No Border サッカーは世界と繋がる~『オシムの言葉』
 Jリーグがスタートして多くの日本人が俄かサッカーファンになった時、赤い
ユニをまとった金髪の妖精に魅せられた。ピクシー;ドラガン・ストイコビッチ
彼の半生を描いた『誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡』、彼を生んだユーゴ
サッカー、バルカンの歴史と現状を公平な目線で綴った『悪者見参 ユーゴ
スラビアサッカー戦記
』、そして本書が木村元彦氏のユーゴサッカー三部作
である。

 旧ユーゴスラビア。5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字を内包
する多民族融和の国がかつてあった。そしてそこは美しいサッカーと才能溢れる
タレントの宝庫でもあった。90年代の内戦を経てユーゴは解体するが、その最後を
知る元代表監督がオシムである。90年イタリアW杯、PKを外して敗れはしたが
ユーゴサッカーが、ピクシーが最も輝きを放った時の監督が、オシムなのである。
 ジェフの監督で、語録がちょっと話題の人、くらいの気持ちで読み始めたが、
すぐに5年以上前に読んだ前2作が思い出され、しばし感慨に耽る。

サッカーは世界の言語」と言われるが、私にとっては世界に繋がる窓だ。
もしサッカーというスポーツがなかったら、Jリーグがなかったら、遥か彼方
バルカンの歴史や現状に思いを馳せることがあっただろうか。たった一人の
サッカー選手に魅せられることで、多分一生訪れることもない、言葉を解する
こともない国を知ろうとする自分がいる。木村元彦というジャーナリストの
情熱によってその想いは叶えられ、ピクシーが日本を去っても彼のプレー、
彼の国への想いは私の胸に残る。

 そして今、日本にはオシムがいるのだ

 彼は強い人間だ。天性の頭脳、指導力、ユーモア。彼を作ったのがバルカンの
過酷な環境と歴史であることは皮肉だが、運命が彼を極東の地に誘い、新しい
サッカーが生まれようとしていることを喜ぶのははしたないことだろうか。
こうなったら、青いドレスのオシム・ジャパンを見てみたいと思う。それは
贅沢すぎる、しかし叶わずにはいられない夢だ。

もうすぐ、06ドイツW杯が始まる。

(『オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える』2005
 『悪者見参―ユーゴスラビアサッカー戦記』2000
 『誇り―ドラガン・ストイコビッチの軌跡』1998・木村元彦著・集英社)
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テーマ:サッカー - ジャンル:スポーツ

[2006/03/10 02:46] | 読書 | トラックバック(0) | コメント(3) |
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コメント
真紅さん、こんにちは。
コメントを頂いていたのにこちらに伺うのがたいへんも遅くなってしまい申し訳ありませんでした~。
わたしはサッカーのことはほとんど知らないのですが、
>多分一生訪れることもない、言葉を解することもない国を知ろうとする自分がいる
この真紅さんのお言葉は非常によく理解できます。わたしの場合はやっぱり映画からなのですが、スポーツだけでなく映画も‘世界共通の言語’なんだーとこじつけたりして。、どうでしょう?(こじつけはわたしの得意技なので・・・。むふ。)

そしてオシム氏が監督に就任されるのですか???おめでとうございます~、真紅さん。これを機会にわたしもこれからはサッカーにもアンテナ伸ばしてみるかも?です。それではこの辺で。
[2006/06/26 21:42] URL | かいろ #- [ 編集 ]
真紅さん、

今朝のオランダvsポルトガル戦はご覧になりましたか。真紅さんオランダ好きなんですよね。ごめんなさいっ 私は今回Cロナウドに惹かれてポルトガルを応援してしまいました。彼は負傷交替したけど、いや、しかし眠気を吹き飛ばすすごい試合でしたね。審判もいろいろ言われてますが。根がチンピラな私は大荒れ試合に結構興奮してしまうんです。こんなこと言うと真紅さんに引かれてしまうかしら(汗)

日本とクロアチアの試合の前、オシム監督がTVでコメントしていたのが印象的でした。クロアチアの人達は週末のサッカーを楽しみに毎日働くって。生活の中でそれだけが楽しみだと。

長いこと、クロアチアは安住の地ではなく、ユーゴ連邦内の共和国になり、最初は戦火を、そして貧しさを逃れ、大勢のクロアチア人が祖国を追われて。彼らのように世界に散らばった多くの民族の思いを抱えて戦うクロアチアに、日本は絶対勝てないんじゃないかと思っちゃったもんです。
オーストラリアにもクロアチアから移住した人達は多く、実際オーストラリア代表の中にもクロアチア系の選手がいるとか。そう考えるとオーストラリアvsクロアチアも、ドイツvsポーランドに負けず劣らずドラマチックなカードだなと。
Wカップがなければ旧ユーゴの歴史にこんなに興味を持つこともなかったかも・・まさに真紅さんのおっしゃる通り「サッカーは世界と繋がる」ですね。
[2006/06/27 02:15] URL | ぽち #- [ 編集 ]
かいろさん、ぽちさん、コメントありがとうございます。まとめてのレスで失礼します。

☆かいろさん
いえいえ、このような古~いエントリに誘導してしまいすみません。
そうですね、映画は総合芸術なので、『世界共通』だと思います。優れた作品は国境を越えますね。
皆が芸術やスポーツに惹かれるのは、世界と繋がることができるから、という側面もありますよね。
BBMでジェイクにはまって、彼のしゃべる英語を理解したいと思うし、ワールドカップに聞いたことのない国が出場したら地図帳を開きます。
オシムが代表監督就任するかはまだ決定ではないけれど、日本サッカー協会幹部の方もこの本を読んで、私と同じ思いでいたのかと驚きました。
サッカーにアンテナ伸ばすなら、この本是非読んでみて下さい。面白いですよ。
ではまたお話しましょう。ありがとうございました。

☆ぽちさん
オランダvsポルトガル、前半だけ観ましたが、オランダ敗れるとは・・・。あの後大変なことになったようですね。
オランダ好きになったのは、98年フランス大会からです。あの時のオランダは凄かった。ヒディンク監督だったのですよね。
02年大会にオランダは来られなくて、ガッカリしたのを憶えています。しかし今大会はベスト16か~。
でもポルトガルも応援していますよ!C・ロナウドいいですね。次も出られるといいのですが・・。
決勝戦で、アルゼンチンvsブラジルが観たいですが、ドイツが上がってくるかな?いづれにしろ楽しみです。
ではまたいらして下さいね。ありがとうございました。
[2006/06/27 03:38] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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