世界なんかわたしとあなたでやめればいい~『発光地帯』

川上未映子のエッセイ集。読売新聞の会員制インターネットサービス「ヨリモ」
に連載中の文章をまとめたもの。「発光地帯」とは、パソコンのモニターのこと
だそう。なるほど。
少し話が戻るけれど、『恋愛小説』に映子という登場人物がいた。
主人公美緒の同僚で、彼女も恋愛に奔放な女性。その名前の字面と美緒の
恋愛への没頭ぶりから、『そらすこん』に描かれていた川上さんの、若き日々の、
激し過ぎる、痛々し過ぎる恋愛を思い出していた。そう、『恋愛小説』を読みなが
ら私は、川上未映子のことを思い出していたのだった。
そして、『発光地帯』。10番目のエッセイ「世界なんかわたしとあなたでやめれ
ばいい」を読んで思った。「やっぱり」って。そして思わず泣いてしまった。電車
の中だったのに。
私が川上さん(の描く文章)を好きなのは、こういう感覚を共有している、と思
えるからかもしれない。じぶんが失ってしまったもののこと。
「いちばん素晴らしい時間」にも、共感。私も「生きてる人間」のひとり、こんな
私にも、「がんばれ」って言ってくれて。
ありがとう。
( 『発光地帯』 川上未映子・著/中央公論新社・2011)
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誰にも見せない日記のように、誰かに語りかけている。芥川賞作家が日常から零れ落ちる言葉たちを拾いあつめた、自由律で不定型、新しいかたちのエッセイ集。
読売新聞のウェブサイ
2013-07-23 18:11 :
粋な提案