第七芸術彷徨~『ミニシアター巡礼』
ミニシアター巡礼

 自らもミニシアター(BOX東中野、2003年4月閉館)経営していた著者
が、北海道から沖縄まで、全国12のミニシアター「巡礼」。 映画を愛し、
あの「暗闇」を守り続ける人々に取材したノンフィクション。

 映画のために、映画を求める観客のために、ミニシアターに人生を捧げ
た人々の言葉
には、映画好きの端くれとして何度も胸が熱くなった。映画
ファン必読の書


 「どんな貧乏してもやりますっていう人以外に、映画館はやれない」

 シネコンが隆盛、「ミニシアター冬の時代」 と言われる今。逆風の最中
で、儲けや私利を求めず、小さな劇場を守り続ける人々がいる。
 映画を紹介したい、映画が観客と出逢える場所をなくしたくない。彼らの、
その熱く真摯な志に頭が下がる。

 シネコンの繁栄でミニシアターの経営が立ちいかなくなっているのは事
実でも、彼らはシネコンを敵視しているわけではない。むしろ、ミニシアタ
ーを追い詰めているのはミニシアター自身である
、という発言もある。

 映画を純粋に「娯楽」として観るならば、シネコンだけでも十分かもしれ
ない。しかし、映画を「芸術」であり「文化」だと捉えるならば、ミニシアター
の灯
が消えていいはずがない。

 非日常空間としての「あの暗闇」 に、私も何度も助けられた。そしてこ
れからも、映画館に通い続けるだろう。それは現実逃避なのかもしれない、
しかし私にとっては、人生において絶対に必要な時間なのだ。

 三重の進富座、大分のシネマ5、そしてユーロスペース。 私もいつか
「巡礼」の旅をしてみたい。そして今まで映画からもらったものの何十分
の一でも、恩返しができたら、と思う。

 ( 『ミニシアター巡礼』 代島治彦・著/2011・大月書店)
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[2012/05/15 08:37] | 読書 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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コメント
こんにちは。
最近本ご紹介いつもありがとうございます。

「ミニシアターが潤っていた時代なんて
果たしてあったのだろうか!?」
当地「蠍座」館主:田中次郎さんがかなり以前
地元新聞コラムで書かれていたのを
思い出しました。

~むしろ、ミニシアターを追い詰めているのは
ミニシアター自身である、という発言もある。~
どういう部分で“追いつめている”のか、
ずっと以前から私もそう感じている節があるので
著者のいわんとしているところを確認して
みたい気持ちもありますね。

シネコンはシネコンで別にいいんです。
あれはあれで必然的にうまれたものですから。
ただ、映画はひっそりと暗闇の中に自分を
埋没させる貴重な時間であることは
確かなわけで、願わくば、ゆるぎなく静かに
佇んでいるような空間、いつも変わらず
そこにあるという一種の贅沢空間、
それらを我々映画ファンには残しておいてほしいと。


[2012/05/16 06:58] URL | vivajiji #kzLu3bv6 [ 編集 ]
vivajijiさん、おはようございます! コメントありがとうございます。
札幌にもミニシアターがいくつかあるのですよね。
この本では「シアターキノ」が紹介されていました。

私たちはシアターを訪れる(観る)側ですが、迎える(観せる)側の方々の考えが聞ける貴重な本だと思いました。
観る方は、あーでもない、こーでもないって勝手なこと言ったり書いたりするわけですが(笑)、シアターの方の言葉ってなかなか聞く機会がないですよね。
映画を観終わって、スタッフの方に「ありがとうございました」くらいは言えても、お忙しそうだからお話は遠慮しますし。。

>シネコンはシネコンで別にいいんです
同感です。私も正直、シネコンで映画を観ることのほうが多いですし。

>ただ、映画はひっそりと暗闇の中に自分を埋没させる貴重な時間
全く同感です。そして著者は、シネコンの暗闇とミニシアターの暗闇は違う、と書かれています。

この本、地元図書館の新入荷本の棚で見つけたんです。
我が図書館もなかなかやるの~、と思いました(笑)。
姐さんに是非読んでいただきたいです。是非是非。
[2012/05/16 08:16] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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