甦る伝説~『メリエスの素晴らしき映画魔術』 『月世界旅行』

LE VOYAGE EXTRAORDINAIRE
LE VOYAGE DANS LA LUNE
「映画創作の父」 と呼ばれるジョルジュ・メリエス。2001年、長きに渡り失
われていた彼の傑作『月世界旅行』 のカラー色彩版プリントが、スペインで
発見された。傷ついたフィルムを修復する人々と、メリエスの映画に魅せられ
た映画人たちのインタビュー映像で構成されたドキュメンタリー。そしてリスト
アされて現代に甦った『月世界旅行』 が同時上映されている。
ジョルジュ・メリエスのことは寡聞にして、昨年公開のマーティン・スコセッシ
作『ヒューゴの不思議な発明』 を観るまで全く知らなかった。あの映画で描
かれていたメリエスの半生が、ほとんど実話だったとは・・・。事実は小説より
も奇なり、とは正にこのこと。


「究極の映画ヲタク」スコセッシ、「永遠の12歳」ミシェル・ゴンドリー、「フラ
ンスの三谷幸喜(?)」ミシェル・アザナヴィシウスら、みんなみんな、ジョル
ジュ・メリエスの遺伝子を引き継ぐ子どもたちなんだと思う。そして、修復作業
に関わっていた人たちの、なんとも活き活きしたいい表情! 本当に映画を
心から心から愛しているんだな、って感じてうれしくなる。気の遠くなるような、
忍耐と注意深さを要求される修復作業。「狂気の沙汰」だとやっている本人
が言うくらいだから、本当に過酷な作業だったのだと思う。彼らにとって 『月
世界旅行』 カラー版は「聖杯」であり、どうしても救い出すべき至宝だ、とい
う使命感に駆られていたのだろう。

修復を終え、『月世界旅行』 は110年ぶりに甦り、映画ファンの前に現れた。
シネ・ヌーヴォXの小さな小さなスクリーンでも、この作品を映画館と呼ばれる
場所で観られたことに感無量。同時に、この映画に登場する人たちが、もう誰
一人この世にいないのだ、と思うと不思議な気分。月世界人はバルタン星人
そっくりで、笑えたのでした。 サンキュー、サンキュー、サンキュー!
( 『メリエスの素晴らしき映画魔術』 監督:セルジュ・ブロンベルグ、
エリック・ランジュ/2011・仏
『月世界旅行』 監督・製作・脚本:ジョルジュ・メリエス/1902・仏)
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『メリエスの素晴らしき映画魔術』は、映画創世記の巨人、トリック撮影の大家、SF映
2012-09-22 01:07 :
大江戸時夫の東京温度
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2011年フランス映画 監督セルジュ・ブロンベール、エリック・ランジュ
ネタバレあり
2013-03-06 15:04 :
プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
コメントの投稿
真紅さん、こんばんわ。
モノクロ版ではありましたが『月世界旅行』は1月に群馬の美術館で1900年前後のモンマルトル文化を紹介する展示に行ったときに目にすることができました。
そのときには「これが100年前の映画か~」くらいの感覚でしたが、その1ヶ月後くらいにヒューゴ旋風が起きたときに、話が繋がりました。
現代の世界では当たり前のことでも、ほんの100年前の人は月には重力があるとは考えなかったんだなぁとか、当時の人がどのように月への旅行を考えていたのかを知ることができたのが興味深かったです。
モノクロ版ではありましたが『月世界旅行』は1月に群馬の美術館で1900年前後のモンマルトル文化を紹介する展示に行ったときに目にすることができました。
そのときには「これが100年前の映画か~」くらいの感覚でしたが、その1ヶ月後くらいにヒューゴ旋風が起きたときに、話が繋がりました。
現代の世界では当たり前のことでも、ほんの100年前の人は月には重力があるとは考えなかったんだなぁとか、当時の人がどのように月への旅行を考えていたのかを知ることができたのが興味深かったです。
cynthiaさん、おはようございます。コメントありがとうございます。
>群馬の美術館で1900年前後のモンマルトル文化を紹介する展示
うわ~、そんな展示があったのですね~。。。
15分くらいの短い作品ですが、これは映画史に残る傑作ですね。
出てくる女性の脚の美しさ(長くてまっすぐ!)も印象的でした、、ってどこ観てんねん、って話ですが(笑)。
帰還するときの状況は同じだ、ってトム・ハンクスが語ってましたね。
100年前か~、人は死ぬけどフィルムは残るんですよね。
これって何気に凄いことだと思います、素晴らしいです。
>群馬の美術館で1900年前後のモンマルトル文化を紹介する展示
うわ~、そんな展示があったのですね~。。。
15分くらいの短い作品ですが、これは映画史に残る傑作ですね。
出てくる女性の脚の美しさ(長くてまっすぐ!)も印象的でした、、ってどこ観てんねん、って話ですが(笑)。
帰還するときの状況は同じだ、ってトム・ハンクスが語ってましたね。
100年前か~、人は死ぬけどフィルムは残るんですよね。
これって何気に凄いことだと思います、素晴らしいです。