ブエノスアイレス・アフェア~『金米糖の降るところ』
金米糖の降るところ

 アルゼンチン日系移民二世として生まれた、佐和子ミカエラ。姉の佐和子
は留学した東京で結婚し、妹のミカエラは一人娘のアンジェラ故郷で暮らして
いた。

 ボーイフレンド「共有する」ことをルールとして育った美しい姉妹。佐和子が
達哉と出逢い、ミカエラとの「共有」 を初めて拒否した日から、姉妹の関係は
微妙に揺らぎ始めていた。そして、20年の後--。

 「一番好きな作家は?」 と訊かれたら、迷わず「村上春樹」 と答える。じゃ
あ、次に好きな 「今ハマっている作家」 は? 村上龍だったり、山田詠美
ったり、島本理生だったり。今は川上未映子だけど、江國香織だったときもあ
った。彼女の作品には、江國ワールドとでも呼べそうな独特の世界が、ページ
を開くといつもそこにある。危うくて儚げだけれど、悪意と冷淡さも潜めている、
大人のための童話の国のような。

 本作の主人公、佐和子とミカエラ姉妹も、そんな不思議の国の住人だ。その
精神構造理解不能で、あり得なくて身勝手過ぎて開いた口が塞がらない。
それでも、一刻も早くページをめくろうと指は勝手に動き、目は続きを追うこと
を止められない
。江國香織は、読書「幸福な避難場所」 と呼んだ。とことん
共感できない主人公たち
にどれほど反感を抱こうと、私にとってかけがえのな
「至福の時」 を与えてくれるのが、江國香織という作家なのだった。

 ( 『金米糖の降るところ』 江國香織・著/小学館・2011)
関連記事
スポンサーサイト

テーマ:本の紹介 - ジャンル:小説・文学

[2011/12/10 10:15] | 読書 | トラックバック(0) | コメント(0) |
<<「武」 をもって 「禅」 を修める~『新少林寺』 | ホーム | アドベンチャー・ワールド~『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』 【2D・吹き替え版】>>
コメント
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
http://thinkingdays.blog42.fc2.com/tb.php/1167-7d042498
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
真紅のthinkingdays


いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪

Recent Entries

Categories

What's New?

真紅

Author:真紅
Every cloud has a silver lining.

Recent Comments

Recent TrackBacks

Archives

My Favorite

Search this site

RSS

Thank You!