COCHI CAFE
運命は自ら支配せよ~『オール・ユー・ニード・イズ・キル』

EDGE OF TOMORROW
近未来。エイリアンの侵略により、地球人類は滅亡の危機に瀕していた。米
軍広報官ウィリアム・ケイジ(トム・クルーズ)は、実戦経験の無いまま、ロンド
ンで最前線に送られてしまう。戦闘開始後、あっけなく戦死するケイジだった
が、目覚めると死の前日に戻っていた。
エイリアンの返り血を浴びたことでループ能力を身に付けた男が、スキルア
ップを重ねて人類を救うSFアクション。原作は日本のラノベ(未読)ということ
で、楽しみにしていた一作。面白かった! 深読みや突っ込みはご法度の、
純然たるエンタメ作品。珍しくヘタレなキャラクターで登場のトム・クルーズに、
お? と思わせられるのも束の間。さすがはミスター・ハリウッド、最強戦士
に変貌していく様はワクドキもの。

そして、トム以上に素晴らしく興奮させてくれたのが、FULL METAL BI
TCHこと戦場の女神・リタを演じたエミリー・ブラント。小さく、完璧に美しい
顔、逞しく筋肉のついた二の腕。ためらうことなくケイジを 「リセット」 す
る潔さ! 悶絶しそうなほどカッコイイ! 生物学者がデイヴィッド・ヘル
フゴットだったのもツボでした(笑)。
耳に残る機械音 【reload】 が心地よい。まだ息子が小さかった頃、暇
を持て余す長期休み、せがまれてゲーセンに連れて行くのが嫌で嫌で仕
方なかった。しかし、リセット、リロード、スキルアップと、私の中にもゲーム
言語はしっかり根を張っているのだなぁ、と実感。逆に、ゲームを全くしな
い、関心のない人には面白い作品ではないのかも、と思ったり。

スクリーンいっぱいに拡がるトムのハリウッド・スマイルで幕を閉じるこの
作品。エンドロールの初っ端に ”Director: Doug Liman”と出て、ああ、
これは面白いはずだわ、と納得。しかも共同脚本の一人はクリストファー・
マッカリー。職人の技、ですね。
( 『オール・ユー・ニード・イズ・キル』 監督:ダグ・リーマン/
主演:トム・クルーズ、エミリー・ブラント/2014・米、豪)
不条理な悪夢~『複製された男』

ENEMY
冴えない歴史教師アダム(ジェイク・ジレンホール)は、ある日同僚に映画を薦
められる。DVDで観たその作品には、なんと自分と瓜二つの俳優が出演してい
た。好奇心を抑え切れないアダムは、アンソニーという名のその俳優に近づいて
ゆくのだったが・・・。
今年のベスト作の一本、『プリズナーズ』 の監督・主演コンビの新作ミステリ
ーと聞けば、観逃すわけにはまいりませぬ。しかも原作は、ノーベル文学賞受
賞者であるジョゼ・サラマーゴ。シアターも満席。全編くすんだ色彩で設計された
画面、不安を煽る音楽、「何か」 を象徴する不気味な蜘蛛と、ミステリアス全開
で引き込まれる90分。しかし・・・。ラストシーンで、その緊張は一気に急降下す
る。エンドロールの間、頭の中は 「???」 でいっぱい。帰りの電車の中でも、
思い返して考えを巡らせてしまった。
※ 以下、ネタバレします。個人的感想&解釈です。 ※

アダム/アンソニーは同一人物で、アンソニーが既婚の歴史教師であり、俳
優としての彼は深層心理でアンソニーが作り出した別人格(もしくは妄想)。妻ヘ
レン(サラ・ガドン)の言う 「あの女」 とは、過去の浮気相手メアリー(メラニー・
ロラン)で、繰り返しアンソニーが思い出す妄想(メアリーはいつも同じ服装をし
ている)。アンソニーが妻に 「有機栽培のブルーベリー」 を買わそうとするのも、
母(イザベラ・ロッセリーニ)に薦められたから。ワンシーンしか登場しないこの母
親役に、ジェイクと全く似ていないイザベラ・ロッセリーニをキャスティング。これ
は意味深。ブルー・ベルベット。
しかし、あのラストシーンはいただけない。ヘレンには、最後に一言 「決めセ
リフ」 を言って欲しかった(「学校はどう?」 がそれだと言えなくもないが)。
あのラストだと、ヘレンすらアンソニーの作り出した妄想、あるいは幻覚なのか?
という疑念が残る。
もう一回観たらわかるのかな~。いや、ますますわからなくなる気もする。

ジェイク・ジレンホールは、ほぼ全編一人芝居であるにも関わらず、微妙な心
理を演じ分けていて(アダムとアンソニーは十分、別人に見える)、相変わらず
素晴らしい! やっぱり大好きな役者さん、そろそろオスカーの予感? そして、
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。こんなにもワケのわからない映画を面白く撮る、そ
の才能は天晴れ。これからも、目が離せません。
( 『複製された男』 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ/2013・カナダ、スペイン/
主演:ジェイク・ジレンホール、メラニー・ロラン、サラ・ガドン、イザベラ・ロッセリーニ)
marimekko とグラノーラパフェ
本町での仕事を終え、心斎橋まで歩こうとプラプラしていたら。
あらまぁ、marimekko 大阪店さん! お久しぶり♪

しかし、寄ったが最後…。


かわいいものと、甘いものの誘惑に弱い私なのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
おまけ。

エネルギー補給したので、なんばまで歩きました^ ^
あらまぁ、marimekko 大阪店さん! お久しぶり♪

しかし、寄ったが最後…。


かわいいものと、甘いものの誘惑に弱い私なのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
おまけ。

エネルギー補給したので、なんばまで歩きました^ ^
テーマ : こんなことがありました
ジャンル : ブログ
ガス。
It's not your fault.
永遠の少年/踊る人生~『リアリティのダンス』

LA DANZA DE LA REALIDAD
THE DANCE OF REALITY
1920年代、南米チリの町トコビージャ。ロシア系ユダヤ人少年、アレハンド
ロ・ホドロフスキー(イェレミアス・ハースコヴィッツ)は、抑圧的な父ハイメ(ブ
ロンティス・ホドロフスキー)と、息子を父の生まれ変わりだと言う信心深い母、
サラ(パメラ・フローレス)と暮らしていた。
カルトの巨匠、アレハンドロ・ホドロフスキーの自伝から、少年時代のエピソ
ードを映像化した作品。なんと、23年ぶりの劇場公開作品とのこと。私にとって
は初・ホドロフスキー。少し身構えていたけれど、赤いスクリーンに金貨が踊り、
「お金」 について語り始める監督を観て、「この人とは気が合う」 と確信(笑)。

「アレハンドロ・ホドロフスキー」 の名前を知ったのは、実は今年の初め。ニ
コラス・ウィンディング・レフン監督が、あの怪作 『オンリー・ゴッド』 を彼に捧
げていたのだ。賛否両論と言うよりは、圧倒的に 「否」 が多かったあの作品、
私はガツーーーンと脳髄に来た。その作品が捧げられた人物、気にならない
わけがない。
もっともっと、タブーやフリークスやアブノーマルテンコ盛り、なのかと思いき
や、意外と身構えるほどでもなく。良識や規制からは限りなく自由ではあるけ
れど、心の痛みを知っているやさしい人、というのが監督の印象。父ハイメが、
鳥の羽根で息子をくすぐり、「絶対に笑うな!」 というギャグ(?)のような虐待
のような場面で、何故か松本人志の顔が浮かんだ。「松っちゃんは、ホドロフス
キーを目指すべき!」 と言いたい(笑)。

鮮やかな色彩で、人間の内に在る神と業とのせめぎ合いを描いた作品。自ら
の原点たる家族と、幼少期を客観視できたとき、人は少しだけ大人になれるの
かもしれない。ホドロフスキーには、これからも 「全てのはみだし者たち」 にと
っての太陽で在り続けてほしいと願う。その命が尽きようとも。
( 『リアリティのダンス』 監督・原作・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー/
主演:ブロンティス・ホドロフスキー、パメラ・フローレス/2013・チリ、フランス)
テーマ : この映画がすごい!!
ジャンル : 映画
記憶の中のあなた~『思い出のマーニー』

札幌に住む孤独な12歳の少女・杏奈は、喘息の療養のため、遠縁が暮らす
道東の田舎町でひと夏を過ごすことになる。入り江に面した旧い屋敷に惹かれ
た杏奈は、マーニーと名乗る金髪の少女と出逢う。
宮崎駿引退後、初のスタジオジブリ作品。『借り暮らしのアリエッティ』 が嫌い
ではなかったので、米林宏昌監督への期待を胸に初日に鑑賞。う~ん、しかし
・・・。
私はダメでした。残念! これだったら、『アナ雪』 の吹替え版を観ればよか
った、と激しく後悔。ガッカリ。

あまり語りたくもないですが、脚本が、ダメだと思うんだよね・・・。マーニーが
登場するまでが退屈過ぎるし、後半の種明かしも急ぎ足過ぎる。「大好きよ!」
とか、「どうして私を裏切ったの?!」 とか、セリフも興醒め。期待(?)してい
たほど百合ゆりしい物語ではなかったけれど、もうちょっとなんとかならなかっ
たのでしょうか?
でも、なんか評判は良さげですよね・・・。種田陽平氏の美術はさすがだし、月
が浮かぶ夜の入り江の美しさは最高なんですが・・・。無口な釣り人はハイジの
おじいさんに、メガネ女子さやかちゃんはトンボとめいちゃんの合体だったこと
を覚え書き。
というわけで、皆さん楽しんで下さい・・・。トホホ。
( 『思い出のマーニー』 監督・共同脚本:米林宏昌/2014・日本)
どこまでも落ち続ける。~『渇き。』

ヤメ刑事の中年男・藤島(役所広司)は、別れた妻から高校生の娘・加奈子
(小松菜奈)が失踪したとの連絡を受ける。加奈子の交友関係を洗い始めた
藤島は、自分が知らなかった娘の素性を知ると同時に、元職場である警察と、
非合法組織が絡んだ裏社会の抗争に巻き込まれてゆく。
「僕が初めて、どうしても撮りたい、撮らなければならないと思った映画です」
「えー、中島カントクゥ、じゃあ今までの作品は何やったん?」
新作がとかく話題になる中島哲也監督作品は、『下妻物語』 が大好きなゆ
え、劇場で観てきた。しかしよく考えると、『下妻』 以外は特に好きな作品って
ないかも・・・。中島監督が 「鬼才」 と呼ばれるのもわかるし、スタイルを持っ
た才能ある人だというのもわかる。でもねぇ、、私は好きじゃないですね、この
映画は。
途中で出た人や、終映後もなかなか立てず、前の席の背もたれに突っ伏し
ている人が何人もいたのが印象的。疲れた、確かに。
※以下、あくまで個人の感想です

よく見つけてきたな~、と感心するほど、小松菜奈がハマり役。すんごい性格
悪そう(笑)。この子、松本潤に顔が似てると思う。 中島監督って、結局中谷美
紀と黒沢あすかが好きなんだな。ブッキーは今ひとつ(かくほ~、とかお前が言
うな! しかも殺してるし!)と思ったけれど、我らがオダギリジョーがもう、圧巻
ですよ・・・。スニーカー履いて、今回はフェロモン全開。それだけは観てよかった
と思えるかな。
残酷描写や、モラルがどーのこーのと言うつもりはないけれど、ラスト近くに
なるともう 「長!」 「いつまでやるん?」 と思ってしまった。てっきり二時間超
えの作品かと思ったら、120分切ってるんですね(笑)。 『悪の教典』 が子ど
も騙しに思えるほど酷い描写は、面白くもなんともない。気分が悪いだけ。飽
きた。

映像が考え抜かれている? 音楽が斬新? 脚本が素晴らしい? へー、そう
なんだ。 でもね、あたしゃ許さないよ。
( 『渇き。』 監督・共同脚本:中島哲也/2014・日本/
主演:役所広司、小松菜奈、妻夫木聡、オダギリジョー、中谷美紀)