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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

兄弟(姉妹)は他人の始まり~『8月の家族たち』

8月の家族たち






 AUGUST: OSAGE COUNTY


 8月。オクラホマ州オーセージ郡に住むウェストン家の長、ベバリー(サム・
シェパード)
失踪する。家にはの治療中で薬物依存症妻バイオレット
(メリル・ストリープ)
と、住み込みの家政婦ネイティブ・アメリカンのジョナ
(ミスティ・アッパム)
が残される。離れて住む長女のバーバラ(ジュリア・ロバ
ーツ)
ら、家族が次々に駆け付ける中、ベバリーのの知らせが届く。

 ある 「不在」 により、底が抜けたように家族間の軋轢が見え始める群像
劇。アカデミー賞において、メリル・ストリープとジュリア・ロバーツが主演・助
演女優賞にWノミネート
されていたが、、、。いやぁ、メリル・ストリープ怖過ぎ
る。その圧巻の演技力はもはや 「精密機械」 の域に達しているとすら思え
るほど。彼女の 「最強伝説」 がまた更新されたのも、納得。劇中、娘の一人
アイビー(ジュリアンヌ・ニコルソン)が 「モンスター!」 と叫ぶ場面があるが、
タイトルを 『8月の怪物たち』 とつけてもいいのでは? と思えるほど、私に
とっては怖い映画だった。家族って、親子って、兄弟(姉妹)って、、、。人間っ
て、怖い


8月の家族たち2

 サム・シェパードのモノローグで始まり、ジュリア・ロバーツのクローズアップ
で幕を閉じるこの作品。とにかく驚きのキャストの豪華さユアン・マクレガー
クリス・クーパーの顔を観て喜んでいる場合ではない。ベネディクト・カンバー
バッチ
って本当に売れっ子だなぁ。そして、あら懐かしやのジュリエット・ルイス
痛い役柄はちょっと気の毒な気もしたけれど、それも女優さんの宿命ですね。。

 アメリカの 「太ったおばさん」 を演じさせたらこの人、のマーゴ・マーティン
デイル
。バイオレットの妹、マティ・フェイの 「あたしはただの太ったおばさん
じゃないわよ(ニヤリ)」
 このシーンが一番怖かった! 最恐。夫と妹の不貞
を知っても、バイオレットは黙ってそれを受け入れていた。内心では、もちろん
葛藤もあっただろう。しかし人生は点ではなく線であり面であり、親子、姉妹、
夫婦、それぞれに歴史がある。ある点は許し難くても、ある点では恩義を感じ
ていることもある。一筋縄ではいかないのが人間関係であり、人生であり、
というものの難しさ
だとも思う。

8月の家族たち3

 そんな人間関係に疲れたり、耐えられない人たちは、孤独や死を選ぶ。気楽
に、むしろ開き直っていないと、人生を乗り切るのは難しい。灼熱の平原で、正
気を保つが如く。ベバリーは、娘たちがバイオレットの元を去って行くことをわか
っていた上で、ジョナを遺して逝ったのだろう。そして、誰もいなくなった。

 ( 『8月の家族たち』 監督:ジョン・ウェルズ/2013・USA/
      主演:メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ、サム・シェパード
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テーマ : 考えさせられた映画
ジャンル : 映画

2014-05-31 : 映画 : コメント : 4 : トラックバック : 23
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週末 邦画2本

週末に2

 二度寝したり友人とパンケーキ食べたり、中間テスト期間中で腐ってる息子
(あーあ、何で勉強ってしなあかんの?) と話したりしながら、土曜、日曜と
観たのは邦画、2本。


 ◆ぼくたちの家族

 ◆青天の霹靂

 岡田くん、ごめんよ^^;

 感想は後日♪

週末

テーマ : こんなことがありました
ジャンル : ブログ

2014-05-25 : 徒然 : コメント : 0 :
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最強のロールケーキは? 

8b2

 とかく 「おいしいもの」 の話は尽きないものですが。

 女3人で会話中、「一番おいしい(好みの)ロールケーキはどこの?」 という
ハナシになりました。

 私はもちろん、「es KOYAMA の 小山ロール」 に一票。しかし、他のお二人
は声をそろえて 「8bロール」 とおっしゃる。ちなみにこのお二人、ともに60代
半ばのマダム。人生の、それも 「おいしいもの」 に対する経験値は半端じゃ
ございません。

 8bロール、、、近頃、大型スーパーの催事で何度か見かけたわ。。しかし、ここ
はやっぱりお店へGO! とばかりに行って参りました。「8b DOLCE 北堀江店」

8b

 う~む。確かに、確かにおいしい! スポンジがきめ細かいわりにしっかりし
ていて、流行りの 「ふわふわ」 スポンジがNGな私好みですわ~。あっさりめ
の生クリーム
もGood!

 でも、、でもでも、、、。やっぱり 「最強のロールケーキ」 は、「小山ロール」
と私は言いたい


パンケーキ





 これは パンケーキ

 by PORCO


丸福



 そしてこれは

 ホットケーキ

 by 丸福珈琲


テーマ : 関西の美味しいお店
ジャンル : グルメ

2014-05-24 : パンとか、カフェとか。 : コメント : 4 :
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身に覚え~『アデル ブルーは熱い色』

アデル





 LA VIE D'ADELE - Chapitres 1 et 2
 
 BLUE IS THE WARMEST COLOR


 どこか満たされない思いを抱えていた高校生、アデル(アデル・エグザルコプ
ロス)
は、ある日街ですれ違った青い髪の女性に激しく惹かれる。彼女は美大
生エマ(レア・セドゥ)
。偶然再会した二人は恋に落ち、一緒に暮らし始める。

 カンヌ映画祭で、監督と主演女優二人にパルムドールが授けられた話題作。
やっと観ることができました。ほぼ3時間の長尺ながら、全く飽きることも時間
が気になることもなく、引き込まれて観ていた。ある女の子の、17歳からの熱
く、焼けるような、激情の数年間。そう、ブルーは 「激情」 の色

 ブルー、同性同士の恋愛、というキーワードから、我が愛する 藍宇 を
連想してしまう。考えてみれば、男同士の恋愛映画はいくつか思い浮かべる
ことができるが、女同士のものは初めて観るような気がする。「憧れ」 程度
の描写はあっても、ここまでガチに描かれた映画って、今まであったのだろう
か?(あれば教えて下さい) しかし全くセンセーショナルでも何でもなく、誰
の身にも起こり得る、普遍的な恋物語だった。

アデル2

 カメラは、クローズアップを多用してアデルを追う。口を半開きにして寝る姿、
食欲旺盛に食べまくる姿、鼻先を赤くして泣く姿。アデルは本当によく食べる。
初デートで、男の子から 「クレープでも食べる?」 と言われて、「ケバブがい
い」 と答えるような子なのだ(笑)。お腹が空けば食べ、寂しければ浮気する
アデル。欲望に忠実な彼女はしかし、恋愛における 「ルール」 を学ばなけれ
ばならなかった。奔放なようでいて、エマは 「のりしろ」 を嫌うひと。性の垣根
を越え、狂おしいほど誰かを求めながら(それはアデルであってもよかったの
に)、失い続ける人生を、彼女は選ぶ。アデルは感覚的で、エマは理知的だと
も言えるだろう。だからこそ惹かれ合ったのだし、別れもまた、必然だったのか
もしれない。

 もちろん、エマには芸術家として成功するための 「処世術」 も必要だった
のだと思う。新しいパートナーとの関係は、ビジネス抜きには考え難い。アデ
ルよりも、エマのほうが少しだけ先を歩き、曲がり角で消えてしまう。正統派
美人とは言い難いし、すきっ歯を隠そうともしないレア・セドゥ。なんてカッコイ
イ女なんだ! 惚れてしまうではないか・・・。(余談だが、ヴァネッサ・パラディ
もすきっ歯ですよね? フランスは歯並びに寛容なのだろうか)

アデル3

 エマの髪の色が変わってしまっても、青い色を身につけるアデル。歩き去る
彼女の後姿は、決して下を向いてはいない。人生の第三章に向かって、彼女
は歩く。

 ( 『アデル ブルーは熱い色』 監督・共同脚本:アブデラティフ・ケシシュ
     主演:アデル・エグザルコプロス、レア・セドゥ/2013・仏、ベルギー、スペイン)

テーマ : ★おすすめ映画★
ジャンル : 映画

2014-05-23 : 映画 : コメント : 8 : トラックバック : 20
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身を捧げる~『そこのみにて光輝く』

そこのみにて光輝く

 函館、夏。山の事故で心に傷を負った達夫(綾野剛)は、パチンコと酒に明け
暮れる自堕落な日々を送っていた。偶然出会った天真爛漫な青年・拓児(菅田
将暉)
に連れられて向かった海辺の家で、達夫は拓児の姉・千夏(池脇千鶴)
出逢う。

 年に一回あるかないか、劇場予告を観て初めて公開を知った映画に、心奪わ
れる
ことがある。特に、情報が少ない邦画で。「絶対に、観逃してはならない。観
なければ」
 と思う作品に。例えば、監督失格(2011)、その夜の侍(2012)。
そして、本作 『そこのみにて光輝く』(2014)。素晴らしかった。心が震え、泣い
ている。

そこのみにて光輝く2

 綾野剛という俳優の存在を知ったのは クローズZERO(2009)だったと思
う。あれよあれよという間にトップ俳優の仲間入りをし、あれから一体何本の
映画で、彼を観てきただろう。そして、本作でやっとわかった。彼の魅力、各方
面から引っ張りだこの理由
を。綾野剛という役者が、唯一無二であること、演
じるために生まれてきた人間
であることを。

 彼だけではない。この映画、役者がみな、素晴らしい池脇千鶴のムチムチ
のリアル(彼女は日本一の女優だ!)、菅田将暉の汚い歯(天才か!)、高橋
和也
のずるい目(元アイドルの面影なし!)、伊佐山ひろ子の諦観。天晴れ。

 拓児は、心のどこかで千夏を救いたかったのだな。だから達夫と姉を引き合
わせた。千夏が見せる 「女の顔」。「山行く前、死んだ人のお墓参り行こ」。
千夏にそう言われて、彼女に抱きついて泣く達夫。一番好きなシーン。千夏は、
達夫や家族にとって 「マリア」 なんだな。自分を差し出して、犠牲にして、周
りの人間を守ろうとする聖母
。やさしいが故に、そんな彼女は底なしに堕ちて
ゆくしか、生きる術がない。

そこのみにて光輝く4

 呉美保監督の作品は初。長回し、と言われて初めてそうだったと気付くような、
無理せず、主張せず、役者が役を自然に生きる姿を捉えた映像が、美しい。
悲惨で、救いようのない境涯が描かれてはいるはずなのに、画面の端々にや
さしさと芯
を感じる。居場所がない、と感じながら、底辺で生きる人々。監督の
意図を体現する役者たちによって、生まれるはずがなかった希望が生まれる 
「瞬間」
 を目撃できた喜びに震える。言い切ってしまおう。この作品自体が、ひ
とつの 「奇跡」 であると。

そこのみにて光輝く3

 ( 『そこのみにて光輝く』 監督:呉 美保/2014・日本/
           主演:綾野剛、池脇千鶴、菅田将暉、高橋和也、伊佐山ひろ子、火野正平

テーマ : ★おすすめ映画★
ジャンル : 映画

2014-05-17 : 映画 : コメント : 6 : トラックバック : 15
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『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』

キャプテン・アメリカWS





 CAPTAIN AMERICA:
 THE WINTER SOLDIER



 キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)は、
シールド長官ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)から 「誰も
信じるな」 
と警告され、その身に危険が迫っていることを知る。

 アベンジャーズとかシールドとか、(個人的に)もはやわけがわからなく
なってきているマーベルコミックシリーズ。もういいかな、と思いつつ、何
やら本国アメリカで大ヒットスタートとのこと。評判もよいようなので劇場
へ。確かに、面白かった。ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフ(スカ
ーレット・ヨハンソン)
が、どーしてキャプテン・アメリカとコンビを組んでい
るんだ、、という基本的な疑問はとりあえず置いておくとして。

キャプテン・アメリカWS2

 スカちゃんもお色気は封印してクールに頑張っているし、キャプテン・ア
メリカって生身の人間よね、、と時々思い出しながらアクションを堪能。
ンドロール途中と最後のオマケ
も、いつも通り巧い。でもやっぱり、最後ま
で観ずに席を立つ人、多いよね~。

 ロバート・レッドフォード、アメコミ大作に出るなんて意外。でも結構悪役
がハマっていましたよ。あのダークヘアの女性エージェント、もしかして
ッパー・ポッツの後釜? スターク社で面接
してたような気が・・・。

 最後の最後に出てきた、あの双子が気になる~。。女の子はエリザベ
ス・オルセン
、出世したね~。これでまた次も観に行ってしまうのだろうか。
まんまとマーベル商法に乗せられている気がする私(笑)。

キャプテン・アメリカWS3

 ( 『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』 2014・米/
     監督:アンソニー&ジョー・ルッソ/主演:クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソン)

テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

2014-05-15 : 映画 : コメント : 0 : トラックバック : 9
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選ばれし者~『LEGO(R)ムービー』 【2D・吹替え版】

レゴムービー





 THE LEGO MOVIE


 ブロック・シティに住む工員エメットは、究極のマニュアル人間。喜怒哀楽、
生活の全てをマニュアルに従って生きている。そんな彼が 「選ばれし者」 
と勘違いされ、レゴワールドを救うべく冒険の旅に出ることになるのだが・・・。

 字幕版は日本国内で2館(!)しか上映しておらず、吹替え版の予告の酷さ
に観る気を失くしかけていたのですが、気を取り直して鑑賞。あのレゴブロッ
クを使って、どんなストップモーション・アニメが出来上がっているのかと興味
津津だったから。でも観てみてビックリ、なんとこれCGアニメですね(笑)。
 小さなお子さんを連れたご家族が多かったけれど、皆さんおとなしく、お行
儀よく鑑賞していて感心、感心。レゴといえば知育玩具の雄、だもんね。

 ※ 以下、激しくネタバレします。

レゴムービー2

 お話の方はと言えば、終盤、まさかのメタ展開にビックリ! いや~、巧くで
きてる! 思えば、ブロック・シティはじめ、レゴワールドの光(ライティング?)
がおかしいな、と感じながら観ていたのですが、あれは半地下の光だったので
すね。
 頭のいい人なら、おしごと大王がバッドコップの両親を動けなくした 「兵器」 
が、グルーだとすぐ気付いたでしょう。そして、レゴワールドを救うアレ、がグル
ーのフタだったとは・・・。まさか、まさかのウィル・フェレル様の登場には!

 続編あるあるなエンディングでしたが、やっぱり次は字幕版で観たい。よろし
くお願いしますよ~。

レゴムービー3

 ( 『LEGO(R)ムービー』 監督・脚本:フィル・ロード、クリストファー・ミラー/
                                     2013・豪、米、デンマーク)

テーマ : アニメ
ジャンル : 映画

2014-05-14 : 映画 : コメント : 0 : トラックバック : 17
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誰も寝てはならぬ~『ワン チャンス』

ワンチャンス






 ONE CHANCE


 ウェールズの小さな町に住むポール・ポッツ(ジェームズ・コーデン)は、歌う
ことが大好き
な青年。幼少のころからいじめられ、冴えない外見の彼だったが、
ヴェニスの音楽学校に行って憧れのパヴァロッティに会い、オペラ歌手になり
たいというを抱いていた。

 2007年英国の素人参加番組 『ブリテンズ・ゴット・タレント』 で優勝し、
一躍世界的歌手となった青年の物語。実話の映画化。またはキャメロンとブ
ラッドの恋。

 「事実は小説より奇なり」 とは言うけれど、これほど波乱万丈、事件テンコ
盛り、人生ネタ帳
、的な実話があったとは・・・。これはもう、映画にするしかな
いですね(笑)。ノースター映画だけど、本当に観てよかった。音楽と愛がいっ
ぱいな小品
。ポールを実際に審査した、サイモン・コーウェルが製作に名を連
ねている。

ワンチャンス2

 ポールは運に見放されていたようで、実は神様がずっと彼を試していたんだ
な。何があっても、夢を諦めないか? 歌うことを捨てないか。神は試練を与え
続けながら、彼の周囲にはちゃんと 「守護天使」 を送りこんでいる。

 どんな状況でも、ポールを信じて支え続けた妻ジュルズ(アレクサンドラ・ロー
チ)
。まぁ~、この子がまたなんとも気立てのいい娘でねぇ。。泣かすわ。彼の
もまた、息子を叱咤激励するでなく、好きなことを認め、ありのままの彼を愛して
いる
。それって簡単なようでいて、実はとっても難しいこと。演ずるは英国映画の
佳作 『カレンダー・ガールズ』 メンバーのジュリー・ウォルターズ。そして何と言
っても、ポールを 「ポッツィ」 と愛情込めて呼ぶ店長・ブランドンですよ! マッ
ケンジー・クルック!
 パイレーツの人!(笑)。彼が拝めただけでも、この映画を
観てよかったと思える。

ワンチャンス3

 マッチョな価値観を持つ父も、決して悪人ではない。ワーキングクラスに生ま
れ育った彼にとって、オペラなんて騒音以外の何物でもない。不運続きで人生
につまづき続ける一人息子が歯がゆくてならない
気持ちもよくわかる。そんな
夫を掌の上で巧く操縦している母が、やっぱり素晴らしい。

 ポール本人の成功譚は、ある意味お約束。それを取り巻く傍流のエピソード
が、心温まる作品ウェールズ、ヴェニスの風景も、また目に麗しいのです。

 ( 『ワン チャンス』 監督:デヴィッド・フランケル/2013・UK、USA/
      主演:ジェームズ・コーデン、アレクサンドラ・ローチ、マッケンジー・クルック

テーマ : ★おすすめ映画★
ジャンル : 映画

2014-05-12 : 映画 : コメント : 0 : トラックバック : 17
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人生の真髄~『LIFE!』

ライフ!





 THE SECRET LIFE OF WALTER MITTY


 NYLIFE誌の写真管理部に勤務するウォルター・ミティ(ベン・スティラー)
は、空想癖のある地味な男。長年、LIFE誌の表紙写真を担当していた放浪
の写真家、ショーン・オコンネル(ショーン・ペン)
から送られてきた最終号の
表紙ネガ
が失われていることに気付いたウォルターは、ショーンを探して
リーンランド
へと旅立つのだが・・・。

 この映画の劇場版予告はとてもよくできていて、初めて観たとき、不覚にも
泣きそうになってしまった。公開を楽しみに待って、当然字幕版で鑑賞。もの
凄く好きです、この映画


 ファーストシーン。自宅のリビングで家計簿(!)を付けているウォルターが
使っているのは、DELLのノートPC。Macでも、Surfaceのタブレットでもなく、
DELLってところが共感度100%でしたね。そして、手書きで細々と記録を付
けているウォルターにまたグッとくる。それだけで、彼の性分がよくわかるの
だ。こういう一人称の映画では、主人公のことが好きになれるか、感情移入
したり自己投影できるか、ってことが作品を印象付ける大きなポイントだと思
う。ウォルターに共感できるって人、結構多いんじゃないかな。

ライフ!2

 ストーリーは突っ込みどころも多い。ショーンから送られてきたネガの在り処
はすぐに見当がつくし、携帯は海に落ちた時点で使えないんじゃないの? と
か、ヒマラヤで偶然会えるものなのか? とか。意地悪な観方もできるだろう。
しかし、北極圏の非現実的な光景が、ウォルターの空想を超えて迫ってきたら
もう、そんな 「小さい」 突っ込みはどうでもよくなる。父を亡くしてから、ずっと
自分を抑え、内向的に過ごしてきたウォルターは、やっと 「人生の真髄」 を
知るのだ。

 音楽もとてもいい。特に、David Bowie”Space Oddity”が効果的に使
用されている。首切り屋の口髭男が、最初ウォルターのことを”Major Tom”
と呼んでからかう場面があり、「?」 だったのだが(笑)、この歌詞のことだっ
たのですね。

 数シーンの出演ながら、強烈な印象を残すのはさすが、ショーン・ペン。し
かし彼はアクが強過ぎるので、これくらいの出演時間がちょうどよいのかも
(笑)。ウォルターがシェリル(クリステン・ウィグ)の手を取って歩き出すラス
トシーン、光に包まれた二人を目にして、が溢れる。ウォルター、長い長
い道のりだったね・・・。

 ベン・スティラーが好きな人は、ますます彼のことが好きになる映画。彼が
嫌いな人は(そんな人いる? 笑)、きっと彼のことが好きになる映画

ライフ!3

 最後に、『LIFE』 誌社訓を覚え書き。本当に、素敵な映画だった。

 To see the world, things dangerous to come to, to see behind walls,
 draw closer, to find each other, and to feel.
 That is the purpose of 'Life'.


 ( 『LIFE!』 監督・製作・主演:ベン・スティラー/2013・USA/
         出演:クリステン・ウィグ、シャーリー・マクレーン、ショーン・ペン

テーマ : ★おすすめ映画★
ジャンル : 映画

2014-05-02 : 映画 : コメント : 4 : トラックバック : 40
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最後の一日~『フルートベール駅で』

フルートベール駅で





 FRUITVALE STATION


 サンフランシスコに住むアフリカ系青年オスカー・グラント(マイケル・B・ジョー
ダン)
は、前科はあるが気のいい好青年。遅刻癖のために解雇されたり、浮気
症がもとで恋人と諍いがあったりと、人生に多少の問題はあるものの、彼は
を持つよき父
であった。2008年の大晦日、そんな彼が凶弾に倒れる。

 アメリカで実際に起こり、社会問題となったという警官による一般人射殺事件
を基に、主人公の生前最後の一日を描く。静かで、淡々とした語り口の映画で
ある。ごくありふれた一日を、過剰に盛り上げることもなく描いた映画である。
それでも、いやだからこそ、どうしてもこの物語を世に出したいという作り手の
い思い
と、静かなる怒りが伝わってくる。

フルートベール駅で2

 人が死ぬ、ということ。それは、死んだ者だけがこの世から消え去ることでは
ない。オスカーには恋人、娘、妹、母、祖母、伯父、仲間たちがいた。人懐っこく、
若者らしく女の子に目がなかった彼は、見知らぬ相手にも臆せず話しかけ、好
印象を残している。死、とは、そんなオスカーに関わる全ての人の未来から、彼
と過ごすはずだった時間を奪う
ことをも意味する。永遠に

 冒頭、フルートベール駅で起こった実際の映像が流れる。他の部分は創作で
も、事件の部分は事実に即しているのだろう。暴力が恐怖を生み、我を忘れさ
せ、恐慌がまた更なる暴力を生み、死に至らしめる。過剰な肩入れも感情移入
もなく、ただ淡々と、監督は出来事を積み上げてゆく。無駄と感じられるセリフ
もシーンもなく、理不尽な結末を、観終わった後もじわじわ胸に響かせる演出は
見事。

 人は二度死ぬと言う。一度目は命が終わったとき、そして二度目は、その人
が生きていたということを忘れられたとき
。オスカーは22歳で命を終えたが、
人々が彼を忘れることはないだろう永遠の命、というのも、ある意味残酷
ものなのかもしれない。

フルートベール駅で3

 オスカーを演じたマイケル・B・ジョーダン。彼って 「デンゼル・ワシントンの再来」 
かも?

 ( 『フルートベール駅で』 監督・脚本:ライアン・クーグラー/2013・USA/
     主演:マイケル・B・ジョーダン、メロニー・ディアス、オクタヴィア・スペンサー

テーマ : 考えさせられた映画
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2014-05-01 : 映画 : コメント : 0 : トラックバック : 16
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