『劇場』

下北沢。大阪から上京した小劇団の座付き作家・永田(山﨑賢人)は服飾専門学校に通う沙希(松岡茉優)と出逢い、彼女の部屋に転がり込む。
又吉直樹の同名小説の映画化。原作は未読
正直、行定勲監督は苦手でほとんどの作品をスルーしてきました
しかしこの映画は予告を観るたびに涙ぐんでしまっていて
山﨑賢人がもう、ヤバくて、、、(語彙力)
初日に鑑賞
本編もやはり山﨑賢人が相当ヤバかった()
序盤、永くんはただのヒモでクズだし、沙希ちゃんはわざとらしくはしゃぐただのかわいい女の子で観ていられないほど
でもその二人が、その演技を積み重ねて小さな世界を形作っていく
この映画自体が演劇的な成り立ちと言えるのではないかと思った(台詞回しも含め)
変わろうとしない、どうしようもなく変われない永くんと
変わらざるを得なかった沙希ちゃん
若さの意味は男と女で違うから
二人は別れるしかなかった
我慢して我慢して内側から壊れた沙希ちゃんと
そんな彼女を神様だという永くん
ふたりは 「若い頃」 を誠実に、自分に嘘をつかずに生きたのだと思う
二人で芝居が作れたらよかったのに
永くんの小さな、しょーもないプライドがそれを許さなかったのだけど
そのプライドは彼の一番大切なもので
存在理由でもあるから仕方がない
でも本当は
そのもがいた日々、辛く苦しい日々が彼の芝居を形にしたのだと最後にわかる
その芝居を共に作ったような錯覚に捉われるあの仕掛け
素晴らしいエンディングだった
最後まで沙希ちゃんに甘えるどうしようもない永くんと
最後まで 「ごめんね」 と言い続けるどこまでもやさしい沙希ちゃん
全てが変わってしまったようで、何も変わらないふたり
それでも、いやだからこそ共に生きることはできないふたり
松岡茉優って 「普通」 が醸す狂気や闇を表現できる数少ない若手なのかも
カッコいいはずの山﨑賢人は又吉直樹に見える瞬間があって(似非関西弁はご愛敬)
自転車のシーンの長台詞と、「僕が大金持ちになったら」 のスピーチに涙が止まらなかった
たわいない男女の出会いと別れ
幼くて未熟で 大切にできなかった想い
「生涯忘れない」 この惹句は真実だと感じた
原作も読んでみようかな
夏の終わりに梨を見かけたら
この映画を思い出すのかもしれない
冬が来ても忘れることができなかったら
今年のベストにうっかり入れてしまいそう
そんな映画です
<< 余談 >>
この映画本当に楽しみで、早く観たかったのに公開延期となり
自粛明けてもなかなか公開日がアナウンスされない
気を揉んでいたらなんと松竹が降り、ミニシアター中心の規模を大幅に縮小しての公開になったという
いや、大手も大変なのはわかりますよ
しかしあんなに予告をバンバン流していた山﨑賢人×松岡茉優主演作から手を引くなんて、、、
ショックだったなぁ
しかし蓋を開けてみれば、シネコンの大スクリーンよりもミニシアターが似合う作品だったような気がする
大阪で手を挙げてくれたシネ・ヌーヴォさんに感謝します
アマプラでも配信されている本作、近くで上映がないという方は是非そちらで観ていただきたいです
( 『劇場』 監督:行定勲/原作:又吉直樹/主演:山﨑賢人、松岡茉優/2020)
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祝☆ダンケルク再上映決定!!!
2020(上半期) 真紅のthinkingdays Best 10 of the movie


①Little Women/若草物語(ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語)
②ジョジョ・ラビット
③ワイルド・ローズ
④ダンサー そして私たちは踊った
⑤フォードvsフェラーリ
⑥AKIRA(IMAX版)
⑦ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!
⑧1917 命をかけた伝令
⑨パラサイト 半地下の家族
⑩ハスラーズ
劇場鑑賞新作64本(鑑賞日基準)からの個人的順位です
※AKIRAは旧作ですがIMAXってことで
Netflixで観た 『ザ・ライダー』 もよかった!
昨年は上半期で新作86本観てたから25%減
旧作、リピート含めると劇場鑑賞は80回
まぁ今年は仕方ないね〜、映画館が閉まっていたんだから
逆に今年は旧作(初見)もたくさん映画館で観ているので、年末には旧作ベストも考えようかな
下半期もぼちぼち行きましょか〜
#2020年上半期映画ベスト10