幸福な偽家族~『うから はらから』
うからはらから

 雑誌編集者の未来は、離婚した元夫のムロさんと、つかず離れずの関係。母の
珠子が家を出、男やもめの父・茂と暮らす実家に、倫土(ロンド)という連れ子
いる、若い後妻のマリィがやって来た。

 「阿川佐和子の小説をお嬢さん芸だと思っている人は反省して本書を読むべし」
新聞書評福岡伸一氏が絶賛した本作。やっと読めました。最高に面白かった

 実は私も、アガワさんのことをずっと「親の七光り」的な色眼鏡で観ていた。エッ
セイすらもまともに読んだことがなかったし、作家というよりはタレント、もしくは
誌対談のホステス
、という認識だった。

 それが変わったのはスープ・オペラを読んでから。活き活きとした登場人物、
繊細な心理描写、リアリティとウィットに富んだ会話
読み始めたら止まらない
面白さ
に、正直驚いた。「偽家族」というテーマが、『スープ・オペラ』と本作は共通
している。

 魅力溢れる、ややデフォルメされた登場人物たちの一人称が引き継がれながら、
賑やかに物語は回ってゆく。元警察官で、堅物かに思えたシゲルさんのキャラ
笑える。更年期障害に苦しむ看護師・内藤さんを救った「おまじない」最高! 
まっしゃくれた
倫土ホルスタイン体型のマリィ、未来のボーイフレンド・香港人の
周さん女好きのムロさん勝ち気で食いしん坊な未来。みんなみんな、やさしく
って、騒がしくって、少しだけわがままな、幸せな人たち
。広島、京都、山形のお国
言葉の楽しさ
。誰が読んでも笑顔になれそうな、尖ったハートがまぁるくなりそうな、
素敵な物語
です。

 ( 『うから はらから』 阿川佐和子・著/新潮社・2011)
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[2011/06/14 20:16] | 読書 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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コメント
阿川さんのエッセイは、一時期集中して読んでいましたが、文章に独特のリズムがあり、しかもあいまいなところがなくスッと頭に入ってきて、とても文章の上手な人だと思っていました。しかも美人なのに気取ってないうえ、あんな面白いことを書くなんて!(ちなみに「きりきりかんかん」と、壇ふみさんとの共著「ああ言えばこう食う」はオススメです)
でも小説のほうは一冊も読んだ事がないので、今度ぜひ読んでみようと思います。
[2011/06/15 00:17] URL | nukochaenn #BFJTYZbE [ 編集 ]
nukochaennさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
アガワさんのエッセイ、たくさん読んでらっしゃるのですね^^
そうなんです、リズム! 彼女の文章ってテンポがいいというか、リズム感があるんですよね。
方言での会話文なんかすっごい自然で、アガワさんったら何か国語(?)しゃべれるんだ~、と思ってしまいました。
ホント、あんなに美人でお嬢様なのに気取ってなくて自虐的でもあり(笑)、素敵な方ですよね~。
『ああ言えばこう食う』は、もしかしたら読んだかも、です。ダンさんとの往復書簡みたいなエッセイですよね?
小説も間違いなくオススメです。楽しんで下さいませ~♪
[2011/06/15 19:36] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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