どうしてそんなに愛される? ~『軽蔑』
軽蔑

 歌舞伎町で遊び暮らし、ギャンブル借金を重ねるカズ(高良健吾)ポールダン
サーの真知子(鈴木杏)
をさらい、彼は生まれ故郷・新宮に逃げる。

 「五分と五分、だからね」

 映画主演作が目白押し、朝ドラにまで出演、今や飛ぶ鳥を落とす勢い高良健
と、天才女優・鈴木杏のW主演作。互いを唯一無二の相手として愛し抜きなが
らも、破滅へと堕ちてゆくしかなかった男と女。彼らの、短くも強烈過ぎる生き様
描いた恋愛映画。主演の二人は役柄に成り切り、熱く激しくぶつかり合い、入魂
の演技
を見せてくれた。長回しを多用する演出の監督は、廣木隆一

軽蔑2

 正直、高良健吾が観たかったのです。。神経質そうな骨格。隠しきれないやさ
しさ。自らを「神の子」と呼ぶ傲慢さ。資産家のボンボンで、甘ったれで節操のな
いダメ男、カズ。
それでも私だって彼に出逢ってしまったら、真知子やマダム(緑
魔子)
のように、ただただ盲目的に愛さずにはいられないだろう(マダムのそれは
ほとんど狂気だった)。

 親も兄弟も親戚もなく、ポールダンサーという職業に誇りを持って、身一つ
生きる真知子。カズの実の母(根岸季衣)よりも何倍もの大きな母性で、彼女は
包み込むようにカズを愛し抜く。

 もしももう一度21歳に戻れるなら、何もかも捨てて、こんな風に誰かを愛して
みたい
。この映画を観てそんな風に思う自分がいる。けれども心のどこかで、
この二人を「バカだな」って、醒めた目で観ている自分もいる。「軽蔑」っていう
タイトルの意味
は、この感情を指しているのだろう。感情的で無計画で、どうし
ようもないバカ男、カズ
。そんな彼を無条件で愛する真知子。いや、本当にこの
感情は「軽蔑」なのか?


 実は私は、この無防備過ぎる二人「嫉妬」しているんじゃないだろうか。高
利貸しの山畑(大森南朋、最高!)がそうだったように。

 本当はみんな、動物みたいに、狂った女みたいに、誰かを愛してみたいんだ。
それが叶わない山畑の苛立ちは、となってカフェ・アルマンを焼く。椿姫とい
愛の亡霊が住む、旧い館を。

軽蔑3

 鈴木杏が、巧い女優さんであることはわかる。体当たりの熱演、というのも疑
いの余地はない。しかし、高良健吾とのケミストリーは、残念ながら感じられな
い。脚は綺麗なんだけど、ポールダンサーとしてはどうしても骨太感がぬぐえな
い。じゃあ、真知子を他のどんな若手女優が演じられるんだ、と言われても、答
えが見つからないのだけれど・・・。キャスティングって大事で、つくづく難しい

 高良健吾は、睫毛だね。

 ( 『軽蔑』 監督:廣木隆一/原作:中上健次
     主演:高良健吾、鈴木杏、大森南朋、緑魔子、小林薫/2011・日本)
関連記事
スポンサーサイト

テーマ:日本映画 - ジャンル:映画

[2011/06/13 20:13] | 映画 | トラックバック(11) | コメント(0) |
<<幸福な偽家族~『うから はらから』 | ホーム | セレブ仕分け人がゆく!~『石川三千花の勝手にオスカー』>>
コメント
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
http://thinkingdays.blog42.fc2.com/tb.php/1066-a072375d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
軽蔑(2011)
公式サイト。中上健次原作、廣木隆一監督、高良健吾、鈴木杏、大森南朋、忍成修吾、村上淳、根岸季衣、田口トモロヲ、緑魔子、小林薫。中上健次の遺作を映画化。 和歌山県新宮市の ...
[2011/06/13 20:27] 佐藤秀の徒然幻視録
軽蔑・・・・・評価額1500円
若い男女の愛のドラマは、極めて日本的な土着の情念を巻き込んで、破滅への道を突き進む。 映画「軽蔑」の原作は、和歌山を舞台にした一連の“紀州サーガ”で知られる芥川賞作家、中上健次の最後の長編小説。 ...
[2011/06/13 21:18] ノラネコの呑んで観るシネマ
軽蔑/高良健吾、鈴木杏、大森南朋
廣木隆一監督が『M』では重要な若者役に起用しその後著しい活躍を見せて今や若手実力派の俳優に成長した高良健吾くんを今作では主演に迎えて、作家・中上健次の同名小説を原作に映 ...
[2011/06/13 21:26] カノンな日々
軽蔑
軽蔑 (角川文庫)破滅型の愛のドラマは、ただ愛し合っているだけでは幸せにはなれない男女の運命を描く。若手実力派の高良健吾と鈴木杏は熱演だが、作品の手触りがあまりに古臭い。 ...
[2011/06/13 21:34] 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
軽蔑
芥川賞作家・中上健次の遺作となった同名小説を映画化。資産家の息子で遊び人の男とポールダンサーの女の激しく切ない愛の行方を描いている。主演に『おにいちゃんのハナビ』の高良健吾と『吉祥天女』の鈴木杏。共演に大森南朋、忍成修吾、小林薫といった実力派が揃う。監...
[2011/06/13 21:54] LOVE Cinemas 調布
「軽蔑」世界から軽蔑され続けた先にみたどんな困難でも離れない愛し合った2人
「軽蔑」(R15+指定)は東京でやくざの手下をしていた青年とダンスバーの踊り子が惹かれ合い結婚するが、それぞれの立場の違いなどから周りから軽蔑され続ける中で、それぞれの愛情 ...
[2011/06/13 23:47] オールマイティにコメンテート
軽蔑
2011年6月7日(火) 18:15~ TOHOシネマズ川崎2 料金:1300円(シネマイレージデー) パンフレット:未確認 『軽蔑』公式サイト 登場人物のほとんどすべてがクズ。主人公は、だめんずとだめんずウォーカー。(ウォーカーかどうかは、正確には不明。) トップレス
[2011/06/14 22:09] ダイターンクラッシュ!!
軽蔑 新宮警察よ、しっかりしろっ!(笑)
【=25 -7-】 うちの親会社の労組を中心とする企業連の、本日は春のレク行事でBBQ。 うっかり日本酒回し飲みの席に居てしまって、グビグビ一気飲みをさせられてしまった(2timesも!)、だめですよ、無謀なお酒の飲み方は~凸(`△´#)凸キル ユゥゥゥ! そのせいで中途半
[2011/06/15 11:08] 労組書記長社労士のブログ
「軽蔑」
宣伝チラシのフレーズは、「世界は二人を、愛さなかった」。素晴らしく映画的なキャッチコピーだねえ。 悲劇へ向ってひた走る恋人たちの姿が目に浮かぶよう。 そして、この映画、文字通り開巻直後、若い二人が世界に追われるように新宿の街を疾走する。その姿を延々と追...
[2011/06/17 22:14] 【映画がはねたら、都バスに乗って】
軽蔑
 『軽蔑』を角川シネマ有楽町で見てきました。 (1)細かなところはほとんど忘れてしまいましたが、かなり昔、中上健次の原作(1992年)を読んだこともあって、映画館に出向きました。  映画のストリーは大体次のようです。  新宿歌舞伎町のトップレスバーでポールダン...
[2011/06/26 07:56] 映画的・絵画的・音楽的
軽蔑(2011-046)
新宿・歌舞伎町で遊んで暮しているカズは、 ポールダンスバーの踊り子、真知子に恋焦がれていた。 ある夜、兄貴分の伊藤の命令でバーを強襲。 混乱の中、勢いで真知子を連れ出し、カズの故郷、 紀州の実家...
[2011/07/05 22:36] 単館系
真紅のthinkingdays


いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪

Recent Entries

Categories

What's New?

真紅

Author:真紅
Every cloud has a silver lining.

Recent Comments

Recent TrackBacks

Archives

My Favorite

Search this site

RSS

Thank You!