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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

永遠の定番・オースティンの世界~『プライドと偏見』

20061120094425.jpg

 ジェーン・オースティン原作『高慢と偏見』の映画化。18世紀のイギリス中流家庭
を舞台に、5人の姉妹が繰り広げる、恋と結婚の顛末。製作は「作る映画に外れナシ
ご存知ワーキング・タイトル

 ちなみに、私古典ドラマとかコスチュームものって苦手なはずだったのですが、観
始めてからそのことを思い出しました。でも何の違和感もなく物語に入って行けたし、
すごい既視感。ああ、これは『いつか晴れた日に』の世界なんだ・・、原作者が同じね、
と気付きました。女ばかりの中流家庭、手紙を書き、姉妹が寝室で恋のおしゃべりに花
を咲かせ、来客が来れば大慌てで自然な態度を装い、プロポーズに泣く・・。全く同じ
世界
です。エマ・トンプソンにはエンドロールでSpecial Thanksが!

★以下ネタバレします★

 18世紀、イギリス中流家庭の女性って、つくづく大変だったのですね。相続権はな
く、働くなど論外、生きる術は結婚が全て
家柄と財産で値踏みされ、舞踏会で血眼
になっていい男を捜す
悲惨な境遇ですが、お金持ちやかっこいい将校たちにキャア
キャア言っている彼女たちを観ていると、現代の女性も精神的にはそう変わらないな
と思ってしまいます。「医者、弁護士、ヤンエグ死語)」「高学歴、高収入、高身長
男性にこんな理想を求めている時代が、ちょっと前にもありました(今もかな?)。

 ヒロインはキーラ・ナイトレイ嬢扮するエリザベス(リジー)・ベネット。勝気で
行動的、あの時代でも自分の意志と理想を持った、当時としては新進の気質ある女性
です。キーラは『パイレーツ』シリーズでも役名エリザベス、今がまさしくの女優
さんとして、光り輝く美貌と演技を魅せてくれました。
 そのリジーの恋のお相手となるMr.ダーシーマシュー・マクファディン。この方
は初見ですが・・。う~ん、「どうしてこんなにいつも眉間に皺寄せて、苦しそうな表情
なんだろう?
」と思って観ていたのですが、あれは彼の「高慢さ」を表現していたのです
ね、全然気付きませんでした(笑)。朝靄の中、歩いてくる彼のシャツがはだけて、胸毛
が見えるのにはすぐ気付いたのですが。
 他のキャストも、娘の結婚しか頭に無い、ちょっと品が無さ過ぎる母親をブレンダ・
ブレッシン
、そんな妻と年頃の娘たちに囲まれて引き気味の、それでも愛情深く見守
る父親
ドナルド・サザーランド。ベネット家の末娘で、一番先に結婚していくリディア
ジェナ・マローン、という安心して観られる役者さんが揃っています。特にドナルド・
サザーランドの、リジーへの思いが溢れ出すラストシーンの演技は素晴らしい。思わ
ずもらい泣きしてしまいました。

 しかし、一番印象に残った役者はというと・・。ディム・ジュディ・デンチ様

20061120094505.jpg

一言いいですか? キャサリン夫人、怖過ぎ(笑)。夜中、アポ無しで訪問して来るその
傍若無人ぶり。リジーに甥のダーシーと付き合うなと迫る(脅す?)その様は鬼の形相
というか昔懐中電灯を顔の下から当てて「お化け~」と遊んだ日々が甦ります。並みの
女優なら、ちゃぶ台をひっくり返して降板しそうなカットです(イギリスにちゃぶ台はない
と思いますが)。さすが、爵位を持つ大女優!根性据わってます。貫禄の演技でした。
 リジーとダーシーは結ばれるわけですが、こんな大姑がいたらリジーは苦労するなぁ、
といらぬ心配をしてしまうのでした。あんな啖呵切ってるし、結婚しても絶対「ミセス・
ダーシー」とは呼んでくれなさそう、「ミス・エリザベス?」とか言われてそう、嫌味
全開
で(笑)。

 同一原作で、1995年にBBC製作でドラマ化された『高慢と偏見』は一大ブームを起こ
し、放送時間には女湯が空になるほどの人気だったそうです(イギリスに銭湯はないと
思いますが)。原作は当分未読だと思いますが、こちらは是非観たいと思っています。
コリン・ファースが観たいんですよ、早い話(笑)。

(『プライドと偏見』監督:ジョー・ライト/主演:キーラ・ナイトレイ
         マシュー・マクファディン、ジュディ・デンチ/2005・英)
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2006-11-20 : BD/DVD/WOWOW/Streaming : コメント : 11 : トラックバック : 6
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非公開コメント

TBありがとう。
「いつか晴れた日に」でも、最後のほうに、ジュディ・デンチって、出ていませんでしたっけ。
2006-11-20 11:26 : kimion20002000 URL : 編集
kimionさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
『いつか晴れた日に』、ジュディ・デンチは記憶にありませんが、いい作品ですよね。
月末に廉価版DVDが出るので、購入を迷っているところです。
「期間限定出荷!」とか言われると、弱いです(笑)。
ではでは、また遊びにいらして下さい。ありがとうございました。
2006-11-20 13:19 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、こんばんは。
いつもTBとコメントありがとうございます。
こちらからも、と思って何度か送ったのですが
どうもTBの調子が悪いようで、届かなくてごめんなさい。

初見の方で、このMr.ダーシーに真紅さんほど素っ気無い方は珍しいかも(笑)
これで人気が高くなったようなのですよ。
ジュディ・ディンチ、怖かったですねぇ。
確かに、めちゃくちゃ煩い伯母が近くに居るなんて、ヤダ!
ブレンダ・ブレシンもドナルド・サザーランドも期待通りで嬉しかったです。
ちなみに、わたしも『いつか晴れた日に』のDVD購入するつもりです。
本編はTV放送を録画してあるけど、コメンタリが欲しくて…

ところで、真紅さん。
もしよければメールください。アドレス書いておきました。
2006-11-20 23:17 : 悠雅 URL : 編集
悠雅さま、こんにちは。コメントありがとうございます。
TBも試みていただいたようでありがとうございました。お手数かけてすみません。
さて。え~、世間ではこのMr.ダーシーが「素敵~♪」ということになっているのでしょうか??
わかりません・・。私には「ミスキャスト」以外の何者でもなかったので(笑)。
彼は「高慢」と言うより「人見知り」ですよね。
と言うか、『ブリジョ』でのコリン=Mr.ダーシー・ファースのイメージが強いので・・。
『高慢と偏見』観てないのに。¥500の名作シリーズ買おうかな。
『いつか晴れた日に』これはチャンスですよね~、安い!特典映像付きなのがうれしいです。
ではでは、さっそくメアドのほうにアクセスさせていただきますね!ありがとうございました。
2006-11-21 03:11 : 真紅 URL : 編集
コメントありがとうございます。わざとTBしなかったのですか?それとも出来なかったの?こちらからTBいたしますが、良いかしらん??
2006-11-22 06:26 : チュチュ姫 URL : 編集
チュチュ姫さま、こんにちは。コメント&TBをありがとうございました。
TB、できなかったんですよ~。コメントは残せるようになってありがたいんですが、TBは不調なことが多いですよね。
またしつこくトライしてみますね。今後ともよろしくです。
2006-11-22 12:50 : 真紅 URL : 編集
ジェイン・オースティンの小説は今から200年近くも前のものなのに今読んでも少しも違和感がありません。人間観察の確かさには驚きます。逆に言えば、200年たっても人間の考えや行動は基本的に変わらないのですね。

映画化作品も優れて物が出てきました。中でも「いつか晴れた日に」と「プライドと偏見」は水準の高い作品ですね。

ジュディ・デンチは本当に憎たらしいほど怖い。「ラヴェンダーの咲く庭で」で若い男性にほれてしまう繊細な老婆役と同じ人とは思えません。大女優たる所以ですね。

勝手ながら僕のブログの「お気に入りブログ」に加えさせていただきました。これからもよろしくお願いいたします。
2006-11-27 19:17 : ゴブリン URL : 編集
真紅さま、こんばんは♪
コリン・ファースが出演していれば、良かったですね~。でも、キーラ・ナイトレイの好演と田園風景や広大な屋敷内外の撮影が好きで、この映画は今年のベスト10に確実に入ります☆
2006-11-27 22:07 : パフィン URL : 編集
ゴブリンさま、パフィンさま、こんにちは。コメントありがとうございます。レスをまとめさせて下さいませ。

☆ゴブリンさま
私は小説のほうは未読なのですが、読んでみないといけませんね!
今、BBC版の『高慢と偏見』を観ているところなのですが、登場人物の顔がものすごくクラシックです。
面白くて、イギリスで女湯がカラになった(笑)のもわかる気がします。
『プライドと偏見』はまさに「21世紀版」という感じですね。
『ラヴェンダーの咲く庭で』は似たような事件があったお話ですね。未見ですが『グッバイ・レーニン!』の男の子が出ているのですよね?これも観てみたいと思います。
尊敬するゴブリンさまのお宅で「お気に入りブログ」に入れて下さったとは・・。このようなブログでよろしいのでしょうか?
すっごくうれしいのですが、恐縮です。こちらこそ今後ともよろしくお願いしますね。
ありがとうございました。

☆パフィンさま
私の提案はお役に立ちましたでしょうか。贈り物って迷いますけど、選んでいるときは楽しいですよね♪
おお、パフィンさまはこの作品お気に入りなのですね!確かに、イギリスの田園風景やお屋敷は素晴らしかったですね~。。
オールロケなのですよね、行ってみたくなりました。
また遊びにいらして下さいね。ありがとうございました。
2006-11-28 05:49 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、TB感謝です♪

記事、楽しく拝見したですよ。
うん、確かにエゲレスには「ちゃぶ台」や「銭湯」はなさそうですな(笑)。

マクファディン、いつもいつも苦々しい顔してましたが、
ああいうのは典型的な「むっつり助平」と、
男界の世評では決まっております。
もしくは、慢性の便秘症ですな(笑)。

デンチ、本当に恐かった。
「007」の新作でも、凄みを発揮してるのかな?(笑)
2006-12-01 17:01 : カゴメ URL : 編集
カゴメさん、こちらにもコメント、感謝です♪(真似してみました)
マクファディンさん、そうか便秘だったのか・・。
『007』は自分の意志では観たことないのですが(親がつけてる『日曜洋画劇場』とかでしか目にしたことがない)、今回初めて観に行こうかナ?と思っておりますよ。
「じゃがいも顔」と酷評されてたダニエルさんがどれくらいカッコイイか、確認したいです。
おっと、話がそれましたが、カゴメさん、腰は大丈夫ですか?お大事に。
ではでは、私もまたお伺いしますね。ありがとうございました~。
2006-12-01 19:24 : 真紅 URL : 編集
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