おいしいはうれしい~『やわらかなレタス』

食を巡る、江國香織さんのエッセイ集。以前、物凄く久しぶりに週刊文春を読
んだら、江國さんの連載があってビックリした憶えがある。その連載をまとめた
もの。あっさりと気軽に読める本ですが、とっても面白かった! とっても江國
さんらしくて。ファンは必読ですね。
果物への偏愛ぶりや、書物に出てくるおいしそうな食べ物への渇望、おいしい
ものを、一番おいしく食べられるように自らに課している「不文律」などなど。
ちょっと「不思議ちゃん」入っている江國さんにかかっては、ごく普通のフランス
パンも、おうどんもおそばも、特別な「何か」に思えてくる。私は普段、どんな種
類のパンにもバターは塗らないのだけれど、そのことに罪悪感を憶えてしまうほ
どに。
そして、食を巡る記憶は、家族と分かち難く結びついていることも教えてくれ
る。逝ってしまった両親、盲目の愛犬「雨」、やさしい夫。そして江國さんを「じー
ちゃん」と呼ぶ妹(晴子さん)。おいしいものを、一人で食べるのもいいけれど、
誰かと分かち合うことこそが「至福」なんですね。
( 『やわらかなレタス』 江國香織・著/文藝春秋・2011)
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読者を不思議な世界にいざなう、待望のエッセイ集
ひとつの言葉から広がる無限のイメージ……。江國さんの筆にかかると、日々のささいな出来事さえも、キラキラと輝いて見えだします。
ここにあるのは幸福な魂の食事。食べものをめぐる言葉と、小説、旅、そして日々のよしなしごと。
江國さんが語るささやかな日常。美味しそうな食べ物がほとんどすべてに出てきます。
海外で日本で、実際に江國さんが味わったさ...
2014-03-17 15:54 :
粋な提案