 世の中の汚らわしきものの影響から守るため、両親は外の世界がいかに恐ろしいかを様々な形で信じ込ませ従順な子供たちはそれに従って成長していた。よってそこでは全く風変わりな文化が培われた。それが最も現れた場面が、ジャケット画像の直後に姉妹によって演じられる変なダンス。これがまー印象強かった。特に、途中から長女が一人で踊りだすダンスには、もの凄く...
2013-12-17 08:55 : いやいやえん
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これ、最後もうひと押しあったらなあ・・・って思ったんですよね。あれでも悪くはないんですけど。
もっと毒が欲しかった(あれ以上? 笑)
じゃないと、パズルのピースが何となく最後に足りないような気がしてしまうのです。
2012-09-22 05:17 : rose_chocolat URL : 編集
rose_chocolatさん、こんにちは! コメント&TBありがとうございます。
↑記事にも書いたのですが、この映画ハネケほど徹底してないというか、底意地の悪さ極まれり、って感じではなかったですよね。
そこが、「詰めの甘さ」と感じられたのかもしれませんね。
何というか、、、ホント変な映画でした(内容が)。
2012-09-22 13:00 : 真紅 URL : 編集
感想を書くのもしんどい作品でした
真紅さん、こんばんは。
いなくなった長女を探すために長男は犬の鳴き声を上げ、
次女は「ブルース~!」と呼ぶシーン。
ここで私は思わず噴き出してしまいました。
誰も笑っていなかったですが。(笑)
>長女が消えた後、満足げな微笑みを浮かべながら、ベッドで抱き合う長男と
次女。彼らが「幸せそうに」見えてしまうことがまた、恐ろしい。
この2人の姿が両親と重なってもしかして両親の関係も・・・
なんて考えてしまった私です。
2012-09-22 22:54 : sabunori URL : 編集
sabunoriさん、こんにちは! コメント&TBありがとうございます。
そうなんです、この映画誰も笑わずシーンと観ていたのですが、結構笑えるシーン多かったですよね?
乙女のダンスはもちろんですが、父親の歌詞「超訳」とか、四つん這いになっての「わん!わん!」とか。
あのラスト近くの長男と次女のシーンは、ちょっと意味深ですよね。なるほど、あそこから連想されたのですね~。

ところで、少し前からエキブロさんにTBが飛ばなくなっているようです。
残念ですがコメントには伺いますので、今後とも変わらずよろしくお願いします~。
2012-09-23 09:53 : 真紅 URL : 編集
こんにちは。
『夢売るふたり』のことで真紅さんと語りたい、と書いたものの、自分の考えがなかなかまとまらずに結局おじゃまできませんでした~。

こちらの作品は、ほんっと変な映画でした。
あの家庭ができあがる理由とか背景がいっさい描かれていないのが不気味でしたね。
ハネケとトリアーを想起させるというのは納得です。
あの独特のイヤ~な感じが醸し出されていました。
家に残った長男と次女は、何も知らない彼らなりに「幸せ」に暮らしていくのでしょうか。
長女がトランクから出るのか否か、明確にならないラストが憎いです。

あ、この映画についていた予告『マーサ、あるいはマーシー・メイ』はご覧になりましたか?
なんだかもの凄く面白そうで、今から公開が楽しみです♪
2012-10-06 00:13 : リュカ URL : 編集
リュカさん、こんにちは~。コメント&TBありがとうございます。
『夢売るふたり』、映画賞ではどう評価されるでしょうね?
あ、もちろん日本アカデミー賞以外の、ですが(笑)。

で、この映画ですが、、、。
実は、リュカさんが前売りを買った?か何か記事を書いてらして、それで興味を持ったのですよ。
それまでは全くノーマークでした。
ほんと変な映画でしたね。。今年観た中では1,2を争うインパクトでした。
ラストも、トランクをじーーっと映し続ける、っていうのが不気味でしたね。

『マーサ、あるいはマーシー・メイ』もちろん予告観ましたよ~。
はい、ものすご~く惹かれました♪ ティアドロップ出てたよね『ウィーンターズ・ボーン』の。
(あの俳優さん、私の中では一生ティアドロップで名前覚えられないかも^^;)
めちゃめちゃ楽しみです。ぐふふ
2012-10-07 06:04 : 真紅 URL : 編集
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