いちばん大切なものは手に入らない~『恋愛小説』

岡見美緒には、猫田健太郎という申し分のない恋人がいる。しかし、元同僚の
犬童早介(サスケ)と、美緒はどうしようもなく気が合うのだった。
椰月美智子さんという小説家のことは、今まで全く知らなかった。たまたま手
にした小学館の『きらら』というPR誌(中村佑介の表紙イラストが目印)に、この
小説の紹介のような著者インタビューが載っていて。それを読んだらもう、居て
も立ってもいられなくなった。
「すぐに読みたい! これは「あたしの小説」 だ」 と。
美緒とサスケ、それぞれのプロローグ。最初から、二人は別れたことが明示さ
れている。恋愛の、はじまりから終わり。陳腐といえば陳腐な、バカバカしくも愛
おしい、若気の至り。思い出すくらいはいいだろう。もう昔の話だ。いちばんだっ
た恋。
この小説を読んで、恋は「二人で」落ちるもので、片思いのうちは恋愛してるこ
とにはならないんだな、ってつくづく思った。一人で誰かを思ってたって、宙ぶら
りんのままなんだ、って。
こんなにも狂気をまとった、ぎりぎりの恋をしたことがあるわけじゃない。それ
でも、読み終わって本を閉じた瞬間、いろんな想いが溢れて。。声を挙げて号泣
してしまった私なのだった。
「誰もいない無人島で、二人きりだったらよかったね」
( 『恋愛小説』 椰月美智子・著/2010・講談社)
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JUGEMテーマ:読書
好意、愛情、執着、秘密、嫉妬…恋愛の全て美緒とサスケは、憎いほどに、殺したいほどに、愛し合っている。人を好きになる気持ち、好きでいる気持ち、恋愛の感覚全てが書きとめられた、恋愛小説の真骨頂。
手にしてビックリするくらい分厚い本な
2011-02-28 22:00 :
ナナメモ
コメントの投稿
こんばんは。
お返事が遅くなってごめんなさい。
「誰もいない無人島で、二人きりだったらよかったね」
この言葉は印象的でしたね。
読んだ後、心がザワザワとする物語でした。
お返事が遅くなってごめんなさい。
「誰もいない無人島で、二人きりだったらよかったね」
この言葉は印象的でしたね。
読んだ後、心がザワザワとする物語でした。
ななさん、こんばんは。コメント&TBありがとうございます。
誰にでも、大なり小なり思い当るところのある物語だと思います。
ある意味、普遍的な恋愛小説ですね。
何度も、パラパラと読み返しています。なかなか、この小説世界から現実に戻れない私です。
誰にでも、大なり小なり思い当るところのある物語だと思います。
ある意味、普遍的な恋愛小説ですね。
何度も、パラパラと読み返しています。なかなか、この小説世界から現実に戻れない私です。