チャップリンと踊ろう~『ダンシング・チャップリン』
ダンシング・チャップリン

 国際的な振り付け師、ローラン・プティチャップリンの映画にインスパイア
されて創作した2幕20場面の舞台を、周防正行監督が1幕13場面に再構成
し、映像化した映画。演じるのは、これも国際的なバレエダンサー、ルイジ・
ボニーノ
と、監督のパートナー、草刈民代。彼女のラストダンスでもある。
監督の好奇心と映像化へのこだわり、バレエへの尊敬の念、妻への深い愛
がいっぱい詰まった、素晴らしい作品でした。

 本作は二部構成で、5分間の幕間がある。第一部は、ローラン・プティやチ
ャップリンの息子への映画化の許諾を得る交渉と、リハーサルの様子を捉え
舞台裏。「この場面は公園で撮りたい」という監督に対し、「それなら映画は
なしだ」というプティ。そして出来上がった映像は野外で撮影されていた! 
監督がどういう「作戦」を立てたのかは明かされない。

 一方、ダンサーたちはリハーサルを重ね、衣装合わせ、メイクしてのカメラ
テストへと向かう。どういう舞台になっているのか、期待が最高潮に高まった
ところで幕間。時計を見ると、ちょうど一時間が経過していた。

ダンシング・チャップリン2

 そして第二幕。チャップリンの映画を基にした無言劇が繰り広げられる。どの
場面も素晴らしいが、一番感動したのは草刈民代が白いチュチュを着て踊る
「Smile」。故マイケル・ジャクソンも一番好きだったというこの曲、自然に
流れた。

 この作品を観て、映画における「音楽」の重要性を改めて感じた。チャップリン
の映画はほとんど断片的にしか観た記憶のない私だけれど、音楽はどれも聴き
覚えがあった。記憶の奥底に刻み込まれた名曲たち。

 草刈民代の引退は残念ではあるけれど、ラストダンスを最愛の夫によって永遠
に残すことができた彼女は幸せな人だな。この映画のハイライトが第二部にある
ことは間違いない。しかし、バレエという「究極の美」を体現する人間、その厳しさ
と努力の一端に触れることができた第一部があってこそ、の作品
だったと思う。

ダンシング・チャップリン3

 ( 『ダンシング・チャップリン』 監督:周防正行
                        主演:ルイジ・ボニーノ、草刈民代/2011・日本)
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[2011/05/30 20:00] | 映画 | トラックバック(11) | コメント(2) |
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コメント
ご覧になることができたのですね!
よかったですね~。

バレエもストイックなスポーツのような世界ですからいつかは引退しなければならない時がくるのでしょう。
ご結婚以来どちらかと言うと監督が主夫業をしていたような印象がありますが(監督の制作ペースがスローになってしまいましたが)、そのような生活で支えてきた大切な人の一番美しい姿を残せたのは監督も感慨深いものがあると思いますね。
『周防正行のバレエ入門』なんて本も同時に出されてますしね(^^)

淀川さんには「これ以上分かりやすい映画作っちゃだめだよ」と言われたという初期のガハハと笑えるシコとかダンスとかのテイストが好きなファンとしてはまたあのノリの映画を作ってもらいたいという思いはありますが、まずはこの作品がもっといろいろなところで公開されないかなぁと観たくてうずうずしているところです。
[2011/06/01 23:03] URL | cynthia #- [ 編集 ]
cynthiaさん、こんにちは~。コメントありがとうございます。
そうなんです、無事観ることができました!
『ブラック・スワン』の後に観たので、同じバレエでも全く違う世界だな~、とか思って観てしまいました。

そうなんです、結婚後は周防監督すっかり草刈さんの専属ビデオカメラマン状態でしたよね(笑)。
本作の中でも、ハンディで奥様を撮影する監督の姿が映っていました。
心底奥さんが好きなんだな~、って感じですよね。微笑ましい。
そのご本は私も是非読みたいと思っています。

シコとかファンシィな映画は私も随分前に観たのですが、あまり印象に残ってないんですよね。
シャルウィ?な映画は、とにかくガツンと来ました。あれもかなり笑えましたが・・。
本作は今月からも全国で拡大公開されていますし、DVDででも是非!ご覧になって下さいね。
[2011/06/03 08:59] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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ダンシング・チャップリン
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いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪

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