どんなに大切な人でも~『心はあなたのもとに』
心はあなたのもとに



 ”I'll always be with you, always”

 小さな投資組合を主宰する西崎は、妻と二人の娘を持つ50過ぎの男。定宿
のホテルで、ある日彼は「風の人」香奈子と出逢う。

 村上龍の小説を、本当に久しぶりに読んだ。彼と村上春樹「W村上」なんて
呼ばれていた頃は、新刊が出ると必ず読んでいたものだけれど。しかし龍さん
はいつの間にか私の中では「経済の人」になってしまって、新刊を手に取ること
はほとんど無くなった。

 しかし、このタイトルには惹かれてしまった。いかにも恋愛小説、といった趣。
これは香奈子から西崎へ送られたメールの末尾に、約束のように添えられて
いた言葉
から採られている。

 冒頭、西崎に突きつけられる香奈子の死。そこから、物語は二人が出逢った
日へと遡る。

 1型糖尿病という持病と向き合いながら生きる香奈子。自らの人生「終わ
った」
と感じながら生きていた彼女に、西崎は管理栄養士というを与え、
済的援助
をする。会いたい、傍にいたいと願う香奈子を思いながら、西崎は
数の愛人
を持ち、家庭円満を第一に考える。香奈子の気持ちは痛いほどわか
るのだけれど。。男の人って、うなるほどお金があったら誰でもこうなるのかな

 「金銭で幸福や信頼は買えないが、経済的困窮は不幸に直結している」

 登場人物の死で始まった物語は、その死に向かって進んでゆく。読みながら、
思わず投げ出しそうになってしまうほど、重苦しいトーンで。

 「意思や決意は、秘められていなければならない」 

 読み終わって改めて表紙を見れば、間違いなくそこに愛はあったのだと感じ
ることができる。どんなに大切な人でも、ずっと一緒にいることはできないのだ。
これが大人の恋愛ならば、大人って随分、孤独で哀しい生きものだな。。

心はあなたのもとに2

 ( 『心はあなたのもとに』 村上龍・著/文藝春秋・2011)
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[2011/06/29 20:22] | 読書 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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