YOU GUYS ARE KILLING ME. ~張震 Timmy&Armie

こちらCartierアンバサダーに就任した張震くん。インスタにはカッコイイ彼のお写真がいっぱい♪ 動画で共演しているのは 『ALONE/アローン』 でアーミーの相手役だった女優さん=アナベル・ウォーリスではないの!

ティミーの新作 『Beautiful Boy』 のポスター。これがインスタにアップされたらXドランがソッコーで “already obsessed.” ってコメントしてて笑った。 エイミー・ライアンにも期待。アメリカでは10月公開、日本でも来年公開が決定してるみたいですよ♪

そしてアーミーの新作 『Sorry to Bother You』 こちらはアメリカで来月公開。アーミーは主演ではないけど、これ日本に来るかな? 観た~い!
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2018-06-27 :
YOU GUYS ARE KILLING ME :
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And this is given once only.~『君の名前で僕を呼んで』#10

この画像を見つけたとき、原作の最後の一行に魅入られた人がこの世界のどこかにいるんだ、私以外に--。とわかってとてもうれしかった。もちろん映画化されるほどの小説だから、全世界的にポピュラーであることは重々、わかっているのだけれど・・・。映画を観たり、小説を読むことは、私にとって極個人的な体験だから。
『君の名前で僕を呼んで』 の原作は、本当にキラーセンテンス、キラーワードのオンパレードで、私を殺しに来る。特にラストの一文は、尋常でないレベルで胸に迫る。読み終わって号泣した後、必ずまた最初から読み返したくなる。そして繰り返し読むと、エリオよりも先にオリヴァーが想いの謎かけをしていたのだとわかってさらに感動する。何一つ忘れないふたり。また涙が溢れる。永遠にこの沼から出られない!
今日は映画のエリオについて。初見、彼の印象は美しさよりもまず 「小動物感」 だった。くるくる動いて、すばしっこくて甘え上手で。オリヴァーでなくとも、愛でずにはいられない感じ? よしよし、って。湖の探索について行ったエリオのウキウキ顔が、私は一番好きかもしれない。前夜、ダンスフロア中の視線を一身に集めていたオリヴァーを、今は自分だけが見つめている。ティモシー・シャラメの初々しい表情は、初めての(そして生涯一度の)恋に落ちた少年の多幸感が溢れ出していて本当に素晴らしい。まだ何も始まっていない、まだ誰も知らないが故の無邪気な高揚。そしてその想いが自らの内から外側へと向けられた瞬間から、彼の表情は憂いを帯び始める。しかしエリオよ、オリヴァーを見送り、一人では帰れないほど憔悴して迎えの車の中でも大泣きしているにも関わらず、「ママは知ってる?」 はないだろう(笑)。マルシアとの会話の間も、彼の長過ぎる睫毛は涙に濡れていたのに。寛容で慈愛に満ちた両親のもと、これ以上ないほど文化的な家庭で何不自由なく育ったエリオ。そしてオリヴァーと出逢い、彼らは星を見つけた。世界一幸運な少年--オリヴァーはやっぱり、何でもわかっている。
P.S. 実は私自身が一人息子の母なので、エリオに対する観方に甘いところがあるのは否めないと思う。うちのエリオ、行儀が悪くてすみません。アネラに代わってお詫びします・・・。
(続く)
2018-06-17 :
CALL ME BY YOUR NAME :
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『フリー・ファイヤー』

※ネタバレ
アーミー・ハマー出演作と知り、WOWOWにて録画鑑賞。大阪ではステシネでしか上映していなかったと思う。わざわざ行くのもね~、と見送ったのだった。オープニングから豪華キャスト (キリアン・マーフィ、サム・ライリー、ジャック・レイナー、シャールト・コプリー、ノア・テイラー!) が出るわ出るわ。劇場鑑賞すればよかったな~、と思いながら観ていると銃撃戦が始まり、それが長過ぎてさすがに飽きる。そしてそのまま終わる(笑)。アーミーはナルシストのギャングにハマっていて、曲者揃いのキャストの中でも存在感があった。「ジョン・デンバーの面白い話」 聞きたかった・・・。しかしキリアンの声っていいわぁ~。いつも惚れ惚れ。
監督は 『ハイ・ライズ』 の人。あの映画も私的には今ひとつだったな・・・。
( 『フリー・ファイヤー』 監督・共同脚本:ベン・ウィートリー/2016・UK/
主演:キリアン・マーフィ、アーミー・ハマー、ブリー・ラーソン)
テーマ : WOWOW/スカパーで観た映画の感想
ジャンル : 映画
Love is blind (或いはデクノボーと呼ばれて)
しばらく休眠していたブログを書き始めると、改めて 「ブログっていいな~」 と思う。好きなことを好きなように、いくらでも書ける。特に今は昔と比べて人が少ないので、変な(ヘイトな)コメントやTBが来ることもなく、気楽でよい。
そしてこれは前々からなのだけど、ネットで記事を探していると(所謂ネットサーフィンというやつ。死語?)、時々 「凄い...」 と思うブログとエンカすることがある。知識の量、文章の巧みさ、目の付けどころ、貼り付けてある画像、全てが 「何者?」 レベル。私は 「センスがいい」 という言葉を使うことに常々慎重でありたいと思ってはいるのだが、まさに 「センスの塊」 みたいなブログ。そして今日また、そんなブログを見つけてしまった。
そこには当然(偶然?)、『君の名前で僕を呼んで』 の感想もそれは見事な文章で綴られており、「御意!」 なのだけれどただ一点、アーミー・ハマーがデクノボーでこの映画の質を落としている、と書かれてあった(涙)。ティモシー・シャラメの素晴らしい表現力と比べて、アーミーは感性も演技力もない、と。ガーーーーン。
そうなのかもしれない。確かに、オリヴァーがパールマン邸に到着した直後、あくびをしながら階段を上がる姿は大根役者のそれであった(と私でさえ思う)。北イタリアの風景と空気に、アーミーは最後まで馴染まない異端の 「アメリカーノ」 であったとも思う。しかし、しかし。。私はそんな彼が愛おしい。ルカ・グァダニーノのラブコールに応え、迷いながらもオファーを受けてくれたアーミーにありがとうと言いたい。ティミーと仲良くなって、SNSでいちゃこらしているアーミーが大好きだ。誰が何と言おうと、オリヴァーはアーミー・ハマーが演じてよかったのだ。恋は盲目、なのである。
そしてこれは前々からなのだけど、ネットで記事を探していると(所謂ネットサーフィンというやつ。死語?)、時々 「凄い...」 と思うブログとエンカすることがある。知識の量、文章の巧みさ、目の付けどころ、貼り付けてある画像、全てが 「何者?」 レベル。私は 「センスがいい」 という言葉を使うことに常々慎重でありたいと思ってはいるのだが、まさに 「センスの塊」 みたいなブログ。そして今日また、そんなブログを見つけてしまった。
そこには当然(偶然?)、『君の名前で僕を呼んで』 の感想もそれは見事な文章で綴られており、「御意!」 なのだけれどただ一点、アーミー・ハマーがデクノボーでこの映画の質を落としている、と書かれてあった(涙)。ティモシー・シャラメの素晴らしい表現力と比べて、アーミーは感性も演技力もない、と。ガーーーーン。
そうなのかもしれない。確かに、オリヴァーがパールマン邸に到着した直後、あくびをしながら階段を上がる姿は大根役者のそれであった(と私でさえ思う)。北イタリアの風景と空気に、アーミーは最後まで馴染まない異端の 「アメリカーノ」 であったとも思う。しかし、しかし。。私はそんな彼が愛おしい。ルカ・グァダニーノのラブコールに応え、迷いながらもオファーを受けてくれたアーミーにありがとうと言いたい。ティミーと仲良くなって、SNSでいちゃこらしているアーミーが大好きだ。誰が何と言おうと、オリヴァーはアーミー・ハマーが演じてよかったのだ。恋は盲目、なのである。
2018-06-13 :
CALL ME BY YOUR NAME :
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アンドリュー・ガーフィールドおめでとう!~Tony Awards 2018

本日行われた第72回トニー賞授賞式で、アンドリュー・ガーフィールドが演劇主演男優賞を受賞したそう! アンドリュー、おめでとう~\(^o^)/
受賞作は 『エンジェルス・イン・アメリカ』。この作品を演じるに当り、発言が炎上して猛バッシングを受けたんですよね。アンドリュー、ここへ辿り着くまで、並大抵の苦労ではなかったと思います。彼のことはデビュー作 『大いなる陰謀』 から観ていますが、毎回真面目で純粋な人、という印象を受ける。スパイダーマンの降板やエマ・ストーンとの 「別れても好きな人」 状態とか、決して順風満帆なキャリアではないかもしれない。でも、今回の受賞で彼の才能が名実ともに認められたと思う。本当におめでとう、これからもひっそりと応援しているからね。
ちなみに 『レディ・バード』 のお母さん、ローリー・メトカーフも演劇助演女優賞を受賞したそうです。彼女のことはレディバードで初めて知ったのだけど、本当に巧い女優さんですよね。オスカーは残念だったけど、よかったよかった^^
『レディ・バード』

LADY BIRD
2002年、カリフォルニア州サクラメント。カトリック系の私立高校に通う17歳のクリスティン(シアーシャ・ローナン)は、「文化のない」 この田舎町と、平凡な自分の名前が大嫌い。自らを 「レディ・バード」 と名乗り、東部への大学進学を夢見ていた。
楽しみで待ち遠しくて待ち切れなくて、初日に鑑賞。音楽がジョン・ブライオンってすごく久しぶりな気がする。オールタイムマイベスト作のひとつ 『エターナル・サンシャイン』 のスコアが大好きなので、スタッフロールに彼の名前を見つけてうれしかった。この原題のレディバードって、てんとう虫の事ではないのですね。シアーシャ・ローナン、赤毛も似合うけど緑色が本当に似合う。大傑作 『ブルックリン』 以来、私の御贔屓女優さん。
正直、この映画を観て一番強く思ったのは、、、「お金がない、って本当に嫌だな」 でした(夢がなくってすみません)。子どもに対して年がら年中 「うちにはお金がないの」 って言うのって、気が滅入る。しかしクリスティンの母(ローリー・メトカーフ)って医療専門職(ナース? ドクター? セラピスト?)なのに、そんなにお給料安いのだろうか。それでも、お金が無い? それが何? 奨学金とアルバイトでなんとかする、アタシは都会へ行くの!! と絶対にぶれないクリスティンのど根性が凄い。天晴れ。
オープニング、礼拝に臨む大勢の生徒たちの中でもひときわ光り輝くティモシー・シャラメにときめくも、彼が扮するカイルはヤな奴だった。美し過ぎるティミーが、またそれにドハマリしていた(笑)。そして今作ばかりはルーカス・ヘッジズくんに一票だった。クリスティンと抱き合って泣くシーン、彼の最後の舞台のシーンで涙腺がゆるんで、それからの展開はもう、涙滂沱ですよ・・・。親友との諍いと和解、母との冷戦。父が架けてくれた橋。ニューヨーク。ブルース!!
これは遂にメジャー・ヒッターとなったグレタ・ガーウィグの、故郷へのラブレターですね。故郷ってもちろんサクラメントのことだけど、両親、特に母親のことでもある。愛情があり過ぎて、反発し合う似た者母娘。ありがとうが言えない、素直になれないふたり。それを見守る父親がまた、、、深過ぎる。
しかしこういう小品と呼ぶべき映画が評価されて、オスカー候補にもなるってなかなか、アカデミー協会も捨てたもんじゃないですね。刺さる人には刺さる、そうでない人、例えば、ずーっと地元にいて実家住みの人とかには、普通の映画かもしれない。私? 刺さり過ぎて瀕死でした。

↑ ↑ ↑ 悪いほうのティミー、カイルくん ↑ ↑ ↑
(おまけ) クリスティンの初体験のシーン。彼女がブラジャー外してないのが興醒めだったのですが、あれはレイティングの関係なのかも、と思いました。相手に言われたことは全てそのまま信じるクリスティンが、自分とダブって痛かったです(泣)。
( 『レディ・バード』 監督・脚本:グレタ・ガーウィグ/
主演:シアーシャ・ローナン、ローリー・メトカーフ/2017・USA)
God's Own Country

(公式サイト)
2017年に各国で公開された、ヨークシャーが舞台の英国映画です。著名な俳優は出ていない低予算のインディペンデント映画のようですが、Rottentomatoes ではなんと 99%Fresh の高評価。サンダンスなど映画祭でもいくつか受賞しています。
これもう、私、絶対、好きだと思う! とずっと気になり、観たいなぁと思っていたのですが・・・。北イタリアの沼にハマってすっかり忘れていました。 が。
なんと、第27回レインボー・リール東京 ~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭 にて上映が決定したそうです。来月ですね♪ 観に行ける方は私の代わりに是非観て、盛り上げて来てください! その勢いで日本公開も決まるといいなぁ~。てか絶対全国公開してくれ!
まぁ、私はどんな手を使ってでも観るつもりですが(決意)。
2018-06-07 :
GOD’S OWN COUNTRY :
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最高かよ! 真紅的第90回アカデミー賞

『レディ・バード』 をもって今年のアカデミー作品賞ノミネート作コンプリート。せっかくなので個人的ベストを。
まぁ、お遊びなのであまり深く考えずに、自分の 「好き」 を基準に。
真紅的第90回アカデミー賞 作品賞ノミニー好きな順
①君の名前で僕を呼んで
②スリー・ビルボード
③ファントム・スレッド
④レディ・バード
⑤ダンケルク
⑥シェイプ・オブ・ウォーター
⑦ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
⑧ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男
⑨ゲット・アウト
主演男優賞: ティモシー・シャラメ
文句なし。
主演女優賞: サリー・ホーキンス
フランシス姐さんも凄かったけど、サリー・ホーキンスが一世一代のハマり役と思ったので。
助演男優賞: ウィレム・デフォー
ボビーーー!! この部門が一番納得いかないなぁ。リチャード・ジェンキンスがノミニーだけど、そこはアーミー・ハマーでしょう。
助演女優賞: ローリー・メトカーフ
ここが一番の激戦区! アリソン・ジャネイ、怖過ぎた。授賞式でまさかのメリル様とドレス被りも受賞! おめでとう!! しかしミリ単位の表情演技でメゾン・ウッドコックを仕切るレスリー・マンヴィルにも痺れた。それでも、レディ・バードのお母さんに!
監督賞: クリストファー・ノーラン
ギレルモさんの受賞は本当にめでたいと思うけれど、ノーランでしょ。
外国語映画賞: 今年は受賞作の 『ナチュラル・ウーマン』 しか観れてません。残念!
◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇
↑画像は授賞式後のトムハのインスタ。ゲイリー・オールドマンの授賞スピーチ素晴らしかったですよね。 ”she is 99 years young!” って力強く。ケトルオンってところがもう、エゲレス人や~~って萌えまくり(笑)。トムハもゲイリーも、最高かよ!!
because he's more myself than I am. ~『君の名前で僕を呼んで』#9

先のエントリで、映画のいいところは時を経て観返すことができること、と書いた。けれど、好きな映画は時を経なくても繰り返し映画館に観に行くことができる(どこかで上映してくれている限りは)。何度も何度でも観たい、それを登場人物たちに 「会いに行く」 と表現することもある。
『君の名前で僕を呼んで』 が大阪ミナミに帰って来た。アメリカ村(シネマート心斎橋)まで、エリオとオリヴァーに会いに行く。5回目。実は前日に 『レディ・バード』 を観たばかり。髪型のせいもあって、ティミーがすごく幼く見える。カイル(レディ・バードの役名)とエリオは年齢設定が同じなのに、全くの別人。ただし、美し過ぎることだけは同じ。長過ぎる睫毛にクラクラする。
オリヴァーは3度振り返る。一度目はエリオの 「秘密の場所」 へ向かう時。二度目は二人で滝へ向かう前に。最後は、ミラノへ向かう列車の汽笛を聞いた時。そして三度目だけ、振り返る方向が違う。
アメリカではストレートの男性として生きているオリヴァーは、北イタリアのどこかでほんの数週間、「本当の自分」 として生きた。更にエリオと二人だけで過ごしたベルガモでの数日間が、最も自分らしくいられた時間だっただろう。彼は自分の属する世界を振り返り、その世界に戻っていく。駅に一人取り残されたエリオの表情を、私たちは見ることができない。それはオリヴァーだけが知っている。オリヴァーだけが知るべきだから。
“Call me by your name(and I'll call you by mine.)” 「君の名前で僕を呼んで(僕の名前で君を呼ぶ)」。これは原作でエリオが思い浮かべる “because he's more myself than I am.” 「彼は私以上に私そのものだから」--エミリー・ブロンテ 『嵐が丘』 より--という意味なのだと思う。互いの中に自分を見い出すこと。そこには本来、苦悩や呪縛などなく、自由と解放があるはず。オリヴァーは24歳で、それなりに経験もあっただろう。しかし、彼はエリオの中に初めて自分を見たのではないか? それは多分、生涯でたった一度。
最後の電話を切った後、暖炉の前でエリオが涙を流したように、オリヴァーも泣いていたのではないか? そう私は思うのです。葛藤は、彼の中に確実にある。声高に語られないだけで。
(続く)
2018-06-03 :
CALL ME BY YOUR NAME :
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『海よりもまだ深く』

15年前に文学賞を受賞したきり、鳴かず飛ばずの小説家・篠田良多(阿部寛)は、妻・響子(真木よう子)にも愛想を尽かされ離婚。興信所で探偵をしながら糊口をしのいでいるものの、ギャンブル依存のために月一回の一人息子との面会日にも金策に苦心する有様。団地で独り暮らす老いた母(樹木希林)のもとへ、金の無心に赴くのだった。
『歩いても歩いても』 の姉妹編のような、是枝裕和監督の新作。樹木希林と阿部寛が演じる、親子の会話は絶品。いつまでたっても息子がかわいい母と、その母に甘えて自立できない男の哀しさ、情けなさが際立つ。「なりたかったものになれた?」 ほとんどの大人にとって、それは残酷な問いかけだろう。あの頃の未来に、僕らは立っているのかな・・・。
しかし、泣く気満々だったにも関わらず、私は泣けなかった。樹木希林が放つ名言の数々に心揺さぶられ、阿部寛ってこんなに演技巧者だったのかと驚きつつも、是枝監督の目線の 「偏り」 が気に障って仕方なかった。
正直、私はこの作品に感動し切れなかった。あまりにも身勝手で大人になり切れない良多に対して、女たち(特に母、元妻)がやさし過ぎる。虎の子の給料を競輪でスって、養育費を滞納して姉(小林聡美)の職場まで押し掛けて借金を頼む。最低。シングルマザーの響子にとって、経済は死活問題のはず。なのに新しい恋人(年収1500万!)に元夫の小説をdisられ、伏し目がちになるなんて、、、いやそれ良多の願望でしょう。
元夫の実家に泊って 「お母さん」 を連発する響子、、、あり得ませんから。それにお母さん、いくら息子が心配だからって、元嫁をハメちゃいけません。自分の息子や夫や弟がこんなだったら、めっちゃ嫌な気分になると思う、私だったら。そんなやさしくなれませんって。ていうかね、シングルで子ども育てていたら、毎日がもう、必死なんじゃない? 今日明日の生活が大事で、「自分はなりたいものになれたのか?」 なんて、自問自答している暇はないですよ。いっそ良多が息子を引き取って、育てればいいのに。
良多=監督の、母や妻や姉にはこうあって欲しい、いつまでも夢を追いかける自分をやさしく見守って欲しい、っていう甘えが根底にあって、ちょっと勘弁、だったなぁ。結局、この映画ってファンタジーなんだな、と思いました。ただ・・・。
「寝たきりと、ポックリ逝って生きたまま夢に出て来る、どっちがいい?」
「・・・寝たきり」
この会話だけは、ほんとグッときたなぁ。どんな姿でも、生きていて欲しい。母に対するその感情には、私も共感します。
( 『海よりもまだ深く』 監督・原案・脚本・編集:是枝裕和/
主演:阿部寛、真木よう子、池松壮亮、樹木希林/2016・日本)