『象は静かに座っている』

大象席地而坐
An Elephant Sitting Still
世界中の絶望を掃き溜めたら
こんな作品になるのかなと思う
人生は苦痛の連続
裏切り、憎しみ、貧困、暴力、孤独、嘘
居場所のない悲しみとやり場のない怒り
取り返しのつかない過ちと見失った出口
老人は言う
お前は何処へでも行ける
そして何処へ行っても同じだと気づくと
だから何処へも行かず、向こう側を見ながらここで生きろと
それでも若者は行こうと言う
彼は希望を探していたのか?
お前がセカイを殺したいなら
私は象の鳴き声を響かせてみせる
この非情な世界の闇に
流れるな、涙
インターミッションなしの234分
そう自分に言い聞かせながら目をこらしていた
エンドロールが上がり切っても
4時間近く経ったとは思えない
一瞬のようでもあり、永遠のようでもある
29歳で命を絶った若者が遺した
たったひとつのたからもの
この何とも形容し難く不可思議な傑作を
記憶にとどめておきたい
今年のマイベスト作の一本。
( 『象は静かに座っている』 監督・脚本・編集:胡波フー・ボー/2018・中国 )
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もう先月のことですが、『WEEKEND』 という映画を観ました。
『さざなみ』 『荒野にて』 のアンドリュー・ヘイ、2011年の作品です。海外では高く評価され、
「知る人ぞ知る」 作品だったようですが8年越しの日本公開です。
低予算でとてもとても小さな映画ですが、前評判通りの素晴らしい作品でした。
数日余韻が抜けなかった。
というわけでヘイちゃん(笑)、ベスト10入りです。
今年もあとわずか。年間ベストの時期ですね。